「ワレワレのモロモロ」ワークショップ

過去10年以上、岩井はこの「ワレワレのモロモロ」のワークショップをやってきております。

全国津々浦々、中学校、高校、大学、演劇学校や就労支援施設などでも、開催してきております。

このワークショップは、演劇をやったことがない方々にもかなり評判が良くて、もちろん、演劇をかなり続けてこられた方々にも、とても新鮮な体験になっているようです。

基本的にはまず、みんなで車座になって、それぞれの身に起きた「自分がヒドい目にあった話」をしてもらいます。
その中からいくつかのエピソードを選んで、短いものでは1分もないくらい。長いものでも5分ほどのものを、演劇にしていきます。

まあ盛り上がる。

さっきAさんが話した「ほんと、腹の立つ父親で。」的な話を演劇化したとすると、そのAさんの話の中で出てきた、家のこともかえりみずに酒に溺れて家で暴れる父親、という役人物を、話を聞いていたBさんが演じ始める。

みんなの中でイメージされていたAさんの父親が、形を持って現れる。
それがプロの俳優さんだったら、それなりの「泥酔演技」が披露されて、めちゃくちゃ面白い。
演劇未経験の方が演じようとするならば、なんとか「泥酔」を演じようとしている部分も含めて、うまくいってもうまくいかなくても、面白い。
そこに対してAさんがリアルタイムに「もっとムカつくやつだったんです!」とか言ってること自体も面白い。

この体験が、たとえば20年間も俳優を続けてきた人にとっては、すごく新鮮なんですね。
「そっか、演じるって、こんなに特別なことで、遊びだったんだ。」となるし、なんなら普通に演じただけで、みんなから拍手喝采だったりするし。
何十年もやってきて自然なことになってしまってたことが、一般社会から見るとどれだけ特殊なことを続けてきたかにも気づけるし、自分が凄まじく特化した技術を持っていることにも気づいたりします。

「ちょっとやってみたいな、と思っていたんです」と参加してきた、演劇未経験の参加者にとっても、プロの技術を、しかも目の前で構築する瞬間を観れるのも、とても面白い体験だし、見よう見まねで「酔っ払い」を演じることも、本番を伴わないワークショップだから、あんまりうまくいかなくたって面白いし、なんならプロの俳優さんからアドバイスをもらえたりする。

やがては、
「Aさん、もっと美容師さんに不満を伝えたほうがいいですよ」
なんて意見もあったり、
「Bさんの演じたような美容師さんだったら、不満も言えましたよ」
なんて返したりもする。

そうこうしてAさんの体験をみんなで演じあって、共有していく。

Aさんにとって「ヒドい目にあった」というだけだった体験が、いつの間にか「みんなのおもしろ」になっていく。

プロの俳優も、演劇未経験の参加者も、一緒になって笑って、誰かの体験を共有して、「ヒドい」だけの体験だったものが、姿を変えていく。

これが、ワークショップの「ワレワレのモロモロ」の現在の状況でございます。

ぜひ、全国あちこちで、開催していきたいと思っております。

現在は、わたくし岩井と、ハイバイの劇団員、川面千晶がこの「ワレモロ」ワークショップのファシリテーター(進行役)をやっておりますが、やがてはもっと多くの人が、このファシリテーターをやれるようになっていったらいいなとも思っています。

ワレモロのワークショップ自体を開催したい学校、劇場、または就労支援施設などの皆様、お声かけくださいませ。

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