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内なるデーモンを育てる

※ これは某大学大学院臨床心理学コースの,公認心理師養成プログラムの授業「心の健康教育の理論と実際」の一部分です。

履修者の皆様,

ここでは欠回分の授業を,manabaのテキストとオンデマンド動画のハイブリッド授業で行います。
はい,すでに始まっております。笑

「自分を大切にする(セルフ・コンパッション)」,「マインドフルネス」に引き続いて,瞑想関連の授業内容になります。
題して,
 内なるデーモンを育てる
です。

・・・最近2回の授業で,“自分を大切にする”“生きとし生けるものが幸せでありますように”といったことを扱っておきながら,いきなりデーモン(悪魔)ってなんやねん?という感じですね。また,「デーモンを育てる」って,自分の中の悪い心をそだてるんかーい??という疑問も湧いてきますよね(もちろんそうではありません)。

今回の本題に入る前に,瞑想についてちょっと復習。
つぎのTED,すごくわかりやすいです。英語もわかりやすい。(日本語字幕はついていません。英語字幕はありますが,字幕なしでも十分聞き取れる,中学生レベルの英語です。)
 https://www.youtube.com/watch?v=LDVyOnf0t9M

マインドフルネスの授業の中で「シロクマ実験」についてお話しましたが,ここでは"No Pizza"です。nico

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さて,みなさんはアドルフ・アイヒマンをご存知ですか。“エルサレムのアイヒマン”として知られている人物です。ナチの親衛隊中佐。最近,NHKの「映像の世紀」の新シリーズで取り上げられました。
 https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2022124199SA000/
(興味を惹かれた方は,¥220でどうぞ!)
アイヒマンについては,ハンナ・アーレントの次の本が有名です。
 https://amzn.to/3j5wvPX
(ちなみに,ハンナ・アーレントとは(wiki): https://bit.ly/3wwt4oq)

アイヒマンは,
“ゲシュタポのユダヤ人移送局長官で、アウシュヴィッツ強制収容所 (収容所所長はルドルフ・フェルディナント・ヘス (=ルドルフ・へース)) へのユダヤ人大量移送に関わった。「ユダヤ人問題の最終的解決」 (ホロコースト) に関与し、数百万人におよぶ強制収容所への移送に指揮的役割を担った。”
そんなアイヒマンが,アルゼンチンでモサド(イスラエルの諜報機関)に拘束され,イスラエルで裁判にかけられ,その映像は世界中で放映されました。
 法廷に現れたアイヒマンは,「ふてぶてしい大悪人」であるに違いないという大方の予想に反して,「小役人的な凡人」「神経質な初老のおっさん」でした。(https://bit.ly/3kC3CuZ)

アイヒマン処刑後には,彼はいかなる服従の心理に基づいて行動したのかが研究者の研究対象となり、役者の演技によって擬似的に作り出された権威の下に、人はどれほど服従するのかを試す実験、いわゆる「アイヒマンテスト」(ミルグラム実験)と呼ばれる心理実験につながりました。
(ミルグラム実験はご存知ですよね? さぁ,知らない方はすぐに勉強しておくこと! 尤も,相当な物議を醸した実験であり,その結果についても様々な疑義が出されています。)

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前置きが大変長くなってしまいました。
私が言いたいのは,
 ふつーの人間であっても,状況次第で大悪をなす
  ≒ 人の心の中には本来的にデーモン(悪魔)が住んでいる
ということです。
では,どうすればよいのか,
ここで考えていきたいと思います。

強い心を鍛えて,弱い心や悪の心を蹴散らしてしまえばよい,,,のでしょうか??

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それでは,いわいの授業動画を見てください。
 https://youtu.be/kStnTnQBk7c

公正世界信念については,次の中央大学北村先生の動画がとてもよくできています。ぜひ見てください。
 https://www.toyo.ac.jp/nyushi/column/video-lecture/20191002_01.html

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授業レジュメの21頁に
“マーラ(悪魔)よ、わたしはお前をよく知っている”
というお釈迦様の言葉を載せておきましたが,それはどういう意味でしょうか。
次の動画(キアヌ・リーブス主演の映画『リトル・ブッダ』の一部)を見て考えてください。少し画質が悪いですが。
 https://www.youtube.com/watch?v=QY-l8RwEsTI

(以上)

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