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Spotify、AppleMusic、AmazonMusicの比較(体感的音質について)

数値的な音質で言えば空間オーディオは2種類(Dolby Atmos360 Reality Audio)に対応していて24bit 192kHzまで再生できるAmazonMusic HDが最高、で結論が出ている。Apple Musicも空間オーディオ(Dolby Atmos)に対応し、ハイレゾ・ロスレスは最高24bit 192kHzまで、Spotifyはその1/10程度の音質までだから、音質にこだわるならAmazonMusicかAppleMusicという話になる。しかし、数値化された「十分の一の音質」というのは体感的にそんなに快適性を損なうほどの低音質なのだろうかというと、実はそうでもない。

料金メニューと音質の関係


Spotifyの無料版、有料版の違いは広告や勝手に流される音楽が挟まるかどうか、音質に関する違いはない。Apple Musicは無料版が元々なく、有料で加入しないと聴けない。その代わり追加料金なしでハイレゾ・ロスレス(24bit 192kHzまで)、空間オーディオ(Dolby Atmos)で聴ける。

Amazon Musicの場合は完全無料のAmazon Music Free、プライム会員(月500円または年4900円)なら追加料金なしで聴けるAmazon Music Primeから追加料金が発生するUnlimitedにするとHD(CD音質以上)、Ultra HD(24bit 192kHzまで)や360° Reality Audio、Dolby Atmosなどの空間オーディオも有効になり、CD以上の高音質で聴ける。Primeだとシャッフル再生オンリーで、頼んでもない曲が勝手に再生されたりするし、必ず「再生したい」と思って押した曲は流れない。配信楽曲数が飛躍的に増えることより(2022/11/1よりAmazonMusic PrimeUnlimitedは配信楽曲数は同じになりました)Unlimitedは流したい曲順で流せて、早送り、巻き戻し、スキップも自由にできる。そして高音質、ハイレゾ再生に対応したAmazonデバイス(EchoシリーズFire HDなど)を持っているならなおさら、それらのデバイスでハイレゾ音質で聴けるというのがUnlimitedのウリなわけです。


接続方法の違い

しかし音質が悪いはずのSpotify、満足度が低いという声はあまり聞かない。それはSpotify Connectの普及に力を入れているからじゃないかと思う。Spotify ConnectはWi-Fiを経由して再生するネットワーク再生の技術のひとつで、AmazonMusicではAlexa Cast、Apple MusicではAirPlayという名称でワイヤレス再生出来るようになっている。

https://note.com/izumillion/n/nb74fad668d55


Spotify Connectの機能を搭載しているネットワークプレイヤーやスピーカーはメーカー数も多岐に渡り、AirPlayやAlexa Castと比較すると有意に多い。しかもAlexa Cast、Google Castが使える鳴り物はSpotify Connectが使えるようになってるのでSpotify Connectの使い勝手の良さは突出している。ネットワーク再生はBluetooth接続のようにいちいち再生端末と鳴り物両方の設定を開いて接続する必要がないので煩雑さを感じない上にBluetooth接続より概ね、いい音で聴けます。更にSpotify Connectの便利な部分は同じネットワークに接続していて同じアカウントでログインしている再生端末全てが同期するので、例えばFire TV Stick 4K MaxのSpotifyアプリで再生したいけどFire TVのリモコンで操作するのは面倒、使いづらいと思ったら再生だけリモコンで操作して、そこから先はiPhoneのSpotifyアプリからプレイリストやアーティストを変更したり、追加したりが出来ます。全てが同期しているので全ての端末に瞬時に再生履歴が反映されるので、外出先で再生履歴から聴き直したいものを探すのも簡単です。

同期に関しては、AmazonMusicはSpotifyのようなスムーズさはないものの、各デバイスの設定画面を開いて「マイ・ミュージックを更新」を押すと同期されるようにはなっています。反映は瞬時とはいきませんが。AppleMusicは更に時間がかかる体感があります。

Bluetoothユーザーってやっぱり多い?

