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「AI×映像制作」生成AIの広告CMへの活用例

AIタレント出演のTVCM
生成AIでアニメ化

AIが歌うCMソングにのせたau”三太郎”シリーズのCM「さぁ、何やる?」編やAIタレントが出演する伊藤園 お~いお茶 カテキン緑茶「未来を変えるのは、今!」篇など、生成AI技術を活用したTVCMが制作され、広告やコマーシャル分野でもAIの活用が進んでいます。

伊藤園のCMは、AIのタレントを使った日本初のCMとして、2023年の9月にリニューアル発売された「お〜いお茶 カテキン緑茶」新しさをのアピールし、シリーズも10年目を迎える2024年にauの三太郎シリーズからは、AIが歌うCMソングを使ったコマーシャルが放映されました。
 
生成AIを活用した映像表現やコマーシャル手法など、AIを使った広告・コマーシャル事例を中心に紹介していきます。

目次

■日本初のAIタレントによるCM
■AIが歌うCMソング
■キンチョールによる画像生成AI使用のCM
■金融機関初のAICMの公開
■広告業界のAI活用事例
■「広告」AIサービス比較
■広告業界大手の取り組み
■広告にAIを使うメリット

■日本初のAIタレントによるCM



ⓒ伊藤園

伊藤園がテレビCMに生成AI(人工知能)で作成したモデルを起用し、CM内の「未来の自分をいまから始める」のセリフと共に、白髪の女性が若い女性に切り替わる表現と共に時代の新しさと商品のリニューアルを強く押し出しました。

モデルを作成したAI model(東京・渋谷)によると、テレビCMへのAIタレントの起用は日本で初めてとなり。SNSでも放送開始直後、大きな話題を集めました。

伊藤園はAIタレントについて「現在の自分と30年後の未来の自分を表現するにあたり、両者が別人に見えないように年齢を重ねる表現をするのに最適な手段をとった」と説明しています。AIタレントの名前は設定していないそうだが、CMの出演者がAIタレントであることがSNSで拡散されました。

伊藤園からは「CMだけでは驚きの声もさほどなかったが、(SNSなどで)話題になってより多くの声をいただいている」(伊藤園)というコメントも届いています。
 
生成AIを巡っては、2023年の5月に集英社が発売したAIグラビア写真集『生まれたて。』が発売10日ほどで販売終了した例もあり、発売直後1ッカ月ほどで、雑誌『週刊プレイボーイ』の編集が画像生成AIを用いて生み出したAIグラビアは販売終了となりました。

『週刊プレイボーイ』編集部は「たくさんのご意見を頂戴し、編集部内で改めて検証をいたしました。その結果、制作過程において、編集部で生成AIをとりまく様々な論点・問題点についての検討が十分ではなく、AI生成物の商品化については、世の中の議論の深まりを見据えつつ、より慎重に考えるべきであったと判断するにいたりました」と説明し、コメントを発表しました。

伊藤園のCMにおいては、「AI modelから弁護士による法的見解書を提出してもらい、問題のないものであると確認している」と発表され、膨大な画像データから自動生成したもので、特定の著名人に意図的に近づけていることはないという趣旨が説明されています。

商品パッケージにも生成AIを使用しており、デザイン開発を手掛けるプラグ(東京・千代田)の画像生成AIサービスを活用していそうです。

商品イメージからデザインを生成し、作り出された画像をデザイナーが修正、再びAIが生成する工程を複数回繰り返したといいます。

■AIが歌うCMソング



ⓒau

auは、三太郎シリーズのお正月新CM「さぁ、何やる?」篇を2024年1月1日(月)から全国で放映を開始。AIが歌うCMソング「みんながみんな英雄2024」は配信リリースもされ、イラストレータChocomooが描くジャケットのキャラクターがアニメーションで動き出すリリックビデオもCMと同時にYouTubeで公開されました。

「みんながみんな英雄」は、2016年元旦、au三太郎シリーズ CMソングとして発表されるや一躍話題となり、当初CMサイズしか存在しなかった楽曲を急遽フルサイズ化してリリースされた楽曲。

