15.夕焼け

引っ越してちょっと経つが、
この家の決め手は夕焼けだった。
決まった時間になると、西向きの窓から
爆弾みたいな夕陽が容赦無く降り注ぐ。

その時、俺がコーヒーを飲んでようが、
ノートに言葉を書き込んでようが、
歌ってようが、叫んでようが、
平等に、とにかく平等に、
夕焼けが刺さる。

部屋の中が支配される瞬間、
その時は誰も夕焼けに勝てない、
勝とうともしない、圧倒的な
占領、不条理、非常識

日没までの数時間、平伏しながら俺は、
何くそ、やってやろうと思う。
コールド負けした先発投手のように、
ダチョウの檻に入れられた国語教師のように、
何くそ、やってやろうと。

夕焼けが刺さる俺の部屋は最高だ。

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