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電気的地球科学への招待⑦ー地球磁場

主流の地球科学では地球磁場は核に流れる金属が原因とされます。しかし、溶けた鉄が流れるだけで磁場が発生するなら、製鉄所は大変なことになるでしょう。高炉から銑鉄を取り出しただけで周囲の鉄を引き付けてしまうからです。溶けた鉄が流れただけで磁場は発生しません。磁場の発生には電流あるいは電荷が必要です。電流源が定かではないダイナモ理論は破綻しています。
今回は地球磁場にとどまらず、惑星の磁場の発生について解説していきます。普遍的なメカニズムが磁場の発生にはあります。


磁場はベクトルの合成

最初にもっとも単純な磁場が目に見えるようなマクロな磁場に発達する仕組みを解説します。この磁場の仕組みを知ることで、自然界に現れる現象の多くを理解することが出来ます。
一般に磁場の発生は電流で説明されることが多いのですが、もっとも基本的な磁場の発生は荷電粒子です。荷電粒子とは電荷をもつ基本粒子のことですが、陽子と電子が存在します。イオンも荷電粒子の一形態です。
たとえば、電子に力を加えると磁場が発生します。

電子に力を加えたときに発生する円形磁場がもっとも基本的な磁場

この円形磁場は電子自体に対して引き留めようとする力を発生することから、電磁質量ともいいます。銅線内部の電子が移動するときにも磁場は発生します。

銅線に電流が流れると内部を移動する多数の電子から生じる磁場のベクトルが合成され周囲に現れる

銅線に電流が流れる場合を考えます。銅原子は互いに外側の電子を共有する結晶格子を作っています。ところが銅原子の外側にある電子は比較的自由に動き回ることが出来る自由電子と呼ばれます。銅線の両端に電池をつなぐと銅線内部の電子に電界が加えられます。自由電子はいっせいにプラスの方向に移動しますが、この時の速度は秒速数センチと言われます。ところが全部の自由電子が全部同じ方向に移動するのではなく、互いにぶつかったり、不純物に遮られたりします。銅原子核のプラスに引き付けられる場合もあるでしょう。ぶつかったりして減速する電子は、加速する側とは反対向きの磁場を発生させます。しかし、全体で見るとプラスに引かれる電子が多いため、見かけの磁場のベクトルも同一方向に現れます。
銅線に電流を流した場合に現れる磁場は円形磁場です。まだN極とS極が離れていません。銅線をくるくる撒いてコイルにしてみましょう。

銅線を巻いてコイルにした断面

コイルにした銅線は1本1本を見るとまだ円形磁場のままですが、隣り合った銅線が生じる円形磁場と同じ方向です。これら円形磁場のベクトルが合成されると、コイルの両端まで磁場が延長され、N極とS極がコイルの両端に現れるわけです。

磁場はクーロン力の変化が真っすぐに届いた結果現れる

ここで重要なことは、磁場は1個の荷電粒子から放射されるクーロン力の変化が無数に合成された力であることです。

永久磁石の仕組み

たいくつかもしれませんが、もう少し磁場のベクトルについて説明していきましょう。標準理論では電子が回転すると磁場が生じると説明します。原子を構成する電子の自転ースピンの向きが一定以上揃うと外部に磁場が現われ、これが永久磁石の原因であるといいます。しかし、電子を考えてみるとはたして回転しているかどうか、判別できるでしょうか? 電子の自転によってクーロン力が変化するためには、電子の表面にクーロン力の強弱がある必要があります。つまり電子が分極していないと自転しても磁場は発生しないのです。電子はそれ以上分解できないから素粒子と言われています。自転したとしても、電子の表面は均一なので、磁場は発生しません。
では、原子内部で電子はどのようにスピンしているのでしょうか? 科学史から見た量子力学の間違いでは、軌道電子は原子核の陽子に引き付けられつつ、核内電子に反発してゆるくつながれている状態と説明しました。また、原子核にニュートリノが入射するときに生じるガンマ線の定常波の谷間に落ち込んでいるので軌道電子は飛び飛びの軌道を取っています。

