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カレイドスターの、すごい! 20周年記念音楽祭

 『カレイドスター』というアニメ作品が大好きだ。
 どのくらい好きかというと、大好きな『エスパー魔美』や『コメットさん』のアニメと同じくらい好きだ。もしかしたら、作品としての完成度から見た好きさ加減だと、その二つよりも上かもしれない。
 どの作品も、ただ女の子が可愛いから好きとか、そういうのではなくて、もう面白さのベクトルがちがうというかなんというか。
 中でもカレイドスターは、個々のストーリーでも、シリーズを通してでも、構成が素晴らしい。それが世界設定ともキャラクターともきっちりかみ合っているので、見ていて「たまら~ん」となる。
 ほんのちょっとでも「物語を作って人を楽しませよう」という気持ちを持って、そういう種類の仕事をしている人間にとっては、玄人好きのする、すごい作品なのだ。
 細かいこと言い出すときりがないのであまり書かないが、例えば「海外ドラマ」好きな人とかもはまれるアニメだと思う。でも、このアニメの根本にはスポ根がある。スポ根を知らない人に、こっそりスポ根を見せてしまうところがすごいのだ。
 30分番組のほぼ毎回の話で、笑って泣いて感動して達成感まで味わえてしまう。一時間ドラマが間延びして感じられるほどに濃密で要素が多いのに、ひたすら楽しい。
 どんなハードな展開でも、シリアスな話の時でも、フール(というステージの妖精)が笑いを取る瞬間があるし(おかげで、フールですらシリアスになったときは、本当の本当にやばいときだ~とわかるようになってる)。
 カレイドスターの良さ、すごさを最も感じるのは、アイキャッチが入った瞬間だ。「あれ? まだ半分なのっ!?」って、毎回思ってしまう。この密度の濃さはなんなんだろう……と。
 一話一話での、上げて落としてまた上げての起伏も激しいんだけれど、物語全体を通しても確実に右肩上がりになっている、この感覚がまたすごい。

 ……という、カレイドスターのすごさは、十周年のイベント「オールナイトで全話記念上映会」のときに語りまくった。上の文章は、そのときに書いた日記から引用し、加筆修正したものだ。
 一年で終わった単独のアニメ作品で、十周年に映画館で全話上映が成り立ち、映画館が満員になってしまうくらい息の長いファンが大勢いるのも、この作品のすごさだと思う。
 で、二十周年はどうするのかと思ったら……。
 「ホールを借りてイベントやろう!」というクラウドファンディングになった。当然、応募した。貧乏だから、「打ち上げパーティーに出席できる権利」とかまでは買えないけど、それでも無理して参加した。
 集まる額が少なければトークショー程度になるはずだったイベントは、あっさりと「オーケストラによる生演奏を鑑賞する音楽祭」という一番すごいレベルにまで集まった。カレイド馬鹿はみんな、あれから十年経っても馬鹿なままだったんだな~って嬉しくなる。
 で、そのイベントが先週の土曜日に、めぐろパーシモンホールで行われたのである。
 作品内での音楽を、オーケストラと作品の音楽を担当した窪田ミナさんのピアノ演奏で楽しむ――というのがメインで、他に主題歌「約束の場所へ」を歌った米倉千尋さんの生歌、レイラ役の大原さやかさんとサラ役の広橋涼さんの朗読劇もプログラムに入っていた。
 オーケストラでの演奏、コンサート自体が久しぶりだったので音が体に響いた。しかも、細かく覚えているわけでもないのに劇中にかかる音楽がかかると、とたんに情景が浮かぶ。「ああ、これはあのシーンでかかったやつだ!」とすぐにわかる。はっきり浮かばなくても、キャラクターがこういうやりとりするときの曲だ! とわかる。それが、「へー、あの楽器でこうやってんだ」と目でもわかる。映像を見てるわけでもないのに、アニメのシーンが浮かぶのが嬉しくて、なんだか涙がじわじわ溢れてしまったよ。あとまあ、十年前の上映会には、カレイドスターのすごさを共有していた今は亡き友人のGOさんと一緒に行ったんだよなあ……とか思うと余計に泣ける。
 生きてれば、絶対に一緒に行ったろうからなあ。周りには他にカレイドスター好きがいないもんだから、一人で来るしかないんだよなあ……と。
 閑話休題。
 演奏の合間合間に、レイラさんとソラの掛け合い(いや、ほんとは進行なんだけど)が見られるのも良かった。本当に、声優さん二人が当時のレイラとソラのまんまなのがいいんだよなあ。たまらん。
 休憩後の米倉さんの生歌も良かった。音楽祭用にアレンジしたものだったので、客席もいっしょに歌ったり……ってのはできなかったけど。あと、「約束の場所へ」は、合間にパパンと手拍子入れるられるとこが一箇所あって、そこもやりたかったな~ってのはあったけど。
 朗読劇は、今やっている音楽祭が新しいカレイドステージの企画である――という前提で、ソラがレイラさんに感想を聞く、みたいな流れだったのだが、企画そのものが誰の発案だったか……について語っていると、「おーい」とケン役の下野紘さんの声がして、なんだ? 録音した声と掛け合いするのか?と思っていたら、サプライズでケンが登場したものだから、思わず会場から「おおーっ」という声と拍手が……という一幕も最高だった。
 十周年のときにも感じたけど、あっさりと二十年前に戻れるようなイベントってのはなかなかすごいと思う。
 オフィシャル側が、イベントを起こそうって気になるだけファンの熱を感じる作品ってことでもあるんだろうな。

 三十周年、やるのかなあ?
 生きてたら、たぶん行っちゃうんだろうなあ。

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