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2023年上半期ベストトラック15・ベストアルバム/EP10

2023年上半期ベストトラック15

Sixtones「こっから」

6人によるマイクリレーも上手だし、ガナリなど声色を巧みに使っているものの、聞き手に「上手さ」以上に熱量を感じさせる楽曲に仕上がっている。それは「だが、情熱はある」の内容を踏まえたリリックによるものか、躍動するステップがフィーチャーされたダンスによるものか、まだまだ上を目指さんとする6人の青年の気迫と技術によるものか、こっからますます聴き込んで確かめたい。

lyrical school「NEW WORLD」

LS8の幕開けを告げる1曲。イントロのギターストロークはノスタルジックなノイズを含んでいて、それがMVの質感と絶妙にマッチしている。一目見れば、一聴すれば、「久しぶりだね はじめまして」と再び繋がることのできるクルーとしてリスタートしたと思う。しっかし、まあ~、いい曲!!そして、ライブを観たけど、この曲で締まる締まる!切り開く新世界の提示の嚆矢として満点でしょうよ。

くるり「愛の太陽」

跳ねるような推進力の高いリズムセクションで引っ張っている楽曲。「くるりらしさ」に満ちた楽曲なのかは分かりかねるのだけど、「ワンダーフォーゲル」とかの延長的にも感じられて好き。「伝えきれない 言葉の端が 海の底に沈むんだろうな やさしさや思いやりが 息を止めて沈むんだろうか」という歌詞が切なくも、優しくてお気に入り。

ゆっきゅん「隕石でごめんなさい」

ジャケがHerosの時のボウイとかミックジャガーと山口小夜子のツーショットみたいで爆イケだし、MVのゆっきゅんの衣装は「TOKIO」のジュリー的でもあり、「TATTOO」のMVの清春みもありな全カットキメキメぷりだし、松井寛の作編曲も最高だし、歌詞・歌唱もキてるし、最後のラップ?が及川光博「忘れてしまいたい」的に聞こえて、もーこれはキャーキャーですよ。

BBHF「メガフォン」

2023年にはGGも再結成したけれども、こちらのグループの楽曲を。ふと歌詞の全体を見渡してみると、こんなに全バースが芯を食ってていいのかと思えるほどの完成度。こんなクソッタレなゲームに参加させられてる/見させられてる全ての人が聞くべきだ。メガフォンでバキバキに音が割れても拡声させてやる。「このゲームの敗者は ここにいる全員」だとしても。

上原ひろみ、馬場智章&石若駿「WE WILL」

ジャズ・・・は全然わからんでして、院生時に先輩から「坂道のアポロン」のサントラでも聞いてみたらとオススメされたのを聞いてたくらいで。まず映画を観てイナズマ撃たれ、でサントラをという流れでこの曲へ。サックスとドラムのみの武骨なサウンドに完敗ですよ。

NewJeans「ZERO」

「ドラムンベース × 童謡的なメロディ」ってまさにピンクパンサレスとかが出てきた今出すべきアイデアで、その周到さに斜に構えた態度を取りたくなるけど抗えない。後でリリースされたリミックスよりもこっちかな。視覚的にはダニエルが眩しくてしょうがない…特にスクール感のある衣装がね…眩しい…。

THE NOVEMBERS「かなしみがかわいたら」

L'Arc~en~Ciel「Pieces」の慈しみと、THE YELLOW MONKEY「SO YOUNG」のある一つの燃え尽きと、サザンオールスターズ「愛はスローにちょっとずつ」の愛情とが織り交ざっているような、美しい一曲。流れる涙も美しい。流した涙が乾くころ、見られる表情もまた美しい。

スピッツ「跳べ」

この曲はApple Musicのコメンタリーによるとコロナ禍明け久々に集まって最初に録音したのがこの曲だそうで。4人で音を出すことへの前向きなアグレッシブさがパンパンに詰まっている。「ここは地獄ではないんだよ 優しい人になりたいよね」ってさ~~~~!草野マサムネの詩情もバクハツしてるじゃんかよ~~~~!