軌道電子は緩くつながれた状態

このとき、軌道電子は緩くつながれた状態で周囲からの電磁波の照射を受けます。温度により揺さぶられ、小さな半径で周回転するのです。周回転する電子は磁場を発生します。たとえば、鉄原子の軌道電子は、外部から磁場をかけると軌道電子の一部が一方向に周回転が揃います。磁場を取り去ってもこの周回転の向きは残るため、永久磁石になるわけです。永久磁石のエネルギー源は温度であるのです。
そのため、温度を上げていくとある一定の温度で周回転の向きがバラバラになって、外に出てくる磁場のベクトルがなくなります。永久磁石の磁場が温度の影響を受けるのは、温度ー電磁波による周回転の向きが変わるからです。
標準理論のように、スピンは実際に電子が自転していると考えると妙なことになります。どのようにすれば均一な表面を持つ電子を自転させることができるのか? 均一な電荷が回転しても外に現れる電荷は一定です。これ自体が疑問になります。
中性子が自転すると磁場が発生するのは、中性子は陽子に電子がくっついた状態であるためです。双極子が回転するので磁場が発生します。また、太陽磁場でよく説明される磁場のリコネクションは、荷電粒子のレベルで考えるとありえないことがわかります。

地球磁場は自転による

ミクロな視点で磁場の発生を考えてみました。地球や惑星の磁場は巨視的な現象ですが、磁場がベクトルの合成であることから、ミクロな視点が必要であることはわかっていただけましたでしょうか?
ところで、現在は衛星による観測が発達して、地球表面の磁場と重力を非常に精確に測定できるようになりました。

上:地表に磁気異常 下:重力異常の分布(大西洋の同じ場所を見ている)
電荷の分布と磁場が直交していることがわかる

衛星による重力異常の測定は、衛星が周回するときの微小な軌道変化を測っています。衛星は地表の重力によって引き付けられているのではないことを電気的地球科学への招待③ー複雑な重力で説明しました。地球の周りを周回する衛星は地表の電荷に左右されているのです。下の図は地表の電荷の分布を見ていることになります。
地表を覆う岩石は誘電体という電子を蓄える性質を持ちます。地球内部から湧き上がってくる電子が地表の岩石に蓄えられています。膨大な数の電子が自転によって動きますが、このとき地球の円弧に沿って移動するため、加速度が与えられます。これによって電子は磁場を発生させます。電荷の移動と磁場は直交する性質を持ちます。磁場の分布を比較すると見事に直交していることがわかります。
ところで惑星の自転方向は、金星と天王星を除けばほぼ同じです。

太陽系惑星の自転方向

いっぽう、惑星の磁極の向きは岩石惑星とガス惑星で反対になっています。

天王星は自転軸と磁極が合っていないが、ほかは回転方向に磁場が生じている

この違いは岩石がマイナスの電子を蓄えるのに対して、ガス惑星の大気ーメタン、水素などはプラスの電荷をもつからです。プラスの電荷を持った大量のガスが自転方向に回転することで磁場が発生します。

地球磁場の逆転は起きない

地球磁場は地表の岩石に含まれる電子が自転によって加速度を得て発生させている微小な磁場のベクトルが合成されたものです。地球の自転が逆にならない限り、地球磁場の逆転は起きません。
地磁気の逆転現象は、岩石に残された古地磁気が証拠だとされます。大西洋などの海嶺の両側に広がる海底の岩石には周期的な磁場の逆転が記録されていると主張します。

海嶺の両側に磁場の逆転した領域が現れている
wikipediaより

ところが、古地磁気を持つのは岩石に含まれる酸化鉄です。酸化鉄は録音テープなどに使われている磁性材料ーフェライトと同じ性質を持ちます。古地磁気は溶けた岩石が冷えて固まるときに、地球磁場によって磁化されたといいます。何万年も前の地球磁場が記録されているのです。
しかし、録音テープを使い慣れた人なら、テープの磁気は次第に弱まっていき、数十年で録音された音声などは再生できなくなることを知っています。すべての永久磁石には減磁という現象が起きるため、仮に1年で0.1%磁力が減少するとしたら、1000年で36%、1万年で0.005%に減少してしまいます。また、周囲の磁場によって再磁化されることもあります。岩石には落雷によって磁化された、強い磁場を持つ例もあります。また、地面には地電流が流れているため、周囲の岩石が磁化することもあります。
海嶺周辺の磁場の分布をみると海嶺の地下にあるマグマに流れた電流によって、周囲に渦電流が生じた可能性が考えられるのです。渦電流が生じると地磁気とは反対向きの磁場が発生するからです。いずれにせよ、岩石に刻まれた古地磁気は何万年も前のものではなく、ごく最近になって磁化されたものと思われます。

また、電気的地球科学では地球上の山脈が出来た原因は、月や金星による惑星間放電によると考えています。非常に強い電流が流れた結果、相手の惑星から岩石が降ってきたのが山です。次回は、惑星間放電について解説します。

タイトル画像はタワラ状溶岩、強く磁化されている。

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