「ニコ」と呼ばれた堀口大學

 堀口大學と交流の深かった恩師から、ジャン・コクトーが大學のことを「ニコ」と呼んでいたと伺い、ずっとその由来が分からなかったが、岩波文庫版の訳詩集『月下の一群』に安藤元雄氏の解説があり、父・堀口九萬一の二度目の結婚相手であるスチナ・ジュッテルンド夫人は敬虔なカトリックで、異母弟の堀口瑞典の「文士の護り神である聖ニコライに因んだのでしょう、兄を“ニコ”“ニコ”と呼んで大事にしておりました」との証言が引用されていた。長年の疑問がようやく解けた。


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