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2020マイベストアルバム20

今年リリースのものについては148枚のアルバム・EPを聞いた…が、好きなアルバムでも、リピート回数がこれまでよりグッと減ってしまった。。それは生活の変化や、チェック量の増加が原因だと考えられる。
だから、「評価」より「好き嫌い」という軸で選出したきらいが大きい。
四の五の言ってないで行きます。トップ12は順位付けしました。

Natsu Summer「葉山ナイツ」

この夏を彩った1枚過ぎて。都会派でトロピカルでスティールパンの音とかチル〜。例年に増して熱い夏だったが、盛り上げたり爽やかな速さを持った曲だけでなく、こういう穏やかさが必要となる夏だった。全体のテンポが大きく変わらないのも穏やかに聞けるポイントとしてよかった。

LUCKY TAPES「Blend」

前作「dressing」も素ッッ晴らしかったけど、今作もその方向性を突き詰めててキレキレの仕上がりになっている。無理にテンションを上げない落ち着いたオシャレさをもった一枚。シティポップとは異なる、都会派の高品質な楽曲群。

藤原さくら「SUPERMARKET」

「J-POP」な意匠の前作からジャンプアップした内容になっている。1stで中心となっていたアコースティックなものに限らず、ミツメなど様々な交流を通して多様に「ポップ」な楽曲を自身の色を殺すことなく仕上げ切っている。

DAOKO「anima」

上半期選出。これまでの活動で培ったであろうJ-POP的なキャッチーなフックもあるが、ウィスパーボイスで歌われラップされる言葉からはモノクロかつ荒涼とした心象風景が広がる。この低体温加減とインターネットカルチャー、若干のkawaii感、ポスト緊急事態宣言の社会も溶け込んでグッとくる内容となっている。

Hinds「The Prettiest Curse」

上半期選出。ガレージ感があるというか、いい意味でテキトー感があると言うか、作り込み過ぎてないことによる散らばりながら高まる熱を感じると言うか。マイケルジャクソン「Black or White」のギターリフみたいなのが出てくる「The Play」が特に好き。

The Strokes「Tne New Abnormal」

上半期選出。彼らのディスコグラフィを全く追ってない俺だけど、このアルバムは完全にヒットした。SMAP「SHAKE」のハットの音のような「ッツー」という金物の鳴る一曲目「The Adults Are Talking」から間違いなかった。アルバム通して間違いなかった。

Kaede「秋の惑星、ハートはナイトブルー。」

Kaedeの今年リリース作品はいずれも好盤だったが、個人的な好みでこちらをセレクト。ベストトラックでも述べたが、全編シュガーベイブを思い出す楽曲・編曲で超イカしてる。一曲目の「君が大人になって」の音の振り方からビビらされた。控えめでウィスパー成分強いKaedeの歌唱と雰囲気がマッチしてる。ご結婚おめでとうございます!!

Bruce Springsteen「Letter To You」

Eストリートバンド再結成へのストーリーなどは全く理解していないが、このバンドの鉄壁のアンサンブルは時を超えていることは理解できる。御年70歳を超えるボスの声にも活力どころではないエネルギーがほとばしっている。もちろん、「枯れ」感もあるが、それを引き連れてドライブし叫ばれる楽曲には涙が誘われてしまう。

12.降幡愛「Moonrise」「メイクアップ」

それぞれサイズ的にはEP(Spotifyの表記ではシングル)なので二枚で一枚のアルバムとしてセレクトした。実際80sというコンセプトは通底していながら、補完し合うような関係にあるのではないか。降幡愛の書くリリックと本間昭光のサウンドで本気の80sサウンドを2020年に作り上げた。

11.銀杏BOYZ「ねえみんな大好きだよ」

冒頭3曲はノイジーでハードコアな楽曲になっているが、全体としては過去最高にメロディアスでポップな耳当たりの楽曲が並んでいる。俺はこのバンドの血と汗と涙と皮脂と精液とゲロを煮詰めたような側面より、峯田和伸のメロディーセンスに惹かれた面が強いので、この出来上がりは大歓迎。ゴイステ時代の曲も用いているが、ラモーンズやら中島みゆきやらビートルズやら様々な影響を明らかにしている点も好き。みんなとは、人に対してのものだけでなく、影響なども含めたあらゆる自らのヒストリーも含むものと言えよう。

