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鎧が頑丈すぎるだろ

うちの息子が学校に行かなくなって一年半。行き渋りの期間もあわせると二年以上である。長くて辛い暗黒期間を経て、いまようやく「こりゃあ時間かかるわ」と腹が据わり、学校に戻ることを目標にするのはやめた。

この心境にいたるまでに不登校関連の本をいくつか読んだけれど、一番共感して励みになったのは『学校に行かない君が教えてくれたこと』だった。

…と高らかに「学校に戻ることを目標にするのはやめた」と宣言した割に、1学期には行けた通級に2学期から行かなくなったことで学校から毎週のように「通級は来れそうですか」連絡が来ると、心がざわざわして言わなくてもいいのに「もう通級には行かないのかい?」と聞いてしまったり、学校の友だちから「放課後遊ぼう」とお誘いがあると「せっかく誘ってくれているんだから行ったらどうかね?」とついプッシュしてしまったりする。そして後悔する。

固定観念と世間体と「いい親」の鎧は手ごわい。まだまだ修行が足りない。

そんな行きつ戻りつの母を横目に、息子は毎日ゲーム(主にフォートナイト)とYouTube、アニメ視聴で過ごし、昼ごはんはコンビニで調達している。すっかりコンビニのバイトのお姉さんと仲良くなり、カップラーメンを買いながら「これ、おいしいよねー」などと会話しているらしい。灼熱の2023を過ごした後とは思えないくらい色白だが、元気でよく食べしっかり寝ている。将来はプロゲーマーになるそうで、どのチームに所属するべきか悩んでいたりもする。すがすがしいほどに日常生活における学習の割合はゼロパーセントである。でも、読める漢字がたくさんあるし、独自のセンスの絵を描くし、歌もまあまあうまい。ラップもできる。数字には弱いがお金がからむと計算がはやい。

なんだか、大丈夫じゃないか。ちゃんと育っている気がするぞ。
まだまだ迷って悩んで葛藤する日々は続くのだろうけど、それでもうちの子は大丈夫と心から思えるくらいには身軽になったかもしれない。

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子どもに教えられたこと

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