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つまみとしての標本


酒のつまみとして標本を買い集めてた時期があるんですが、これはその中でも思い入れがある逸品です。以前九州大の丸山教授が出したツノゼミの写真集をなんとなく買って、私はそのわけのわからないツノゼミの角の形に魅了されたのですが、なかでも最もわけのわからない角形状がこの「ヨツコブツノゼミ」でありました。外敵から身を守るにしては角の形が異様すぎるし、擬態してるにしても、なんの真似をしてるのかわからない。しかもこの角の異形ゆえに、風にあおられたり移動につっかかったりということがあるのだというそうです。生活に支障が出ながら、今まで生き残ってきた謎の種のひとつが、ヨツコブツノゼミなのです。私は、もはや「かっこいいから」こんな角をつけたんじゃなかろうかと思ってんです。バサラ種と勝手に呼んでます。
しかもこのツノゼミ標本は、あるイベントで丸山先生から直接譲り受けたものなのです。脚が欠けてるからってんで、ちょっと安くしてもらったんですが、そのやり取りも含めて、ツノゼミの魅力を教えてくれた人から、直接ツノゼミ標本を譲り受ける、というのが興奮でありました。ツノゼミ写真集にはサインをいただいた。
この異形の昆虫は、家に遊びに来た人に見せたりして酒の肴になってるわけです。一人で飲むときにも標本をめでるのはいいですよ。昆虫標本はちょっと手元に置いておきたいと思うものの一つです。私は、ですけど。

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