10.ROTH BART BARON「極彩色の祝祭」

正直、楽曲の好みで順位付けすると「ねえみんな大好きだよ」がこの位置に来るが、2020年のアルバムということでセレクトするとこの楽曲が上に来る。Bon Iver「22,A Million」などにも接続するようなエッジの十二分に効いた楽曲が並び一つの極彩色の絵巻を描きあげている。誰もが触れる部分に違いないが、8~9曲目のつながり、あの数秒のブランクに2020年に聞くべき意味がある。

9.Base Ball Bear「C3」

上半期選出。リスニング環境がサブスク全盛の今、多く楽曲を配信しておいて、それらを全部収録しアルバムを構築するというやり方は、振り返るとTHE 1975などとも通ずる作り方だった。また、ここに収録された音が今年バンドサウンドを聞く基準の一つにもなっていた(そのため、期待していたのにアルバムを聞き通せなかったバンド・アーティストがいる)。今回はあくまでスリーピース"ロック"バンドの基礎固めの1枚だったと思う。

8.サニーデイ・サービス「いいね!」

上半期選出。聴き終えて「名盤だ…」とかではなく、カラッとした気持ちで「いいね!」と思えた作品だった。今年の始めにリリースされた「雨が降りそう」を踏まえるともう少しドロッとした楽曲が多いアルバムが出るものかしらと思っていたのだけど、良い方に裏切られた。「いいね!」リミックス盤にソロアルバムと今年も曽我部恵一はフルスロットルな活動ペースだこと…。

7.及川光博「BE MY ONE」

上半期選出。これまでのミニアルバムでポップ、ロック、ラテンなど様々なトライをしてきたからか、本作はミッチーの音楽性の中心であるファンクの成分が強めの内容となっている。楽曲は粒立っており、歌詞でしっかりと「ミッチー」を演じきっているのは流石の一言。そう、この作品は「ミッチー」を味わうためのものだ。本人のペンによる「悲しみで胸がいっぱい」を聞くと、「忘れてしまいたい」を思い出してしまうのだけど、こういった恋に破れる(若しくは上手くいかない)男性を描き続けるのは、50歳になっても変わらないもんなんだね。

6.米津玄師「STRAY SHEEP」

前作はコラボレーションも多くテーマとして「共働・協働」というキーワードが前面に押し出されていたように思うが、今作はそれは完全に当然のものとして内面化されており、どうしても「個」として生活しなければならなかった今年の雰囲気を掬い上げているように思える。今作は「邦ロック/J-ROCK」的なギターロックなアプローチはサービス的に抑えられており、さらにアレンジの幅も広がっていて楽しい。

5.環ROY「Anyways」

ここには「生活」がラップされている。だから「泉中央駅」が曲名に表されるし、「ちびまる子ちゃんのセリフ」が出てくる。「お化けが起き」てくるのも当然だし、子どもが無邪気に見てる救急車で誰がどのように苦しんでいるか気にもしないことも当然だ。2020年、こんな社会じゃ「俺ら気分はもう戦争」になったってしょうがねえよ。

4.岡村靖幸「操」

上半期選出。序盤の高い熱量を徐々に体に馴染ませていくかのような印象を受ける流れでアルバムは進んでいく。しかし、表面上落ち着いているようでも、心の中心は弾まずにはいられない。操を寄せることは中々憚られる今日この頃だけど、この操には体を任せてもいいんじゃないか。いや、任せちゃおうよ。

3.Dua Lipa「Future Nostalgia」

上半期選出。速過ぎず、そしてしっかりとしたビートのメロディが立ったダンスチューンが並べられていて、単純にアガる。そして、全て調べたわけではないので間違えているかもしれないが、女性の代表としてのステイトメントの側面も強いのだろう。特に「Boys Will Be Boys」はガッツーンとキた。内容やタイトルもそうだし「The Kis ain’t Alright」という一節も。ここに収められたテーマ・メッセージを身に着け2020年代進んでいかねば。

2.Mr.Children「SOUNDTRACKS」

このような進化をしてくれて本当にうれしい。彼らは過去最高の録音・音の良さで自らの加齢に合った進化を果たした。全体のストーリーテリング・まとまりの良さもさることながら、楽曲単位でも「Birthday」「others」「Brand new planet」と充実ぶりを見せている。25周年を経て尚尽きることのない創作への姿が収められたドキュメンタリー作品としても鑑賞が可能だ。

1.RYUTist「ファルセット」

誰もが春を奪われたのがこの2020年。「最悪な春」を味わったことだろう。これは新潟から失われた春を笑顔で届けてくれた四人の「GIRLS」によるポップアルバム。豪華な提供曲者が並んでいるが、散漫な印象を受けないのは、四人の声を核としているからだ。明るく走り抜けていくよ、2020年。

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