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1-2.「ヤッパリ野村?それとも?」主幹事証券の選び方のポイントは?

今回は主幹事証券の選定についてお話します。

1. 主幹事証券はIPOまでの最も重要なパートナー

主幹事証券はIPOまでの最も重要なパートナーになります。特に私が在籍していた公開引受部の人間とは、上場準備の大半の期間を二人三脚で課題を解決していくために、お互いの信頼関係の構築がとても重要になります。

主幹事証券会社の役割はIPOの全体スキームの確立・進捗管理、社内管理体制の整備サポート、資本政策のアドバイス等を行いますが、IPOを受験に例えて言うならば、まさに「塾の講師」であり、会社の上場のためにそのノウハウを最大に伝授する役割となります。

2. 主幹事証券の役割

2018年は野村が23社と2位のみずほにわずか1社差で2017年同様首位となりました。3位はSMBC日興が19社と僅差で続きます。

また三菱UFJモルガンスタンレーが5社のうち、単独主幹事は2社だけであり、残りの3社は、キュービーネットホールディングス、ラクスル、ソフトバンクなど大き目の案件の共同主幹事を獲得している部分が特徴的です。

また、藍澤証券がリフォーム事業のFUJIジャパンの札幌アンビシャスIPOの単独主幹事を務めました。

ただし、長期的には、野村、大和、メガバンク系に収斂されていく傾向にあります。

私の経験では会社が主幹事証券を決定する場合には、ビューティコンテスト(ビューコン)という、主幹事を決めるための数社の証券会社による会社宛のIPOのプレゼンを行ってもらうことが多いです。

これは会社から一定の資料を主幹事候補先の証券会社に渡し、
以下の内容をプレゼンしてもらいます。

・現状の課題・上場時の企業価値評価(バリュエーション)・エクイティストーリー(投資家への成長戦略の説明)

そして、会社が一番評価した証券会社に主幹事証券になってもらう仕組みです。
概ね直前々期の前半に主幹証券会社の決定を行う場合が多いです。

3. 選定のポイントはエクイティストーリーの構築力と、担当者との信頼関係

IPOの作業は上場の形式基準、実質基準含めある意味、「型にはめる作業」であるため、どこの証券会社が主幹事になっても概ね作業そのものは大差ありません。

むしろ差がつくのは、上場承認後の機関投資家などにロードショー(上場前に自社の成長力等をプレゼンすること)を行うときの株価(想定発行価格)の納得感を情勢するためのエクイティストーリーの構築力の差であると考えており、そういった意味ではやはりアナリストや、より多くの機関投資家にアプローチ出来る野村、大和、メガバンク系証券は安心感があります。

後は上場準備作業で最初から最後まで付き合うことになる公開引受部の人間と如何に信頼関係、相性がいいかということになります。

次回は上場市場の選定です。

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