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各映画会社がゴジラを真似した理由

ゴジラとモスラと時々、ガメラ

初代ガメラとその他の怪獣ブーム

ガメラは、1965年(昭和40年)に公開した特撮映画『大怪獣ガメラ』で初登場を果たした、昭和から平成にかけて世界の怪獣ファンに愛されてきた大怪獣だ

そのガメラが、大映(現:KADOKAWA)の製作だったことについて知っている人はどれくらいいるのだろうか。


出典:Wikipedia

怪獣映画といえば


ゴジラについで人気のある怪獣映画といえばモスラやガメラを思いつく人も多いのでは無いでしょうか。

子供の頃、様々な怪獣映画にあこがれ、当時はVHSをレンタルしたり、怪獣を解説した書籍を手に、怪獣たちの迫力に胸を躍らせたものでした。
  
大人になって分かったことがありました。ゴジラとモスラは東宝という映画会社が製作しており、ガメラは大映という映画会社が製作した全く別物の作品だったのです。
 
今なら理解ができますが、子供の頃には全くその事に気づくとことさえありませんでした。そして、当時の1960年代後半には、ガメラだけに限らず、その他、各社が製作したある種独特の怪獣映画が多数存在していたのです。

今回は、初代ガメラ「大怪獣ガメラ」を見直したことをきっかけに、当時のゴジラおよび東宝映画以外の怪獣映画についても触れてみたいと思います。

ガメラがモノクロだった理由


ガメラをご存知の方は、飛ばしてお読みください。
 
大人になってから初代ガメラを改めて見直すと、1960年代当時とは思えない、東宝に負けない特撮技術とガメラの造形に改めて感心させられました。

当時、低予算かつ会社からも期待をかけられずに製作されたとは思えない様々な工夫は今見てもチープさよりも、努力や創意工夫の方が強く感じられます。
  
一節によると合成技術の未熟さやアラを隠すために、低予算を逆手にとってモノクロ製作で行われたという記録が残っています。当時は、カラー映画が全盛であり、他の映画会社製作の怪獣映画にも「総天然色」「シネマスコープ」の文字が見られるので、その意味でも異端だったのではないでしょうか。
 
wikipediaには、総制作費4000万円と記載されているので、当時の金額とはい映画としては、やはり低予算だったのだと思います。


出典:角川シネマコレクション

あらすじ


「大怪獣ガメラ」を見たきっかけは、You Tubeで2週間限定公開があったからです。
 
今見るとコロナ禍での体験や、各種災害の有無や、日本と他国の関係など、1965年の公開当時との違いを感じながら、歴史的資料として見れるのも映画の良さのひとつです。
 
やや、子供向けの怪獣映画らしい大味な展開や、辻褄の合わない設定もあると思いますが、全編が78分という事もあり、昔の映画にしては間伸びする部分が少ないようにも感じました。
 
初代ゴジラありきでみると、ゴジラが水爆実験の結果生まれたのに対して、ガメラは原子爆弾の影響で生き返るなど、比較しながら見るおもしろさもあるように思いました。
 
以下、あらすじに触れていきます。
 
日本の日高教授らは調査船「ちどり丸」で北極のエスキモー集落を訪れ、そこでアトランティス大陸にいたという謎の亀の調査中に、上空を飛行する国籍不明機を目撃する。
 
この機体は核爆弾を搭載しており、その爆発により、氷の下に8,000年以上も眠り続けていた伝説の怪獣ガメラを原子爆弾で蘇生させてしまう。
 
日本では新潟県の農家のおじいさんが、火の玉を目撃。
 
再び、現れたガメラは北海道の襟裳岬の灯台を襲うが、灯台が崩れる中で偶然、ガメラのとった行動が亀好きの少年トシオの一命を取り留めることになる。その事でトシオは「ガメラが助けてくれた」と思い込むようになる。
 
トシオは、自分が捨てたカメの「チビ」がガメラになったのかも知れないと思い込む。
 
日本は、アメリカに要請をして核ミサイルの発射準備を整えるが、(なぜかその場にいた)トシオ少年は「打っちゃダメだ」と抗議、博士もガメラには核兵器が効かないとミサイルの発射に反対する。軍の司令官はあっさりと核ミサイルの発射を中止。
 
日本は全てのものを凍らせてしまう冷凍爆弾を秘密裏に開発。試作品はすでに完成しているという。しかし、冷凍爆弾は10分間しか効力がもたずに、ガメラの動きを止めるのも10分間しかできないという条件付き。
 
そして、ガメラは地獄岩に向かって移動をはじめる。冷凍爆弾攻撃が成功して、ガメラの動きが鈍る。10分間の間にガメラが登る岩肌にダイナマイトを仕掛け、その爆発によりガメラを裏返すことに成功。博士曰く「亀は裏返しになると自力では起きあがれないので、このまま気長に待って飢え死にするのを待つ」という作戦がとられる。
 
しかし、ガメラは手足を甲羅の中に引っ込め、そこから炎を噴射しながら、円盤のように回転してその場を飛び立つ。博士は「ほう、亀が空を飛ぶとはなぁ」と感嘆するしかなかった。
 
ガメラが空を飛んだ事は新聞に乗り、火の玉の第一発見者だった新潟のおじいさんも「あれはガメラだったのか」と驚く。
 
ガメラ防衛対策本部では、パリのエッフェル塔、エジプトのピラミッド、北京の万里の頂上でもガメラの火の玉が目撃され、目撃情報はあるが、行方を突き止められないという状況に陥っている。
 
