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その瞬間の瞳がいい【高岩遼対談 part.3】

全三回やってきた、高岩遼さんとの対談も今回がラストです。俺はアーティストにとって大切なことって、人間味だと思う。気持ち悪さって言い換えてもいいかもしれない。その人じゃないと出ない、アクの強さみたいなもの。それが一番大事だ。

でも、人間味って出過ぎてもつまんないものになることが多い。アクで蓋された鍋はそもそも食べようと思わない。そんな中、遼さんのソロアルバムは、生きてきた人生がそのままエンターテイメントになってるような、裾野の広さを感じた。俺たちも、新しいアルバム『情熱とユーモア』で、自分の人生が、4人の人生が、そのまま多くの人に届く物語になるような作品を作ろうとしたが、そういう表現って本当に難しい。

今回は、作り手の人生と、作品がいかにして繋がるかっていうお話です。

・「仲間に届けなきゃ意味がない」

岩渕「バンドやってると色んな悔しさがあるじゃないすか。遼さん、23の時何やってました?」

高岩「23の時ビックバンド作ってた。借金して。

岩渕「ボーイやってたって言ってたじゃないすか。」

高岩「銀座でやってたね。それも23くらい。あと、代官山でフレンチのウェイターやってたね。」

岩渕「そういう時って、悔しいこととかあるじゃないすか。歯痒い気持ちも。そういうのって表に出さなかったですか?」

高岩「いやでも俺そんなタフガイじゃないからね。割と荒れてたよ。荒れ狂ってた。ですよね、正一さん。」

三宅「最初すごいたち悪かったもんな。もっと怖かったもん。」

高岩「間違いない。でもいいと思う。バイトやってた悔しさみたいなのって。」

岩渕「いいけど、悔しさって出しちゃうとどこまでも出ちゃうなって思うんすよね。ステージの上ではあんま出さないっすけど。一回出すと、出しすぎちゃう方で。自分の中に、今まで生きてきた器があるとして、全部で切った時に何もなくなっちゃうんじゃないかなみたいな、怖さがありますね。」

高岩「なるほどね。じゃあ俺全部さらけ出してると思う?」

岩渕「ある程度はさらけ出してると思うんですけど、さらけ出し方がかっこいいと思います。さらけ出さないところがちゃんとあって、それがロマンや美学になってると思うから。でも、自分の場合出したらどこまでも出そうになるから、いつもやべえってなりますね。」

高岩「でもこのメディアも、そういう一面を見せようって意味があるんでしょ?」

岩渕「まあそうっすね。突っ張ってても、なかなか伝わらないことが多いなって感じてて。

高岩「なるほど。パノラマパナマタウンはじゃあどういうニーズなの?」

岩渕「やっぱかっこいいもんが観たい人が多いと思いますね。弱い俺は観たくないと思うし。でも、ライブでひたすらカッコつけてても、自分の奥底に抱えてるものとか、情熱がなんか伝わり切ってないって気づいて。それさえ、伝わればもっと一緒になれる気がしてるから、それから、出すところは出そうって思ってますね。そういや、遼さんのソロアルバム聴いて、すげえかっこいい出し方してんなーって思ったんすよね。」

高岩「ああいう作戦しかないよね。一旦。ケジメのつけ方があるんで、想太くんにもあると思うけど。俺色々やってるからさ、カッコつけたものばかりの描き方だと、まず仲間に届けなきゃ意味がないって話になるからさ。そこを、まず俺は、あのアルバムで回収したっていうだけで。でも、出さないかっこよさもあるとめちゃくちゃあると思うし。たまに俺出しすぎる節があるからそれは反省。それは気をつけていかないとなと思ってますけどね。でも、20代はいいんじゃないかな。

三宅「でも、こないだのソロアルバム出してから、自分の感情が変わった部分とかもあるの?」

高岩「何も変わんないすね。馬を走らせちゃったんで、やるしかねえっていう責務の方がでかいっつーか。ミュージシャンって、どの道を歩いて何をチョイスするかっていう、全ての一歩一歩が大事で。またそれを選択して進めたから、またやること増えたなっていう。まあそれが楽しいから良いんですけど。そういう感じっすかね最近は。」

