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北見薄荷の自然科学(2);知的魅力満載の北見ハッカ科学概略(遠心分離法)

 大学基礎化学実験のもつ文理融合のポテンシャルについての私の考えは後に回し、その前段階として、北見薄荷のテーマがどういう文理融合を示し得るのかをお伝えしたいと思います。その4回目は、薄荷農家から買い付けた精油(=取卸油)からメントール結晶(=ハッカ脳)を単離した、その方法についてです。

1.和種薄荷、最大の特徴とは?

 ニホンハッカ(和種薄荷)の特徴は精油の中にL-メントールが60%以上含まれている(これは薄荷オイル100gのうち60g以上がメントールだということ)ことであり、それ以外の薄荷(ペパーミントなど)にはない特徴がある。それは10℃程に冷やしただけで精油が固まってしまうことで、そのため日本の薄荷産業は、水蒸気蒸留→冷却→濾過(遠心分離)という非常に簡便な方法で容易にメントールを得ることができる。

2.冷却後の分離操作

 工場に集められた薄荷取卸油は、冷却した後、脳分(薄荷脳=メントール結晶)と油分(赤油と呼ばれる)に分けられる。そのときに使用するのが下のような巨大な遠心分離機である。

北見薄荷工場で実際に使用していた遠心分離機
(北見ハッカ記念館にて撮影)

 上の写真を見るとこの遠心分離機はとても古くさいように見えるが、2015年に西ノ宮市にある長岡実業さまで見学させて頂いたとき使用していたものもこのような大きさ、材質であったと記憶している。ドラム缶で輸入したものをそのまま冷やし、その後クレーンで吊り上げ、逆さまにして巨大な遠心機へ一気に放り込む様子は壮観であった。

3.化学実験実習への応用

 冷却し、遠心分離することで結晶を分離するのは非常に手軽な手段で、その手軽さこそ、実習で感じて欲しいことである。
 ただし遠心分離によってメントール結晶を得るために、実は様々な工夫をしており、出来合いの器具、出来合いの手法をそのままやるのではなく、この実習のために重ねた様々な試行錯誤の結果としてこの遠心分離実習が可能になったことも、同時に学生に伝えたいものである。

化学実験実習で用いている遠心分離機にサンプルをセットするところ

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