ガメラは、体内に火力発電所のような構造を持っていると推測した日高教授は、今後、ガメラがエサを求めて、発電所や核施設を襲う可能性があるとテレビで警告。
 
同時に太平洋の魚が死んでしまい。築地の卸売市場は、ガメラ出現以降、全く魚が入って来ないという状況に見舞われていた。東京湾にも原因不明の高潮が起こり、多くの住居が浸水する被害にも見舞われる。
 
東京湾の不可解な事件を解決するために、アメリカやソ連の科学者たちが来日する。伊豆大島に極秘裏に設置された研究施設があり、アメリカとソ連の協力のもとに開発したZ計画を実行する事が協議される。
 
そして、19時30、ガメラが再び日本に上陸し、羽田空港に現れ街を破壊しながら前身を進める。国民に緊急避難命令が出されるも、東京タワーがガメラによって倒されてしまう。
 
ガメラの出現によって、トシオの家族をはじめとした国民も避難を余儀なくされるが、頼みの綱のZプランは開発中のため、24時間後でないと完成しない事が告げられる。
 
日本はエネルギー源を求めて石油コンビナートに居座るガメラを足止めするために、全国のエネルギーを集めて時間稼ぎをする作戦に出る。
 
その頃、ガメラに「悪いことをしちゃいけない」と会いたい一心からトシオ少年は、家族の元を抜け出しガメラのいる石油コンビナートに潜入するも見つかってしまう。「ガメラと友達だ」と言い張る少年だったが、大人たちはまともに意に介さない。
 
24時間後、Zプランは完成し、日高教授の発案によるガメラを大島へ誘導する作戦が開始される。行方不明になったトシオを探す姉がコンビナートを訪ねが、トシオは大島行きの最終機材の荷物に紛れ込んで、大島へと向かう。密航者として保護されるも、大島でZ計画の遂行を見守ることになる。
 
海上に火を放ってガメラを大島に誘導することに成功するも、伊豆諸島に台風が接近しており、Z計画の遂行は一刻の猶予も許されない状況に追い込まれる。
 
Z計画が遂行され、装置の中央におびきよせたガメラをカプセル型の装置で捕獲することに成功する。捕獲した装置はロケットの一部で、ガメラを乗せたまま宇宙へと発射される。ついに、火星行きの宇宙ロケットでガメラの打ち上げに成功することで、日本と世界はその危機から救われることとなる。
 
ガメラを見送ったトシオ少年は、日高教授に「大きくなったら科学者になって、火星のガメラに会いに行く」「だから、ガメラに会えなくてもさみしくない」と答えた。

1960年代当時の怪獣映画ブーム


1954年に東宝・円谷プロが製作した初代ゴジラの登場以降、1960年代には怪獣ブームのなごりで、各映画会社製作の怪獣映画が量産されたました。
 
大映のガメラ、日活のガッパ、松竹のギララ、東映の怪竜大決戦。
 
今回紹介したガメラは、1965年(昭和40年)の公開です。
 
その他の怪獣映画についても触れておきたいと思います。


「大巨獣ガッパ」

1967年(昭和42年)4月22日に公開された日活製作の怪獣映画。「ガッパ」は劇中に登場した怪獣の名前。シネマスコープ。
 
あらすじ
 
大巨獣ガッパ親子の愛情と日本各地での暴れぶりを描く痛快娯楽巨篇。
 
https://youtu.be/fCPFnd9bIQU?si=IcK3b5UVLKM9sOdb


「宇宙大怪獣ギララ」
 
松竹が製作し、1967年(昭和42年)3月25日に公開されたカラー怪獣映画作品。ギララは、この作品に登場する架空の怪獣。
 
あらすじ
 
宇宙からきた発光体が怪獣に変異、軍事攻撃が逆に巨大化を招くというジレンマの中、原発に迫る。
 
https://youtu.be/8K21IQQ-2yw?si=3jMRFi0Ec6IESFMY


『怪竜大決戦』
 
1966年12月21日に公開された東映製作の特撮映画。
 
あらすじ
 
主君の仇討ちを果たさんとする、古典の自雷也(じらいや)物語がベースになっているが、原典における三すくみのうち、蛇の部分が大竜に、蛞蝓の部分が蜘蛛に置き換えられている。

https://youtu.be/pV8JRxKo84o?si=Z0_zLpUgKvuv0PAx

怪獣映画ブームの裏側


当時の怪獣映画は1966年に発足した日本映画輸出振興協会から、融資を受けることができたと言われている。

ガッパは製作費の約8割の1億2800万円の融資を受けた。ガメラは海外興行だけで製作費をペイしたといわれるなど、海外でもよく売れたため、各社外貨獲得のために製作したが、東映は任侠映画がよく当たっていたため、俳優中心の作劇にこだわったとされている。

怪獣へのノスタルジー


子供の頃の懐かしさで見直すという映画の見方が良いかどうかは、みなさんそれぞれ意見はあるとして、実際、ガメラ、ガッパ、ギララなどは子供の頃に怪獣図鑑で見ていたばかりで、本編を見ることもなかったので、こういう機会をきっかけに昔の怪獣映画も少し見てみようという良いきっかけになりました。

おまけ 大映の女優達


初代ガメラを鑑賞して、自分がおじさんになったなと感じたのは、ヒロイン的なポジションの大映の女優さん二人が素敵だなと思ったことでした。
 
しょうもない個人的な感想ですが、日高教授の女子役の霧立はるみさんという女優さんと、トシオ少年の姉役の姿美千子さんという女優さんが、大変素敵だなと思った次第です。


「大怪獣ガメラ」本編より


「大怪獣ガメラ」本編より


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