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医療機関のマネジメント研修とDX【これからの医療とDX #14】

今回は「医療機関でDXをどうやって進めたらいいかわからない」という人にお勧めの方法をお伝えします。


マネジメント研修とDX

医療機関の経営において、管理職やマネジャーの育成の重要性は増しています。それを受けて、管理職や管理職候補を対象としたマネジメント研修を医療機関で実施しているケースも増えています。
一方、医療機関でDXを進めていくにあたっても、マネジャー層のデジタルへの理解度やリテラシーが鍵となっています。DXプロジェクトを担当したり、デジタル活用を現場レベルで実装したり、各部署のスタッフに新しい取り組みを説明したりするのは、マネジャー層のみなさんだからです。

そこで、マネジメント研修を通じて、デジタルにも慣れてもらうことで、人材育成とDX推進の一挙両得をすることをお勧めしています。

医療機関でDXを進める際の一番の障壁は「DX人材の不足」です。DXに必要なのは、システムやプログラミングに関する知識や技術に加え、プロジェクト管理やタスク管理の方法論、新しいことを進めていくリーダーシップなどがあります。
システムに関する専門的なものを除くと、マネジャー層が身につけるべきものとも言えます。マネジャーが業務やタスクをうまく管理できるようになれば、病棟運営やチームマネジメントでも力を発揮しやすくなるでしょう。
つまり、管理職とDX人材のスキル要件の多くは共通しています。だから、マネジメント研修でデジタルに慣れてもらうことで、DX人材の育成にもつながるのです。

デジタルを活用したマネジメント研修

デジタルを活用したマネジメント研修は、従来のマネジメント研修のカリキュラムにデジタル技術やツールの使用を組み込んで進めるものです。代表的なツールは以下のとおりです。

  • Zoomなどのビデオ会議アプリ

  • SlackやChatWorkなどのチャットツール

  • ChatGPTなどの生成AIツール

Microsoft 365を導入している場合は、Microsoft Teamsでビデオ会議もチャットもできます。

研修の連絡や授業後の質疑応答をチャット上でおこなったり、一部の授業をオンラインで実施したりすることで、受講者や事務局がツールの使い方や、その準備方法に自然と慣れていきます。

実際、ビデオ会議の開催には、パソコンなどの機器の準備や設定、Wi-Fiなどのネットワーク環境の確認、ビデオ会議における発言や質疑応答への慣れが必要です。
研修を通じて受講生全員がビデオ会議に慣れれば、院内外のビデオ会議で進行がスムーズになり、会議の生産性は向上します。

以前のnoteでテキストコミュニケーションの重要性を解説しましたが、従来の紙と口頭中心のコミュニケーションから、チャットツールを用いたテキストコミュニケーションに移行することは、組織的な生産性向上の実現に不可欠です。
しかし、その移行期の「今まで使ったことのないチャットツールを使ってもらう」ためのハードルは小さくありません。これは、電子カルテ導入を経験した方であれば、想像に難くないことでしょう。
研修でのチャットツール導入は、このハードルを下げることに寄与し、DX推進に貢献します。

加えて、研修のカリキュラムに「デジタル活用」や「AI活用」を含めて、直接的にスキルアップをめざすこともできます。

研修を通じたDX推進の意義

マネジメント研修でDXも同時に進める意義は下記のものになります。

  1. 受講者がDX推進者になる

  2. 実務とは別の場所で安全に無理なくDXを進められる

  3. 部署や職種を超えて、DXの共通理解を得られる

1. 受講者がDXの推進者になる

一般的に、マネジメント研修の受講者は、それぞれの部署や職種でリーダーシップを発揮している人か、将来的に発揮することが期待されている人です。研修を通じて得られるデジタル理解や経験値は、彼らから各部署のスタッフに引き継がれます。つまり、受講者がDXの推進者としての役割を果たしてくれます。

2. 実務とは別の場所で安全に無理なくDXを進められる

医療機関でDXを進められない理由としてよく挙げられるのが「DXで現場の運用を変更したときにトラブルが起きないか不安を感じる」です。とくに、医師や看護師が関わる業務ではよく聞かれます。
患者さんの安全を第一に考える医療職にとって、慣れた手順や方法を変更することのリスクを心配に思う気持ちは理解できます。

研修という環境は、実際の業務とは離れた学びの場所です。そのため、新しいツールや方法を試すには最適な場といえます。失敗しても患者さんや実務に直接の影響は生じないため、受講者は安心して新しいことに挑戦することができます。

3. 部署や職種を超えて、DXの共通理解を得られる

医療機関は多職種で構成される組織です。医師、看護師、薬剤師、事務、放射線技師など、それぞれが独自の専門知識や業務をもっており、連携して医療サービスを提供しています。DXを進めるにあたっては、異なる視点や業務をもつ職種間での共通の理解や意識が必要となります。
研修の場では、多職種のメンバーが一堂に会し、マネジメントを学び、デジタルに慣れ親しんでいきます。これにより、DXについての共通理解も形成されていきます。また、受講者同士の情報交換やディスカッションを通じて、実務でのデジタル活用に関してさまざまな視点やアイデアを共有することもできます。

医療機関におけるDXの取り組みは、マネジャーや管理職の積極的な関与によって、効果やスピードが大きく変わります。マネジメント研修にDXを組み込むことで、受講者がDXにおいてもリーダーシップを発揮できるようになり、医療DXをスムーズに進められるようになるでしょう。

マネジメント研修とDXを同時に進める方法

管理職育成とDXは、いずれも医療経営の重要課題です。実際に成果のある施策を進めるとすれば、どちらも半年〜一年以上の期間を要します。

そこでおすすめしたいのが、「MBMプログラム(メディカル・ビジネス・マネジメント・プログラム)」です。

MBMプログラムは、リーダーや管理職を自院から輩出するためのマネジメント人材育成プログラムです。人材マネジメント、マーケティング、オペレーション構築、会計、リーダーシップ、ファシリテーション、プレゼンテーション、デジタル活用など管理職に必要な技術を体系的に習得することができます。

さらに、チャットツールの導入やオンライン会議の浸透を同時に進め、組織のDXを推進することができます。


今回はマネジメント研修とDXについて解説しました。「管理職やリーダーを育成したい」、「DXをどこから進めたらいいかわからない」という方はマネジメント研修から進めてみるのはいかがでしょうか?


株式会社DTGでは、医療機関のDXや組織・人事のコンサルティング、マネジメント研修を提供しています。
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