MONO NO AWARE「風の向きが変わって」

ソングライターがしたためているのは歌のための詞、「歌詞」であるとするならば、メロディーやリズムと言葉がガチッとハマることの快楽を感じるのが音楽を聴く理由の一つかもしれない。「向かい風がちょっとクーラー みたいだなって思った瞬間 自転車のスピードが ほんのちょっと上がる」のハマりようったら。全体としてのストーリーテリングも良きですねえ~。

Cornelius「火花」

METAFIVEでの活動以降、彼の楽曲を構成する楽器の中ではどうしてもギターに耳が奪われる。コードストロークを続けているわけでもなく、効果音的にもギターの音を配置しているのだが、そのどれもが必然的かつ効果的。様々なきっかけで眠っていた記憶は顔を出す。時間は一瞬の連続、その無限の一瞬の中にこの曲が忘れられない光を放った。

私立恵比寿中学「kyo-do?」

ブラスを基調としたキュートなダンスポップ。ヤマモトショウ外さんなあ。前アルバムのリード曲が「あの頃の恋」を歌うビタースイートなものだったのに対してサムネイルからもうかがえる輝きっぷりよ。新体制になったんだから、こんぐらいハデにカマしてかないとね。

パソコン音楽クラブ「Day After Day(feat.髙橋芽以)」

「そして今日もまた続く」の「そして」の部分が「so sweetie」に聞こえるのは俺だろうか。歌詞にあるようにドラマチックなことは起きない。それはメロディの抑揚が抑えられていることにも表されている。さりとて、なにも輝きがなく、つらいだけの日々には耐えられない。いつもは何とも思っていなかったものが急に光り輝くことがある。甘い一瞬が確かにあるのだ。

Base Ball Bear「Endless Etude」

サウンドとしては近作でいうと「悪い夏」とか「動くベロ」踏まえたポストパンク?ニューウェーヴ?的な音で「聞きたかったコレ〜!」ど真ん中。(間奏のパーカッションに単音のギターリフを絡めるのを聴くとトーキングヘッズ?とかと思ってしまう見識の狭さよ。ああ恥ずかしい。。)歌詞は「LOVE MATHEMATICS」的な言葉遊びかなと思いつつ、前作「海になりたいpart.3」から引き続き音楽へのラブレターとしても読め得るかも?

cali≠gari「銀河鉄道の夜」

歌詞の主軸は宮沢賢治の同名作が潔すぎる程に貫いている。アルバムのテーマである生死になぞらえて、この作品を主題としたのだろう(青さん作なのでカムパネルラとジョバンニの「魂の一対」的なモチーフを前傾させることも可能だったろう)けれど、映画『怪物』が放映されてる今リリースされるのは何ともジャストな。抒情的なメロディーが担保された間違いのない一曲。

2023年上半期ベストアルバム・EP10

くるり「愛の太陽 EP」

個人的には、くるりはかったるさを感じることが少なくなかったのだけど、今作は好きなツボをグイグイ押される。サイズとしてもEPくらいがちょうどいいのかも。

Cornelius「夢中夢」

一つ一つの音の配置というか音がイイアルバム…。メロディも変にカドが立ってない聞き心地で。

大滝詠一「大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK」

大滝詠一の没後リリースされた作品の中でも、もしかしたら一番いいのでは?ウェットサイドを集めた「Happy Ending」の100倍はイイ。死んで涙を誘うのは二流でしょ。プッと笑わせてこそ。

Summer Eye「大吉」

シャムキャッツ当時はなんとも分からなかった。今作の軽快なリズムを基調とした楽曲群は好きだなあ~。打ち込みで作られた手造り感もたまらんね。

BUCK-TICK「異空」

この時代だからこそリリースされた言葉と音像に、キャリアで培ったすべてが凝縮されたような櫻井敦司のシアトリカルな歌唱が乗るという傑作。底が見えないベテランだな。

パソコン音楽クラブ「FINE LINE」

Summer Eye『大吉』と感想が近くなるのだけど、軽快なリズムにポップなメロディがのる短めの作品、イイよなあという。こちらはインストが多めだけど、それも良かった。

スピッツ「ひみつスタジオ」

アルバム単位で刺さるのはいつぶりやら。「いつも通り」の必殺のメロディは健在なのだけど、「美しい鰭」のキメや「未来未来」の民謡コーラスなどはみ出ている部分も充実してる。とげまるなバンドだ。

cero「e o」

丹念に編みこまれた、そう編まれたという表現にふさわしい作品だと思われる。かといって難解さはなく、スッと入ってくる。聞き慣れぬリズムや和音やコーラスなのに。前作のようにリズムセクションが強く前に出ている作品ではないが、ライブで聴くと自然と体が揺れた。

Galileo Galilei「Bee and The Whales」

GGのあの頃の続きというよりも、BBHFの延長という方が適切な気がする曲群ではあるが、ヌケ感があっていいな。これからGGがどこへでも行ける未来が見えるのがいい。

cali≠gari「16」

「生と死」というテーマが貫かれているが、それ以上に楽曲がとっちらかってるのがホント彼ららしい。「実験室」の冠が乗っていてもおかしくないが、そこはキャリアを経て一曲一曲のクオリティは十二分。前作より好き。「切腹-Life is Beautiful-」とか、音像が極端なものが多いのもサイコー。

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