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エナジーバンパイアから、そっと離れるー本人だけが気づかない「面倒な人」ー

はじめに

ものごとをいろんな視点から捉えることは大切ですね。「視点取得」という言葉がありますが、簡単に言えば多様な相手の立ち位置から物事を捉えることです。しかし、時々、どうにもその視点には立つことが難しい、手ごわい立ち位置を持つ人が存在します。まあ、相手から見れば「こちらの立ち位置」のほうこそ理解不能と考えている可能性もありますが(笑)。

そもそも、視点、ここでは「認識のフレームワーク」と言いますが、これは一人ひとり違います。夫婦の間でも違います。しかし、何年かつきあっていると、相手の「認識フレームワーク」を「借りて」物事を見る、あるいは推察することができます。

しかし、世の中には異なりすぎる「認識のフレームワーク」を持つ人が一定数いて、どんなに頑張っても、対話やコミュニケーションが成り立たず、無力感に襲われ、あるいはトラブルになる場合があります。

(マジョリティから見ているだけですので)特異な認識フレームワークを持つ人(少数者である場合が多い)が必ずしも悪いわけではないのですが、只ならぬ圧力に「疲れる」と感じるマジョリティにしてみれば、(出会ったことを)運が悪いと思わざるを得なくなります。

「認識フレームワーク」が違うのですから、本人に自覚がない(アンコンシャスな)場合がほとんどで、それがまた周囲の人に絶望感を与えるようです。

気がかりは、この無意識による特異な「認識フレームワーク」に上下関係などを加えると「ハラスメント」につながる危険があるということです。さらに、無意識ですので「自分がハラスメントをしている」自覚は持てず、むしろ「向こうがハラスメントだ」と言い募り、周囲の人の頭をくらくらさせてしまうことを本気で言ってくる場合があるようです。

本当に「認識フレームワーク」の違いのせいなのだとしたら、いわゆる「ハラスメント防止研修」や「アンガーマネージメント研修」は、伝えたい人の心には届かないという悲しい出来事になりかねません。

もし、良い本ないかなと探している人がいましたら、わかりやすいなと思った本をいくつか紹介したいと思います。もちろん、いろいろな書籍が出版されていますので、状況と好みに応じた本を手に取っていただければと思います。

榎本博明『かかわると面倒くさい人』日経プレミアシリーズ

簡単な話を大きくしてこじらせる人

書籍の中から、いくつか紹介してみます。詳細は榎本さんの本をご覧下さい。

日頃仕事をする中で、「これはこうしたほうが効率よくできるな」と思って、決められた手順を少しアレンジして進めると、「勝手なやり方は困ります」とストップがかかる。
「会議にかけてみんなで慎重に検討しないといけませんから」「そんな風に安易に考えるのは困ります」と、言い分も通じず、やがて説教口調になる。 (同上書、23-24頁)

会議で異議を唱えずにいられない人

やたら好戦的で、すぐに戦闘モードのスイッチが入る人物もややこしい。
会議で誰かが提案すると、必ずその弱点を突くような意見をぶつける。提案には重大な欠陥があるとして、得意げに意見を披露し、提案者の方を見てニヤッとする。実に攻撃的で挑戦的な態度を示す。実際には重大な欠陥などはなく、どうでもよいような些細な点に疑問を突き付けている感じにすぎない。まるで人の粗探しをしているようで、聞いていて気分が悪い。
(同上書、28-29頁)
逆に、その人物の意見や提案に反対するつもりなどなく、ただちょっとわかりにくい点があり、そこを確認しようとして質問しようとすると、まるでケチを付けられたみたいに攻撃的な反応を示す。ましてや、その意見や提案に疑問点があり、そこを指摘したりすると、喧嘩腰で反論してくるので、指摘するのが面倒くさくなるが、言わないわけにもいかない。何に関してもこんな感じで、すぐに戦闘モードになるため、できることならかかわりたくないと周囲のだれもが思っている。(同上書、28-29頁)

他人の意見を全く聞こうとしない人

他人の意見を全く聞こうとしない人物も、相手にしているといい加減面倒くさくなる。他人と意見が対立すると、何が何でも自分の言い分を通さないと通さないと気が済まないと言った感じになり、だんだんと言うことが極端になる。いくら議論しても、他人の意見に対して聴く耳を持たない。自分が正しいと信じ込んでおり、絶対に譲らない。自分の意見ばかりを強く主張し続ける。(同上書、34-35頁)

