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ChatGPT小説 常楽院雛子の事件簿(仮)

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ChatGPTの力を借りて、SF小説を書きます!
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記事一覧

第11話 木暮雅人

「世界は平和だ、少なくとも飢えることはない。間違った生き方さえしていなければ。」 そう言ったのは確か父だった気がする。私達の家はそれなりに収入があって、資産らしい資産のない家庭ではあったが、留学までさせてくれた。それは私が一人っ子だったからからかもしれない。 余裕があったとは言えないが少なくとも貧しくはなかったような気がする。 百歳近くまで死ぬことはない。遺伝子疾患やなんらかの病気持ちであっても、適切な治療さえ受ければ、だれもが長生きできる。  国籍さえちゃんと持っていれば、

第10話 長岡静子

 学校の図書室にいるのは大抵、自分ひとりだった。  本を読むという行為は、SIDを使った学習に比べ効率が悪い。本を読むという習慣をもつ生徒は今ではあまりいない。インタラクティブなSIDのAIによる学習プログラムは、本を読むというという行為の意味の重要性を低くしてしまった。日常生活を営みながら学んでいくという、学習の本質を考えたときに、過去の出来事を蓄積した知識を吸収するという、勉強の本来の意味は、ほぼ瞬時に、ネットワークにある全ての情報をまるでもとから自分が持っていたかのよう

第9話 坂本直行

第一話からは目次からどうぞ 坂本直行の眼の前でくるくると回っている鉛筆は、ランダムな動きで揺れている。透明な誰かがもった鉛筆が揺れたり上下に動いたり、器用な指先の上でくるくると回るのと同じ動きで、それはなにか見えない紐にぶら下がっていたり、透明な棒の先にくっついた状態のものとは違った動きをしていた。  不自然な回転で、ときにそれは床に落ちて、すぐに誰かに拾われるような動きで、空中に浮かび上がり、また直行の目の前でくるくると回る。  どういうことだろうか?なにかトリックが

常楽院雛子の事件簿 目次

第一部 福岡桜花学院プロローグ  第1話 行方不明 第2話 ICAと常楽院雛子 第3話 斎藤嘉樹 第4話 坂本直行 第5話 長岡静子 第6話 エディとレオ 第7話 エリカ・ロドリゲス 第8話 斎藤嘉樹 第9話 坂本直行 第10話 長岡静子

プロローグ

プロローグ「こんなことがあるはずがない!」 ジェンキンスはひとりごちした。今自分の目の前で起きていることを受け入れることができなかった。次々に現れては消える、その「自分はSIDのユーザーではないし、今はARグラスも掛けてはいない。  見えるはずはないのだ。  だが、それはジェンキンスの目の前にいる、見えるだけではない、たしかに存在しているのがわかる、肉体を持つ、質量を持つ実存的ななにかをたしかに感じているのだ。  だからこそ、受け入れることができないのだ。理性が歯向か

第8話 斎藤嘉樹

2058年8月12日(月曜日)「リブート?」  突然話しかけられた斎藤嘉樹が声のする方を向くと、そこにはシャオ・ツーと彼のファミリアが立っていた。  リブート、つまり再起動しろっていうことだけれども、そこまでの必要があるのだろうか。斎藤嘉樹は、ジョリアに視線を向ける。ジュリアは微笑みながら彼を見つめ返す。  再起動する前に、それまでのログを一旦保存しておく、所要時間は10分くらいだろうか。確かに、ログを一旦保存しておけば、そこまでの会話や記憶データは失われることがない。  

第7話 エリカ・ロドリゲス

第7話 エリカ・ロドリゲス私には七人の守護者がいる。  ミゲルはいつも優しくて、私にたくさんの助言を与えてくれる。彼はわたしの12歳年上の兄で、私を守るためにそばにいる。「口癖はプライドを高く持て。誇りを忘れるな。」  ソフィアは3つ上の姉で、いつも私を笑わせてくれる。とても優しくていろいろなことを教えてくれる。わたしのことをかわいい可愛いと褒めてくれるし、とても羨ましがってる。私はソフィアみたいな素敵な女性になりたいといつも思っているのに、お姉ちゃんはいつも言う。  「

