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■58アニメ「アリスと蔵六」ノンバーバルの世界

どんな想像も具現化できる能力をもつアリス(紗名)の成長物語。とてもおもしろかったです。

世界を自由に書き換える事ができる。これを能力として描いているわけですが、実は私達に身近な問題であったりします。

自・他未分。連続的混沌的なノンバーバルな世界に生まれる私達は、ゆえに世界を想像で書き換えてしまうことがあります。自身に必要な一部を次第に切り出して世界を構成してゆくためです。
ですから、ミニーシーは旦那と、あさひはよながと、羽鳥は両親と、未分化な、ノンバーバルな世界の住人です。いはば未熟な状態であります。
私達はこの混沌から、次第に世界を名付け、分節化することで意味づけを行い、バーバルな世界にしてゆきます。

ですから、自我確立が成功するにつれ、成長するにつれ、能力は消滅していきます。成長したアリスは「もう私には力がない」と伝えています。「アリス」そのもの、「赤の女王」、「紗名」、「樫村紗名」、と名付けるにつれその能力は弱体化し、自我が発達してゆきますので、ラストシーンでの台詞「もう大丈夫、ありがとう蔵六」とは、紗名が自我確立に成功し能力が完全に消滅したと読み取れます。つまり世界が名付けられるにつれ、混沌の世界を操れた能力は消滅してゆきますが、それは紗名の成長を意味しているのです。