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渕-1グランプリ2018

今年もあれですねー。渕-1グランプリの時期ですね。
ということで、2018年ビビッときたものをまとめ上げました。今年、刺さったもの、みんなにも沢山あると思います。そういったもののお陰で、生きるって最高!と思える訳です。感謝と愛を込めて、2018年を振り返ろう!

音楽部門

いきなりの音楽部門です。毎年そうだけど、今年は特に音楽聴いてて楽しい!って思うことが多かった1年だった。ここでは、今年グサッときたなあと思うアルバムを6枚あげさせてもらいます。

・『? 』XXXtentacion
6月に亡くなった、フロリダ出身20歳ラッパーの生前最後のアルバム。今年ダントツで一番聴いたアルバムだと思う。歌われてるのは「孤独」や「虚無」だし、音楽もラッパーの域を超えた実験的なものなんだけど、曲たちが何の異物感もなくストレートに耳に入ってくる。とことんパーソナルなことは「POP」にもなり得るんだなって再認識したアルバム。グランジ全開の7曲目「NUMB」が好き。

・『Iridescence』 BROCKHAMPTON
「ボーイ・バンド」って自称してるアメリカ17人グループ。と言ってもヒップホップクルーとして聴いてるんだけど。とにかく衝撃でした。もはや誰がラップしてるのかもよく分からないんだけど、フロウが超気持ちいい。アッパーな1曲目からメロウな2曲目への流れで唸る!

・『Tranquility Base Hotel & Casino』 Arctic Monkeys
大好きアクモンの新譜。ギターが全然目立ってこない、この思い切り方。2018年のロックバンド像みたいのがガツンと見える、パイオニアアルバムだと思う。MVで見える世界が、レトロなんだけど全然懐古主義っぽく見えないのが、過去も未来もなくなった「今」の音楽って感じがします。

・『the CITY』サニーデイ・サービス
曲を作る時、バンドを舵取りする時、俺たちなんか5年ぽっちの歴史だけど、悩みに悩み、試行錯誤する。そんな中、すげー長い歴史を思いっきりぶち壊してる曽我部さんって本当にすげーなって思う。日本のアルバムの中で今年一番聴いたアルバムだけど、正直、未だによくわかってない。

・『BAD HOP HOUSE』 BAD HOP
レペゼン川崎のヒップホップクルー、BAD HOPのEP。今年はこの人たちの影響もあって、何度も川崎をウロウロしたけど、工業地帯側で、沿岸部の都市って意味で北九州に似てるところがいくつもある。だからか、「地元ノリのまま川崎から武道館へ」ってストーリーにグッとくる。俺らもやらなきゃって思う。2,3曲目のBenjazzy氏の早口フロウがどカッコいい。少年漫画みたいな浪漫のアルバム。

・『WORLD'S END』 lyrical school
ヒップホップアイドルユニットlyrical school、2年ぶりのフルアルバム。正直リリスク「date course」以来しばらく聴けてなかったんだけど、先行シングル「消える惑星」に呼ばれて、アルバム聴いてグッときた。文字通り「世界の終わり」がコンセプトだと思うんだけど、何でこんなに能天気なんだろう?って疑問が、最後の曲「WORLD'S END」がPixiesの「Where Is My Mind?」サンプリングで、なるほど映画『ファイト・クラブ』の終末感なのかって解消される。みたいな深読みはどうだっていいんだけど、アイドルの醍醐味って一つは深読みにあると思っていて、それだけの余地があるって意味で最高のコンセプトアルバムだと思います。

総括 : ヒップホップばっかり聴いてた1年だった。と同時に、「虚しさ」が感じられる音楽が好きだと再認識した1年だった。今のUSヒップホップには、「虚しさ」が溢れてる。そりゃあそうといえば、そうなんだけど、今の日本も十分に虚しさを感じることばかりだと思う。その虚しさを撃ち抜く光のような音楽を作りたい、ってそればかり考えてた一年でした。答え合わせは、来年2月13日発売『情熱とユーモア』にて。

映画部門

続いて、映画部門。今年グッときた映画を3つ選びました。

・『スリー・ビルボード』
今年、3回観に行ったこの映画が年間ベストです。舞台はアメリカ、ミズーリ州。ボタンの掛け違い、怒りの連鎖ってよく語られる映画だけど、最後は「許し」の話。観てる側に、どっちでしょ?ってバトンを渡すようなラストは、そのまま看板の表裏みたい。出てくるキャラクターが、それぞれ人間らしくてリアルでいい。一人一人が一言で語れるようなキャラクターじゃないけど、だからこそ些細なシーンにグッとくる。