第6話 エディとレオ

「エディ、エディ」 どこからか自分を呼ぶ声が聞こえる。 あれは学生たちだろうか? いや違う、子供の声ではない。それに彼らはわたしのことをエディとは言わない。 私をエディと呼んでいたのは彼だ。 彼の名はレオナルド・ヤマグチ。ブラジル生まれの日系五世。彼が言うには実のところ五世か六世かはよくわからないと言っていたっけ。  私は目を閉じている、その声を探す。声は、まるで遠い未来から聞こえてきたかのように、かすかだ。それがどこから来ているのかはわからない。しかし、その声が彼

第5話 長岡静子

 私が生まれた日、2042年9月22日。  アラスカ大学フェアバンクス校、アラスカ地質調査所、アメリカ地質調査所が共同で行った調査によると大規模な永久凍土の融解が始まったのがこの日だと言われている。同じ頃シベリア、カナダ北部、スカンジナビア半島、グリーンランドなどでも永久凍土の融解が始まり大量の二酸化炭素とメタンが大気中に放出された。  私の生まれた日はポイント・オブ・ノーリターンの日付として記憶されている。  翌年核融合発電が実用化されて多くの国は我先にと核融合炉を建設

第4話 坂本直行

2058年8月16日 金曜日 フロイドの第一印象はだらしない人間そのものだった。  僕の一番キライなタイプだ。とくに麻薬中毒者のような自分を大切にしないタイプ。一時の欲望に流されるような人物はどうしようもない。  長い髪の毛をネクタイで結んでいて、顎には無精髭が生えている。瞳は半開きで、どこか遠くを見つめているような、なにも見ていないような光のない空洞、穴のように見える。無気力な人間がいるとしたら、まさしくこういうタイプなのだろうと思う。  周りのことにもそして自分自身のこ

第3話 斎藤嘉樹

2058年5月15日 火曜日 「SIDを処置することが本当に怖くないのか?」実家に帰ったとき父親にそう聞かれた。本当は少し怖い。  僕の年齢でSIDの処置をする人はまだ少数で、一般的には18歳以上、あるいは成人してから処置する人が多い。また幼児期の装着は何らかの精神疾患を及ぼすリスクが成人に比べると高いという話も聞いていた。  けれども僕が通っている学校では、早期のSID装着が推奨されている。  早い子で9歳、遅くとも16歳までには、SIDを装着した状態で授業を受けること

第2話 ICAと常楽院雛子

2058年9月14日 常楽院雛子との打ち合わせが終わった直後から、生徒たちのSIDの調子がさらに悪くなっていった。生徒たちだけでなく教師の岡崎のSIDも不具合があるように感じられた。 教師である岡崎が初めてSIDを装着したのは、日本人の約半数が装着するようになった2040年代後半に入ったころだ。急速に普及し始めていたSIDは 2058年現在、日本においては68%がSIDを利用している。2060年には80%を超えると予想されている。 今や「世界を認識するという行為」はS

第2話 心霊現象? 0.7.3

2058年9月14日 常楽院雛子との打ち合わせが終わった直後から、生徒たちのSIDの調子がさらに悪くなっていった。生徒たちだけでなく教師の岡崎のSIDも不具合があるように感じられた。 この時代、日本においては87%がSIDを利用している。 世界の認識はSIDを通して行われるようになっているといっても過言ではない。 BMIによって常に世界が多層の認識を行うようになったとき、世界の解像度が一段階上がったと言える。 最初は恐れられたBMIという道具ではあったが、それなりに

第2話 心霊現象? 0.5.0

2058年9月14日 常楽院雛子との打ち合わせが終わった直後から、生徒たちのSIDの調子がさらに悪くなっていった。生徒たちだけでなく教師の岡崎のSIDも不具合があるように感じられた。 この時代、日本においては87%がSIDを利用している。 世界の認識はSIDを通して行われるようになっているといっても過言ではない。 BMIによって常に世界が多層の認識を行うようになったとき、世界の解像度が一段階上がったと言える。 最初は恐れられたBMIという道具ではあったが、それなりに