本人だけが気づかない「面倒な人」

上記の書籍のサイトに診断テストが掲載されていますので、紹介しておきます。

周囲の人間がこんなに面倒くさっているのに、本人は平然としている。そもそも自分が面倒くさい人間になっているという自覚がない。周囲を苛つかせているということに気づかないのだ、だから困る。

「鈍感」は自分の欲求充足しか考えていないから

基本的に特異な「認識フレームワーク」を持つ人は、周囲のことには鈍感で、察しが悪く、空気も行間も読めないため、すべてを明確に伝えないコミュニケーションが苦手ということです。

最も苦手なことは「臨機応変」「予定変更」「常識の範囲で」など、変化やさじ加減が必要なことのようです。一般的なタイプでは、例えば「A」はいけませんと伝えると「A'」もダメだろうなと言うことが分かりるとします。しかし、このタイプは「A」「A'」「B」・・・と全てについて規則を作り伝えなくてはならなくなる場合があります。

・みんなが言う常識というのが、私にはよくわからないんです。
(同上書、59頁)
・すべての言動は自分の欲求充足を志向しており、相手の欲求充足などは眼中にない。
・自己防衛意識が異常に強い。(同上書、60頁)

独りよがりの正義感を振りかざす

一般的に、認識のフレームワークは複数存在することを成長の中で理解し、視点取得をします。ですので、成熟すればするほど視点は多くなります。しかし、「Just One World」、自分の「認識のフレームワーク」しか世界に存在せず、それだけが真理であり正義であると信じて疑わない人の場合は、いろいろ困ったことが起こります。

人の意見を聞いて、自分の考えと違うと「それは絶対に違います」「あり得ません」というように、自分の視点を絶対視し、相手の考えを全否定します。自分の視点から抜け出すことが出来ないので、相手の視点に立った場合にどのように見えているかを想像することができないのです。このタイプと議論になると、全く聴く耳を持たないため、議論がかみ合わない。相手の理屈を理解しようといった姿勢がないため、意見が違うと、「絶対におかしい」「あり得ない」ということになり、ときに「許せない」と非常に攻撃的になることもある(同上書、70頁)

自分は正義の味方という自己陶酔

そして、自分が自分の思うように扱われなかったり、評価されない場合があると、「制度が間違っている」「評価者は間違っている」と、「間違った認識をしている(であろう)者」に対し「偏見を持っていることを知らしめるセミナー」に参加させるよう主張することがあります。

このタイプの心の中には、「自分は正義の味方だ」といった自己陶酔があったりする。本人は自分が正しいと思い込んでおり、正義の味方を気取っているが、冷静な第三者からしたら、偏見に凝り固まっているようにしか見えなかったりする。あまりに強硬かつ攻撃的で、違う意見に対して全く聴く耳を持たず、冷静さを失っているようにしか見えないからだ。(同上書、71頁)

その他の書籍

その他の興味深い本として、黒川伊保子『共感障害「話が通じない」の正体』新潮社も分かりやすく面白いです。

また、上記の共感障害の原因の一つであるかもしれない「愛着障がい」からの視点の紹介としては、岡田尊司『死に至る病 あなたを蝕む愛着障害の脅威』(光文社新書)も分かりやすく説明されていて、興味深いです。

わかりやすい動画

文章だけだとなかなかイメージがつかめない人もいると思いますが、これまでに紹介した特異な「認識のフレームワーク」の事例が専門家が説明する「自己愛タイプ」のYouTubeの動画で紹介されていました。個人的にわかりやすいなと思いましたので、リンクを貼っておきます。

わかりやすかった専門家の一人が、カウンセラーの高橋りえさんです。

認識のフレームワークが異なりすぎることで状況把握が困難で、いろいろ婚らインするときに、「認識」をすることで、捉われから離れ、心穏やかに時間を過ごすためのヒントを得ました。もし、そのような情報を必要とされている方がいましたら、一助になるのではないかと思います。

状況を理解できないでいると、自分が悪いのではないかと悩んでしまいますね。置かれた状況はそれぞれだと思いますが、状況理解の一助になればとインフォメーションを紹介しました。皆さんに平穏なひと時が訪れますように。

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