以来キャンペーンを象徴する歌としてのインパクトを視聴者に残し、ヒットシングルとしてauを代表する楽曲の一つに成長しました。

その曲が、三太郎シリーズ10年目を迎える年に、最も相応しいということで、再びAIによって続編の制作が行われたことが、CM制作の背景のようです。

CMは、過去の三太郎CM約160本から、人気イラストレーター松本ぼっくり氏の作品を学習した生成AIを活用して制作した新しい表現がとられており、auによると生成AIでCMを制作するというチャレンジを通して、「まずは踏み出すこと、それが大事だということ。」というメッセージが込められているということです。

auは、これまでも生成AIを活用した顧客が体験できるコンテンツの提供など、さまざまな取り組みをしているが、、生成AIをはじめとする先端テクノロジーによる新たな体験価値を創出する新CMは、auのブランドスローガンである「おもしろいほうの未来へ。」を体現しているとも言えます。

■キンチョールによる画像生成AI使用のCM



ⓒキンチョ―ル

大日本除虫菊/キンチョール「ヤング向け映像」篇のテレビCMには画像生成AIが使われていており、今までの路線をガラリと変えて自由な発想で「日本の殺虫剤といえばキンチョール」という大テーマを表現しました。

CMの企画は「AIに画像アイデアの“ブレスト相手”になってもらおう」というアートディレクター兼プランナーとプランナーの二人によるアイデアで、CMの映像表現としても新たな活路を見いだす形となりました。

制作の工程では、キンチョールの赤と青のイメージから「赤い空間」「青い空間」という場面設定など大まかな構成を考え、画像生成AIでイメージを練り上げていったそうです。

プロンプトには固有名詞や作家名は入れず、時代やタッチ、モチーフなどを入れて、良いと思うものが生成されるまで根気強くプロンプトを組み替えを行って制作された背景があるようです。

結果、数千枚の出力となり、出来上がったものを組み合わせキービジュアルをつくり、制作現場に私、CGなどで世界観を作り上げ個性的なCMが誕生しました。

CMのメッセージとして、、「テレビコマーシャルをうつ会社(キンチョウ)」をアピールし、テレビCMのチカラを信じて、企業がCMをうち続けることを訴えています。キンチョールによるTVでCMを打ち続けることを逆手に取ったインパクトを与えるCMも話題を呼びました。

■金融機関初のAICMの公開



ⓒKAIHO

株式会社沖縄海邦銀行は、新たな取り組みとして、AI技術を用いた企業CMを制作し、映像、BGM、ナレーションのほとんどをAIを使かって生成した金融機関としては国内初となるCMを発表しました。

「当行は、AI技術の可能性を最大限に活用し、県民の皆さまへ魅力的なメッセージをお届けすると同時に、当行お取引先の中小企業のお客さまにもAIの活用を後押しし、未来に向かって共に成長して参ります」というメッセージが表すように、『KAIHO PROJECT』というテーマを元に、01:近未来編、02:SDGs編、03:多様性編の3本のCMが制作されました。

それぞれ、「沖縄の未来」、「海と緑と共に」、「カイホーしてる?」というタイトルが表すように“沖縄“をベースに、未来・自然・多様性をキーワードとして人間とAIの協力によるCMの進化を追い求めた形となりますた。

沖縄海邦銀行は、ブランドスローガンに、『Beyond the Bank -あなたの明日へ-』を掲げており、これまでの銀行を超え、未来に向かって成長していく強い姿勢と思いが込められています。

そのような背景もあり、新たな取組みの一環として、AIを用いたCM制作の企画を立上げ、『KAIHO PROJECT』という名称を掲げました。

CM制作にあたっては、AIをどのように使うのか、AIでは何ができるのかなど、クリエーター陣と手探りの作業から始り、AIが得意とする部分と、そうでない部分の溝を埋めながら、試行錯誤をしてポロジェクトを進めていったということです。

生成AIソフトを複数用い、映像、BGM、ナレーション生成を繰り返し、書き出したデータは数万通りに及んだといいます。

県内の事業者に対し、AIの活用やDXへの取組みによる生産性向上、業務効率化など多岐にわたり支援をすることで、地域社会との強い絆を築きながら成長していきたいという趣旨のコメントも発表されました。

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