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蒐集について

小学生のときに「ギザ10(フチにギザギザがある10円玉)には数万円の価値が出る」という怪情報が出回り、乱獲するのが流行したことがありました。当然ながら10円に10円以上の価値があるはずもなく、にわかに降って湧いた虚偽ゴールドラッシュは音もなく終焉いたしました。
その後登場したのは「昭和64年」の硬貨であります。平成元年への切り替えによって、7日間しかなかった64年の幻のコインは「これは価値があるに違いないッ!」と小学生を再び熱狂させ、結局音もなく終焉いたしました。ホッチキスで止める紙製のコイン収集ホルダーに入ったモノが、たぶんまだどっかにあるはずです。アレは価値がほんとにあるのか。
切手、テレホンカード、キーホルダー、野球カード等々、なんかを集めるというのは随分やりましたですが、幼少の頃から「これは先々価値が出る」というような、邪な思いを密かに持って集めていたなという気がします。そのようなモノに限って、ろくなものはないようです。幾らか捨てましたが、まだまだ湧いて出てきやがる。困ったモノですよ。
誰のかわかんなくなってしまったサッカー選手のサインや、林家いっ平真打昇進の手ぬぐい、上野東京ライン工事で使ったハイテンションボルトなど、私が死んだらブックオフでも断られる駄物の数々は、死ぬ前には始末しとこうかなという思いもありつつ、「まだ死ななそうだし、いっかな」とか言ってしばらく家に置かれてんです。
そんなかんじで私の蒐集の歴史を振り返り、これはなんとも無駄であったというのと、死んだら収集物は無に還るという諸行無常を悟りはじめているので、もうなんかを集めるのはよしとこうかと思ってるんですが、今は変な柄のネクタイを集めてんだよなあ。もうねえこれは病気ですよ。死ななきゃ治らない。

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