LululemonがMirror買収、UberがPostmatesに買収提案、など
国内外で注目ニュースが多数あったので、薄く広くカバーしていきます。
LululemonがMirrorを5億ドルで買収
アパレルブランド「Lululemon」が投資先でもあるスマート・フィットネス「Mirror」を5億ドルで買収すると発表しました。
Mirrorは鏡を活用したオンライン・フィットネスプログラムを提供しています。コロナ禍でPelotonの課金ユーザー数が100万人を突破したように、Mirrorも巣ごもり下で急成長中。今年の売上は1億ドルに到達する見込みで、来年には黒字化を見据えています。
Lululemonは店舗閉鎖を余儀なくされた中でEC売上が拡大しています。Pelotonや中国のフィットネス・ユニコーン「Keep」もアパレルに参入していたりと、フィットネス業界は垂直統合の動きが活発になっている印象です。
UberがPostmatesに26億ドルで買収提案
Uberがフードデリバリー「Postmates」に買収提案したと多数メディアが報じました。
Postmatesは昨年早々にIPO申請していましたが、競争激化やコロナ禍に見舞われて進展せず。過去にはDoorDashと統合するという噂もありました。Uberの提示額は26億ドルで、前回調達時の評価額24億ドルを上回っている模様です。
Uberといえば、先日Grubhub買収に動いていましたが、独占禁止法等の壁もありJust Eat Takeawayにかっさらわれてしまいました。
最新データでは、Uber EatsとPostmatesが統合した場合の市場シェアは30%に。DoorDash45%を追随できるか、米国フードデリバリー市場からは引き続き目が離せません。
インドのフードデリバリー「Zomato」にTemasekが1億ドル出資
米国だけでなくインドでもフードデリバリー市場にも動きがあります。
フードデリバリー・ユニコーン「Zomato」はシンガポールのSWF「Temasek」から1億ドルを調達しました。
Zomatoはアリババ傘下Ant Financialが株式25%を保有しており、今年1月にも1.5億ドルを調達していました。
インドのフードデリバリー市場は米国とは対照的に逆風気味。コロナ禍でレストランの多くが経営難に陥り、今後6〜12ヶ月以内に25〜40%減少してしまうと推測されています。
Zomatoは5月、従業員約4,000人のうち13%をレイオフ。テンセント等が投資するSwiggyやAmazonとの競争の行方に注目です。
中国の共同購入プラットフォーム「興盛優選(Xingsheng Youxuan)」がテンセント等から3億ドル調達
続いてもデリバリー関連です。
中国の中国の共同購入プラットフォーム「興盛優選(Xingsheng Youxuan)」が約3億ドルを調達しました。
今回のラウンドにはテンセントはプリマベーラ・キャピタルなどが参加し、評価額は前回の3倍となる30億ドルに達したようです。
共同購入ECだと、最近では「同程生活(Tongcheng Life)」という企業が大きめの資金調達を発表していました。OTA企業「Tongcheng-Elong」からスピンオフした企業ということで、テンセントも関わりがあります。
中国ではコロナ禍に伴う巣ごもりで生鮮食品ECも活況。テンセントはシェア6割と国内最大のMissFreshにも出資しており、EC周りのポートフォリオもどんどん強化しています。
キム・カーダシアンの美容ブランドが2億ドル調達、評価額10億ドルに
Kimono騒動でも話題となったキム・カーダシアンの美容ブランド「KKW HD」がCotyから2億ドルを調達し、評価額10億ドルに上昇しました。
Cotyは、KKW Holdingsの株式20%を取得して戦略的パートナーシップを締結しました。
さらに、キム・カーダシアンの義理の妹であるKylie Jennerの美容事業についても株式51%を6億ドルで取得し、子会社化しています。
Cotyは1904年に創業された世界最大級の香水会社で、NYSEに上場しています。
ケイティ・ペリーやデビッド・ベッカム、、ビヨンセなどセレブとコラボしたブランドを多数展開しており、D2Cの派生版「P2C(Person to Consumer)」的なブランド展開の先駆的存在ともいえます。
LVNHなどに似たコングロマリット感があるので、時間があるときに実態を詳しく調べて見ようと思います。
楽天モバイルが100万回線突破
楽天のMNOサービス「楽天モバイル」UN-LIMIT契約申込数が100万回線を突破したと発表しました。
4月8日にサービスを開始してから約3ヶ月での100万回線達成です。
1年間無料キャンペーンや格安端末Rakuten Miniといった獲得施策がうまくいっているようです。
基地局の開発が遅れたりRakuten Miniの仕様を無断変更したりと課題は山積している印象。
しかし、個人的に楽天経済圏は最強だと思っているので、大手3キャリアを脅かす存在になれると考えています。自分はMVNO、無料サポーター時代から囲い込まれています。
今月16日には楽天銀行が900万口座を突破。ECや金融事業と楽天ならではなシナジー創出に期待したいです。
BlackBerry最後の端末「KEY2 Last Edition」をFOXが299台限定販売
BlackBerrryブランドの端末がいよいよ完全にこの世から姿を消します。
すでにBlackBerryは2016年9月に自社での端末開発から撤退済み。
以降はTCLコミュニケーションがライセンスを保有して「BlackBerry KEYone」「BlackBerry KEY2」などのAndroidスマートフォンを開発、販売してきました。
しかしBlackBerryとTCLは2020年2月にライセンス契約を終了し、BlackBerry端末の販売も終了することに相成りました。
BlackBerryはソフトウェア企業に生まれ変わっており(もともとEメールサービスから始まったので原点回帰?)、セキュリティ・サービス等を提供しています。
(BlackBerry AGM Presentation June 2020)
車載OS「QNX」は次世代自動車の鍵を握っていたりもします。昨年は1.75億台がBlackBerryの監視対象になったとのこと。
ソフトウェア売上はCylance買収などもあって10億ドルを超えました。最新1Qはコロナ禍で自動車製造が停滞した影響で減収、大赤字となりましたが、今後の復活に期待です。
インド政府がTikTokやWeChatなど59の中国製アプリを禁止
インド政府が中国製アプリの使用を禁止すると発表しました。
対象はTikTokやKwai、WeChatなど59にぼります。インド政府は禁止理由について「インドの国家安全と秩序を損なう活動に関わっている」と説明。
(India Ministry of Electronics & IT)
インド人ユーザーのデータを国外にあるサーバーに許可なく伝送・保管し、「インドの国家安全保障と防衛に敵対的なエレメントでマイニングおよびプロファイリング」が行われる状況は、緊急対応を要する深刻で差し迫った懸案だと指摘しました。(Bloombergより拝借)
Sensor Towerによると、TikTok累計20億DLのうち約30%にあたる6.11億DLがインド。最大市場からの締め出しは大きな痛手となりそうです。
最近ではJioが100億ドル以上の資金調達を実施するなど、デジタル社会における支配力を高めようとしています。インド政府としては自国サービスを守る狙いもありそう。
AmazonやNetflixなど、インド事業を強化するアメリカのテック企業にとっては好機到来といえそうです。
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