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展示「街ゆく顔たち」

カメラマンの上原俊と二人で「街ゆく顔たち」という展示をします。

「街ゆく顔たち」
開催期間:2022年2月1日(火)~2月13日(日)
会場:歌舞伎町人間レストラン
入場料:チャージ500円 1オーダー制

岩渕が街を歩く人々に対して想像した物語と、実際に聞いた物語。
上原が捉えた「街ゆく顔たち」の写真たち。


【概要】

今日も「街ゆく顔たち」の準備をしている。昼過ぎにカメラマンの俊と合流する。街中で気になる人を見つけ、その人が何をやってるかひたすらに想像する。鏡に向かってダンスをする人、やけに大きな荷物を引きずる人、地べたに座ってケンタッキーを食べてる人、様々な人が持つ物語を勝手に膨らませていく。手に持ったメモがいっぱいになると、実際に話しかけてみる。「今何をしてるんですか?」Twitterのホーム画面のような質問を投げかける。応じてくれないことも勿論沢山あるが、そこから相手の思いもよらぬ話が始まることもある。予想していた物語は、あっという間に覆され「その人の語り」が始まる。私はそれをメモに取って、後に文章にしていく。同じものが一つとしてない、その人の物語だ。

「顔」を観て最初に思い浮かぶ物語ってのは、自分が持っている類型のようなものだ。偏見と言ってもいいと思う。今まで生きてきた歴史や、様々な経験から形成された「こういう人ならこういうことをしてるっぽい」という「っぽい」の累積だ。「人はどんなものにも括れない」ってことを繰り返し歌って来たけど、自分だって何かしらの偏った見方でもって他人を観ている。「仲良くなれなそう」というフォルダにしまったまま、話さないこともしばしばだ。

対話を続けていると、そうした類型がパチンと音を立てて崩れていく瞬間がある。「初めて会った時、絶対仲良くなれると思わなかったわ」と気の知れた友人と笑い合うことができるのは、長い時間をかけて、それまで抱いていた類型が覆されたから。私はそうした瞬間が堪らなく好きだ。

今回の「街ゆく顔たち」では、街ゆく人々から、私が勝手に想像した物語と、実際に聞いた物語、彼らの顔たちの写真を展示します。それは重なり合ったり、重なり合わなかったりする。語られたことが必ずしも正しいとは限らないし、少ない時間での会話でその人の全てを知ったとも思わない。それは、人の表と裏なんて分かりやすいものじゃなくて、私の頭の中にいる他者と、私が観た他者に過ぎないのかもしれない。ただ、この対話の中でも自分の中の類型が崩れる瞬間が何度もあった。沢山の予期せぬお話を聞くことができた。そうした二つの物語の「ズレ」や距離を楽しんでもらえたら幸いです。


カメラマンの上原俊とは、2年前「俺の命はクリスタルガイザー何本分なのよ展」を主催した時(今考えたらすごいタイトル)にこっちから誘って、その準備の中で仲良くなったというのもあり、非常に感慨深いです。歌舞伎町人間レストラン、歌舞伎町の中で異質なアートスペースでもあり、歌舞伎町の中だからこその人懐っこさもあり、大好きな場所。俊と二人で色んな街を歩き回り、話を聞きながら作りました。きっと面白いはずです。コロナ禍、大変な時期ですが昼から夜までやってます。のんびり足を運んでもらえると。

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