・『フロリダ・プロジェクト』
「ウォルト・ディズニー・ワールド」の側にあるフロリダの団地のお話。アメリカを取り巻く貧困について、掘り下げた作品。カメラワークが子どもの目線と同じになっていたり、終始トラップのヒップホップが流れていたり、自分も同じ団地に住んでるかのように没入させられる。その視点から観た「ディズニー・ワールド」のカラフルでポップなイメージは、どこまでも嘘くさくて皮肉っぽい。これは『万引き家族』の舞台の荒川区から観たスカイツリーに通づるなーと思う。大森靖子さんの「絶対彼女」の歌詞「ディズニーランドに住もうと思うの」も思い出したり。

・『15時17分、パリ行き』
クリント・イーストウッドが無差別テロ事件をテーマに撮った伝記映画。主役3人を本人が演じたり、事件の起きた場所でロケをしたり、とことんリアルにこだわった作品。なんせラストシーンがとんでもなくて、87歳でこんなこと思いつく〜??ってひたすら感服するんで、是非とも観て欲しい!ガス・ヴァン・サント監督の『エレファント』みたいだと思ったんだけど、誰の人生だって映画なんだと強く感じさせられます。対岸の火事は対岸じゃない。

総括 : まとめながら思ったんだけど、今年あんまり映画観れてねえ!!と言いながらも、大好きな映画がたくさん公開された年だったと思います。特に3月から4月にかけては、毎日映画館行かないと終わんないよこれ!って思うくらいの豊作だった。邦画だと、やっぱり『カメラを止めるな!』は久々に劇場で笑えたし、『勝手にふるえてろ』の松岡茉優さんは怪演で、最高でした。

展覧会部門

Chim↑Pom「にんげんレストラン」

展覧会って言っていいのかわからないけど、今年一番衝撃を受けた。建て壊しが決まってるビルで、人間によるお祭りをやるってイベント。毎日、行われてるパフォーマンスが少しずつ違って、俺はレセプション含め2日間遊びに行ったんだけど、扇情的で面白い。100キロのチョコレートを舐めきる、自分の鼓動に合わせて生肉を叩く、1週間の鎖に繋がれて物乞いすることで生きていく、色んなパフォーマンスから「にんげんってなんだろう?」って問いが浮かび上がる。街はどんどん便利になる。2020年に向けてどんどんスマートになる。ビルは壊され、区画整理されていく、その中で生きていく俺たちが考えるべきことのヒントが溢れていた。新しいアルバムの歌詞にも、とても影響を受けたように思います。と同時に、単純に「面白そう」なところに人は集まるんだなって簡単なようで難しい真理にも気づけました。「現代における馬鹿騒ぎ」を俺たちも、もっと追求していきたい。

お笑い、バラエティ部門

・『ドキュメンタル シーズン5』のかまいたち山内さん
かまいたちってコントも漫才もフリートークも面白くて大好きで、M-1のかまいたちも最高だなーと思ったんだけど、この回の山内さんはすげえ笑った。入れ墨のくだり、足を舐めるくだり、たむけんを蹴ってからの「殺すぞ!」用意してきたものもしてきてないものも、バチバチハマってたと思う。すごい人。

・『キングオブコント2018』決勝 チョコレートプラネット「密室」
一つの設定のもと、何かをしつこくやり続けるネタが好きで、キングオブコントだとロッチの「試着室」大好きだったし、M-1のジャルジャル「国名分けっこ」も感動すら覚えたんだけど、「密室」のコントはそういう意味で最高だった。ダレそうになったところで、長田さんが登場するタイミング、メタっぽいオチに至るまでずっと面白かった。

・『水曜日のダウンタウン』モンスターハウス
すげえ企画だった。何がすごいって、「テラスハウス観るのはさすがに、、」みたいな捻くれものの俺みたいなやつまで、夢中にさせる恋愛バラエティだったってこと。最終回終わって、「本当のモンスターはクロちゃんを観に集まった視聴者だった」って言説が飛び交ったけど、そこまで深読みされるのも、藤井健太郎さんの細部までこだわり抜いた番組作りの賜物だと思う。 「事実は小説よりも奇なり」を地でいく、「モニタリング」よりえげつない人間観察バラエティだった。


ということで、渕-1グランプリでした。他にも食べ物部門はセブンイレブンの枝豆ごはんおにぎりだなーとか、飲み物部門は伊藤園のごまミルクだなーとか言いだしたらキリがないけども、今年も色んなものと出会えた一年だった。ここに載せてるものはもれなくオススメできるものなんで、年末年始暇があれば、是非とも触れてほしいと思います。音楽も、映画も、美術も、お笑いも、素晴らしきエトセトラたちも、それらのお陰で俺たちはめちゃめちゃ生きることができる。2019年も新たな出会いに期待しつつ、俺たちも誰かのための芸術になれるよう進んでいきたいっすね!

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