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奥の間に導かれた円儀が目にしたのは、人間の頭ほど大きさの、七色の光彩を放つ繭だ。かたちは蚕のそれのように見えるが、いくら何でも大きすぎる。近くに寄って観察する。繭はあたかも呼吸をするかのように、伸縮していた。

「いったいこれはなんだ」

とこぼすと、背後で親王が口を開く。

「わかりませんか。これは、あなたがお譲りくださった、極楽鳥の羽です」

言われてみれば、球体をかたちづくる細かい糸の放つ色彩は、円儀が様々な鳥の羽根を継ぎ接ぎしてつくった、偽の極楽鳥の羽とそっくりだ。しかしこの大きさはどうしたことだ。みこ法師は自分を謀った腹いせに、こんなものを作ったのだろうか。

呆然と立ち尽くす円儀を尻目に、親王は繭の前に屈み、羽毛と羽毛の隙間に指を差し込んで、そっと開いてみせる。繭は中空になっていて、その中心には、人間の赤ん坊が浮かんでいた。

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