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デジタル画

AI を利用して描かれた絵を見たことがあるが、細部に渡り緻密に描写されていて感心した。

感動したわけではない。

人間の感動を生むものが芸術であると認識しているが、デジタル画とは何を表しているのだろうか。

芸術の中で絵画を例にとって考察してみると、絵とは絵の具などの色素を、彩度、明度、デッサン、動勢、遠近感、マチエール等を自分の好みに整えて、紙、板、キャンバス等に付着させて自分の感情を表現するものだといえる。

絵画を体験すると理解できるが、デッサンを描くと、同じ鉛筆、木炭を使って描いても仕上がりの絵が赤っぽくなる人と、青っぽくなる人がいる。
色彩は個人の持ち味のカラーがあって、決して他人は真似ができない。同じキャンバスに同じ絵の具を使って描いても、描いた人の個性の色になってしまう。
更に、二度と同じ絵は描けないということもある。

AI はデッサンは間違いなく正確に描くことができるが、色彩は機能に限定された色しか表現することができない。それからカメラで写真を映してみると理解できるが、見え方が人間にはない固定的なレンズを通した独特な見え方をするので人間とは違う遠近感の表現になる。
決定的な違いは、AI の特性で一枚の絵を何枚でも無限に複製することができる。

音楽にしてもそうだ、アコースティックな音楽を聴いていて、デジタル音源に切り替えると、どこか落ち着かないゆとりのない音楽になってしまう。

こうして考えてみると、AI にとって一番苦手な分野が、芸術だと判断できる。

人間に出来てAI にできないものが芸術なのだ。

SF 映画などでよく人間がAI に支配されたストーリーに出会うことがあるが、同じものを二度と作れない人間と、同じものを無限に作り続けることができる AI とでは価値が全く違うことになる。

芸術万歳

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