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原監督のこと

原監督が長嶋監督を引き継いだ時の会見は、いまだに覚えています。「野球とは、人生そのものだ」と満面の笑みで球界を退く長嶋さんの横で、目が泳ぎまくる原新監督。おそらく急に言われたのだろうと思いますし、本人の意図しなかった急な人事異動に戸惑いまくっている様子は、ジャイアンツファンのほとんどが感じたことではなかったかと思います。開幕初勝利の原監督は、涙していた。「初戦勝ったくらいで泣くとは情けない」とかいうコメントもあったですが、就任から開幕戦までの不安がものすごくあった中で、一勝できたことの安堵があったんだろうなと思いました。わけわからん人事の中でがんばる原監督を応援したい気持ちになった。そんな初戦でありながら、2002年原ジャイアンツは日本一になるわけです。
その後原監督を受け継いだ堀内監督も、自らの監督就任を「青天の霹靂」としていました。堀内さんはクレバーですから表情に出さなかったけども、相当辛いんだろうなという感じがしました。二年務めた堀内政権下のジャイアンツは弱かったですし、ファンがめちゃくちゃ離れた年であったのではなかったか。解任されて、次の監督はまた原監督であった。
その原監督を受け継いだのは、まだ現役でいけるんじゃなかろうかという高橋由伸監督であった。松井・高橋で一時代を築いた大スターに、引退試合も用意できないタイミングで無理やり引退→監督就任となった由伸監督は、やはりつまらなそうな顔で就任してました。急遽役職が変わって、思うような成績も出ない由伸監督が、ファンから罵声を浴びせられるのは、私もつらかった。晩年、登場するだけで大歓声に包まれていた由伸さんが、こげな目にあうとは。堀内監督同様にさしたる成績も残せず、由伸監督は解任。堀内さんと由伸さんはジャイアンツ歴代監督で「優勝したことない監督」というレッテルを貼られた2人となってしまったわけです。そこでまた第三次原政権が誕生し、今日に至る。
原監督がジャイアンツの監督を務めあげたのは17年。その間、私もいろんな感動をいただきましたし、2002年の日本シリーズにも行きました(第二戦の桑田先発の日。最高の思い出であります)。しかし原監督が自らの使命としていた、「指導者の育成」については、果たしてどうかという気がしてならんのです。
野村監督が古田、真中、高津、石井一久、新庄といった監督を輩出したように、森監督が秋山、石毛、伊東、辻、田辺、渡辺久、工藤といった監督を輩出したように、原監督黄金期に活躍した選手が、のちに見事な戦術をもって人を率いることがあるだろうか。今日の原監督のコメント、あたらしい指導者に阿部慎之助を指名したときの阿部さんの表情は、原新監督のときと同じような、なんとも言えない顔であった。相変わらず「ジャイアンツの監督」は、なりたい人が満を持してなるようなポジションじゃないのかというのと、相変わらず監督人事にファンの気持ちは汲まれないというのを、今日の原監督のコメントで感じました。阿部さんも、堀内さんや由伸さんと同じように、急に監督にされたんだと思いますが、「原監督の次の監督」という呪いを、阿部監督は打ち砕いてほしいって思いますねえ。第四次原政権はもう見たくないですよ。

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