あぁここが俺の…って思える場所があるか?

2000年以上前に生きた人間の誕生日を今でも地球上の多くの人が性交渉の理由づけのために覚えているなんて言い方したら少しでもこの虚しさが埋まるかもしれないとか思いながら、新千歳で飛行機を目の前にして、誘導灯が夜の帷を下ろした暗闇に散る宝石のように見えて、「あぁやっぱり新千歳は好きだなぁ。いつまでも俺を迎え入れてくれて、あたたかく送り出してくれる良い玄関だなぁ」としみじみ感じる2023年12月25日の夜。

小さい頃から世の中に捨てられたとどこか思っていた自分は常に自分の帰る場所がないと思っていたが、中学生の頃に北海道の魅力を思い知らされてからはなんとなくこの北の大地が「俺の帰る場所」と朧げながらに認識していたのを今でも覚えている。

でも、帰る場所を易々と与えてくれるほど、現実は甘くない。
何度、俺が世界で一番好きな街である札幌に住まわせてくれと願っても、自分が為にその夢は叶わない。
毎回札幌に来るたびに、次の春にはこの街にただいまというんだと思い込むしかない。

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