私は『源氏物語』の現代語訳をするにあたって、円地文子氏の訳をよく参考にしている。その桐壺の翻訳で、「露けき秋なり。」という箇所が「露にうるおう秋となった。」と訳されていて、なるほど作家らしい名訳だなと思った。ここで「うるおう」という言葉はなかなか出てこないと思う。

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