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当たり前じゃないこと。

メリークリスマス。
いつも頑張ってるきみのこと、誇りに思っています。
ずっと見守ってるから安心してね。
母より

最近母の身体に小さな違和感が増えてきた。54にもなればそんなものだと宥めてきたが、「そんなに長生きする気がしない」と、母はいつも言う。

今年、友人の母親が癌で亡くなった。
小学校で一緒だった私の友人は泣き虫な女の子だった。
親の転勤で中学に上がる頃には隣の県に越してしまい、それからは写真でしか彼女をみることは無かった。年々美しくなっていく彼女は、幼いころには気づかなかったキリッとした目鼻立ちを持っており、いつも友人に囲まれている、明るい女性になった。


「生前母がお世話になりました」

私の母にメールをしてきた彼女は、私の知っている泣き虫とは、まるで違う人のようだった。


母親が亡くなるって、どんな気持ちなんだろう。

それから暫くして我が家に一通の手紙が届いた。
宛先は母の名前
「突然の連絡ごめんね。これが届いたってことは私は亡くなってるんだよね。」

それは友人の母親からの手紙だった。私と母はそれを一緒に読み、静かに泣いた。

ガン検診を受けてから、余名3ヶ月、
短い時間を家族だけで乗り越えてきたという。

心の準備なんて間もなかっただろう。

日に日に弱っていく親をみて、自分の無力さを痛感する、そんな自分を想像した。

私には兄弟がいない。
だから多分、他の誰よりも、親の存在が大きい。

私が今できることは「親孝行」なんだと、改めて気付く。テレビでそのワードを耳にし、意味を理解した中学生の頃とは深みが違う。

今隣で、親が見守ってくれているという奇跡を大切にしなきゃいけない。


そんなことを思いながらクリスマスカードを読むみ、私は涙を流した。
何も知らない母は、声を出して笑っている。

これでいい、これが一秒でも長く、続いて欲しい。

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