正論の溜まり場インターネットと「高評価」と「低評価」の間にある銀河系

「いい人」と「悪い人」しかいちゃいけないインターネットに疲れた。
このちっちゃな画面の中には、「高評価」と「低評価」を押すボタンしかなくて、その間の幾千通りの感情が四捨五入されて死んでいる。

有名人。
一度、「いい人」って決まっちゃえば、武勇伝やら伝説やらどこから出てきたかもよう分からん逸話が山のように湧いてくる。反対に「悪い人」扱いされたら、悪い噂やその人を否定する意見が湯水の如く溢れ出る。
「いい人」だった人が「悪い人」になったりするし、「悪い人」が風が吹くように「いい人」扱いされるようになったりもする。みんなで誰かをかばい、みんなで誰かを叩く。

昨今、「正論」のパワーバランスがおかしい。
大量破壊兵器くらい強いし、能力チート級のラスボスくらい倒せない。
「正論」を振りかざし、「正しくない人」をボコ殴りにする鬼みたいのが無数にいる。


現実、そんな「いい人」ばっかでも「悪い人」ばっかでもない。
特段有名でもない俺たちは、その間の愛おしい世界の中でプカプカ浮かんでいる。
浮かんでるだけなのに、ふっと思ったことをインターネットの海の中に放り投げると、
「正しい!」「正しくない!」の値札をつけられ、突き返される。

「正しい!」って言われるために、嘘ついて褒められて。
「正しくない!」って言われた気持ちをデリートして。
どんどん魂が、「インターネット向け」の形に変わっていく。
それが、どうしようもなく気持ち悪い。


人ってのはもっともっとバラバラだったはずだ!
バラバラでいいはずだ!

例えば、そうやって「正しい!」判定を受けた感情だけを、
自分の中に取り入れていくと、
人はどんどん面白くなくなる。みんな同じ人間になる。


「いい人」なエピソードを見て、自分と比べて辛くなったり、
「悪い人」の噂を聞いて、怒ったり。
そんなこと生きてくために必要ない。

誰かが言う「悪い人」でも構わない。
時には「正しくない」こともするかもしれない。
でも、それでいいってことを叫びたい。

俺たちは、胸張って「いい人」と「悪い人」の間の銀河系を漂っていよう。

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