今までハイレゾ再生のための再生端末、鳴り物、接続方法など事細かに書き連ねてきましたが、AppleやAmazonなどデバイス売りと配信両方を担ってる会社や数々のハードウェア・メーカーがネットワーク再生を推奨していても、音質にそれほど拘らない人は気軽に使えるBluetooth接続を、まだまだ選んでいるのかなという体感があります。Bluetooth接続の場合は鳴り物にLDACapt-X HDなどが対応していなければ、iPhoneFire HDシリーズなどデバイス側がハイレゾ再生に対応していても、Bluetooth接続で音質は低く再生されていたりします。

ネットワーク再生でも天井は低い

同じネットワーク再生でもAlexa Castは24bit 192kHzまで出ますが、AppleのAirPlay 2の上限は24bit 48kHzです。意外に天井が低いのでホワイト・ストライプスを24bit 192kHzでは聴けません。

更に、EchoシリーズもEcho Studioのようなハイエンドなスピーカーもお値打ち感があるし、下位モデルはもっとお手頃価格だとは思いますが、実は「ハイレゾ対応」を謳っているもののハイレゾ・ロスレス、UHD(24bit 44kHz以上)に対応しているのはEcho Studioだけで、EchoEcho dotEcho ShowシリーズなどはCD音質相当のHDまでしか対応していません。Apple製品はiPhoneiPadApple TV 4K などの再生機器は24bit 48kHzまで、そして先述の通りAirPlay 2も24bit 48kHzが天井です。ハイレゾで聴くにはハイレゾで聴くための準備が必要なわけです。


ハイレゾ天井の配信数も少ない

AmazonMusicもAppleMusicも、最高で24bit 192kHzのハイレゾで配信を謳っていますが、実際に24bit 192kHzで配信されている楽曲はごく一部に留まっています。特にApple製品で24bit 192kHzまで対応しているのはMacくらいなので、そのほかの機器で鳴らすのを前提とすると24bit 48kHz以下の配信が多くなるのも当然と言えば当然。その分ボトムアップはされていて、CD相当の音質であるロスレス、HDの楽曲がほぼデフォルトになってきていて、HD以下の楽曲はあまりみかけなくなりました。それとビットレートの高いものより空間オーディオでの配信数を伸ばそうと空間オーディオに力を入れている様子です。

MacのMusicアプリで数値見られました


オーディオの品質設定からステレオと切り替えができる

とはいえ、24bit 192kHzで聴けるものはそっちで聴きたいし、その満足感は大きいものの、ロスレス、HDなどのCD相当程度の音質との比較であるならば、SpotifyからSpotify Connectで聴いた時の満足度とどれだけ違うかというとほとんど違いは感じないのです。更に、Bluetooth接続などで音質を下げて聴くのであれば、日常的に印象として残る体感的な音質の違いは縮まると推測できます。

来るぞ来るぞと言われつつ全然Spotify Hi-Fiが来ない背景にはそういった部分もあるのかもと考えています。再生デバイスと鳴り物両方でハイレゾ対応のを選んで購入するのは一部のマニアだし、アーティストもCDで買って欲しいのにわざわざCD音質より高音質の音源をサブスクに放出したいとは思ってない。そして無料会員、有料のプレミアム会員、更にハイレゾに追加料金を払う人がどれくらいいるか、そこの整備にかかる費用対効果と現在の音質に対するユーザーの不満度から考えると、Spotify Hi-Fi頑張る必要ないのかなと。

とはいえ、私は高音質で聴きたいし、そのためにEcho Studio 2台も買ったしSONYのハイレゾスピーカーも複数買ってるし(どっちもSpotify Connectついてる)、高音質で配信されてる楽曲はAmazonMusicとAppleMusicで聴いて、そうじゃないものはSpotifyで聴くという使い分けがしばらくは続きそうです。


今日の1曲


今日のパンが食べられます。