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北見薄荷の自然科学(3);知的魅力満載の北見ハッカ科学概略(和種薄荷と洋種薄荷)

 大学基礎化学実験のもつ文理融合のポテンシャルについての私の考えは後に回し、その前段階として、北見薄荷のテーマがどういう文理融合を示し得るのかをお伝えしたいと思います。今回は、薄荷油や薄荷脳を分析する手段の中で、手軽な方法として化学実験で行っている実習を紹介します。

1.薄荷油の成分は無限大

 薄荷油の成分は無限と言ってもいいくらい。とにかく植物は何でも作るので、ガスクロマトグラフィーなどで分析するとものすごい数のピークが検出されます。その中の主な成分について、詳しく・・・・・・と言いたいところなのですが、とにかく品種によっても全然違いますし、、、ということでここでは概略のみを説明してみます。

2.L-メントールはペパーミント系、カルボンはスペアミント系

 俗にハッカ、あるいはミントと言われるものにはたくさんの種類があります。でもその精油の成分は全く異なるものだったりします。例としてペパーミントとスペアミントを比較してみます(『食品と香り』光琳選書3、平成16年より)。

※ペパーミント(例:米国ミッドウェスト地方)
 メントール:35~45%
 メントン:22~30%
 1,8-シネオール:5~10%
 メンチルアセテート:3~5%

※スペアミント(スコッチ種)
 カルボン:60~70%
 リモネン:10~20%
 ジヒドロカルボン:3~6%
 1,8-シネオール:2~5%

3.和種薄荷と洋種薄荷の違いは? 

 ニホンハッカとペパーミントのような洋種薄荷との違いはなんだ? それは、メントール含有量です! つまり遺伝子由来の違いは無関係で、とにかく精油に含まれるL-メントールの含有量が60パーセント以上のものを和種薄荷と呼ぶのだそうです。
 ただし、そのルーツには違いがあります。いわゆる和種薄荷はMentha arvensis由来のもので、洋種薄荷の代表格ペパーミントはMentha Piperitaになります。しかしたとえば現在主流の一つになっている品種『北海JM-23号』は洋種薄荷であるブラックミントからの交配で精油のメントール含量を高めた品種のため、和種薄荷に分類されているようです。
 両者は花を見れば容易に区別がつき、下図左のように花が葉の脇につくのがarvensis由来、右のように植物の先端に花穂がつくのがpiperita由来だそうです(清水純男、『ハッカ研究三十余年、昭和59年より)。

(左)和種薄荷の代表格である品種『ほくと』
(右)洋種薄荷がルーツの『北海JM-23号』

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