・歌手の瞳

岩渕「沢山バンドがあって、ステージの上では全部同じ自分でいます?」

高岩「全部同じだけどね。演じてるわけじゃないけど、バンドのメッセージが違うから、それだけ意識してるってくらいであとは全部一緒かな。」

岩渕「自分、結構バンドの中で歌うけどラップもするんすよ。ギター弾きながら歌う時と、ギター置いてラップする時って、気持ちが変わるんすよね。ギター弾いてる時は、自分の弱いところも出したいって思うんすけど、ラップしてる時は、俺が一番かっこいいって思ってないとおかしいと思うし。そこをどうケジメつけようかって思うことがある。」

高岩「でもいいじゃん。フロントマンらしい。その試行錯誤が味になってくんじゃないすか。なんか歌手ってさ、下手でもいいんだけど、人生の経験値の話だなって思ってて。すげえいいこと言ってるけど、伝わってこない奴とかもいるじゃないすか。それもそれでいいんだけど、想太は既に色んな経験してるし、北九州への想いもあるし、メディアでこういうことやろうってもがいてる感じが、きっと何か出るんじゃないすか。そこが一番大事な気がするけどね。その瞬間の瞳がいいというか。

岩渕「なるほど。」

高岩「めっちゃいいこと言ったじゃん俺。神様かよ。」

岩渕「めっちゃいいこと言いましたね(笑) でも、出ますもんね瞳って。それすげえ思います。自分が何考えてて、どういう人間かって、一言喋った時の挨拶とかに出るなって思う。

高岩「本当にそう思う。それ気づいてる若い奴いないと思うのに、23ですげえ老けてるよね。」

・対バンしたい

三宅「でも対バン一回あるといいね。THE THROTTLEで。」

岩渕「やりたいっすね。」

高岩「是非是非。ロックの現場で会おうよ。」

岩渕「こないだ企画で、山嵐とSUSHIBOYSを呼んで企画したんすけど、自分らのお客さんが山嵐とかSUSHIBOYSに食いつこうとしてる感じがすげえよくて。こうやって、文化って合わさっていくんだなって思ったんすよね。だから、自分らのファンにも遼さんを知ってほしいし。」

高岩「うんうん。逆に、俺らが呼んでもいいっすか?すげえ面白いなと思って。」

岩渕「是非とも!」


ということで、高岩遼対談完結しました。第一回で言ったけど、遼さんはある意味すげえシンプルな人だ。やりたいことを片っ端から形にしていってる人だ。ただ、その興味と行動量の膨大さが、ぶっ飛んでるって言われる所以だと思う。好きなもんは好きでいいじゃんって心から思ってたけど、こうやって直球に実践してる人見ると、より一層そう思えた。

突っ張ってても、分かち合えないものがあるってのは、間違いなくバンドやってなかったら気づけなかったことで、そういう意味で俺はバンドにすごく感謝している。別にバンドじゃなくてもいいんだけど、バンドを組んでるから、人生が彩られていくし、今まで生きてきたもんがあるから、今もバンドを組んでいる。俺は、後者の考え方がすごく大事なことのような気がしている。

対談終わって、文字起こししながら気づいたんだけど、そういや遼さんの瞳はめちゃめちゃ輝いてた。


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岩渕 想太

パノラマパナマタウンで歌ったり、ラップしたりしています。福岡県北九州の商店街に生まれる。レペゼン地方都市で、映画と喫茶店が好き。

高岩遼対談

SANABAGUN.やTHE THROTTLEのフロントマンとしても活動する、浪漫溢れるミュージシャン高岩遼さんとの対談です。地元の話、どうやって色んな文化に触れ合ってきたかって話。夢と悔しさの話。
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コメント1件

自分の弱い所をさらけだして、それと向き合う岩渕さんがかっこいいなぁと思います。
形からカッコよさを入る人もいるけど、素の人間で勝負してその良さが溢れだしたカッコよさを目指してる感じがして、いいなと思います。
短所が個性っていうけど、そういう概念を超えた世界の広がりを見せてほしいです。
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