【老親リスクを回避せよ05】勝者は敗者の犠牲の上に

ここで、知っておいたほうがいい真実についてお伝えします。

永田町や霞ヶ関でB層と呼ばれている人たちがいます。それは、自分で学ぶことなく、メディアから垂れ流される報道だけを鵜呑みにして能天気に暮らしている愚かな大衆といった意味で使われています。

B層にはテレビ大好き人間が多いようで、家にいる時は一日じゅうテレビのスイッチをオンにしています。で、ワイドショーやコマーシャルから垂れ流される情報を真に受けやすい…。とくに芸能人や有名人の発言内容にモロに影響を受けてしまう…。こういう人たち、つまりB層は、国家を運営する側からすると容易に洗脳しやすい人たちということになるそうです。

そんなB層の人たちは、「一億総活躍社会」とか「介護離職ゼロ」とかいった表層的な言葉遊びが大好きです。だから、能天気に明るい未来をイメージして納得してくれる。だから国家の舵取りをしている人たちにしてみると、きわめてコントロールしやすいB層の人たちがいるから安泰ということになるのです。言い換えれば、B層の人たちの犠牲の上に、政治家や役人たちは幸せを得ているわけです。だから、B層の人たちには、いつまでも、未来永劫、自分の頭で考えることをしないB層のままでいてほしいと願っています。太平洋戦争の時も、国民は国家にダマされました。そして今もなお、国家の上層部にダマされ続けているのかもしれません。

とんでもないって? いや、ちがうのです。ダマすほうも悪いですが、ダマされるほうも悪いのです。幸福を国に求めたり、不幸を国のせいにしたりすること自体が、そもそもまちがいであると気づくべきでしょう。自分の幸せは自分で獲得すべきもの。自分の危険は自分で回避すべきものです。このことを認識できるかどうかが、私たちの未来の浮沈を握っていると思います。

永田町や霞が関の人たち、そして、彼らから恩恵を受けている人たちはみな言っています。

「介護の問題は時すでに遅し、もはや打つ手がない」
「まあ、自分たちにはさして影響のない話だ」
「この手の問題は、票にならないからねぇ」

でも、その本音を言ってしまったら今の立場がなくなるし、暗殺なんぞされてはたまらないので貝になっているだけのことです。だから、シニアも、障害者も、母子家庭も、ぜぇんぶ大切だと口先では言うのです。本音を言えば、この先、こうした人たちの予算配分の優先順位は低くなるでしょう。

大体、政治家や役人たちは、老老地獄だの介護だのの問題で悩む必要がありません。その推定年収は、内閣総理大臣が5千万円、国務大臣で3千5百万円、国会議員が3千万円、事務次官は3千万円、局長クラスでも2千万円は優に超えています。ついでに、地方議員だって、1千5百万円です。

地方だってそうです。かつては、卒業を控えた大学生の間で、「地方公務員なんかになってどうすんの?」とか言われながら、地元の縁故で入庁したような人たちが、今や地方行政の上層部に君臨しているのです。身分保証と年功序列の恩恵に加え、金銭面でも一般大衆からすれば羨望の対象です。地方公務員の平均年収は700万円超で、かつ退職金が3千万円。役人天国はあい変わらずです。

さらに…。彼らは定年を迎えても天下り(あるいは再任用制度)できるので、生きている限りキャッシュインの心配がない。つまり、本人や家族が要介護になったところで、月100万円を払って介護のできるお手伝いさんを住み込みで雇えばいいだけの話なのである。世の中に介護の担い手が足らなかろうが、特養や病院が足らなかろうが、自分たちには関係がない。そんなことよりも、道路や建物をたくさん作ることのほうが重要なのです。この先、人口が減り、車も減ることがわかっていても尚、です。

でも、この記事を読んで憤慨する人は、すでにB層だということになります。そんなことは学生時代に教わったはずです。ニッポンが資本主義国家である以上、資本主義イコール競争社会なのだから、敗者がいて勝者がいるのは当たり前のことなのです。

国家や地域を牽引する側の人たちの悠々自適な暮らしは、多かれ少なかれ、愚かな大衆の犠牲の上でこそ成り立つものです。この国では、受験戦争があり、就職戦争があり、そして最後には老後戦争が私たちを待ち受けている。そう割り切って、老後の勝者となることを考えたほうがいいと思います。

でも、せめて心あるトップが君臨する企業群には期待したいものです。「介護離職ゼロ」はもとより、「ダイバーシティの推進」やら「女性活躍推進法」やらもいいけれど、社員が安心して仕事に没頭できる環境づくりに取り組んでほしいものです。

これからの時代は、決して表層的な『介護休暇取得』や『在宅勤務』の奨励ではありません。むしろ、老親に何かがあっても職場を離れなくて済むインフラ整備。社員や配偶者の時間的・物理的負荷をかけることなく、老親問題を丸投げできるようなワンストップサービスの窓口を確保することです。他社に先駆けてそんなインフラを整備してこそ、社員の会社に対するロイヤルテイが高まるというものです。きっと株価だって上がることでしょう。

簡単な話です。その手の受託サービスを手掛けている事業会社の法人会員になればいいだけのことです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?