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うれしいお誘い

……うだるような暑さ。福岡・博多天神の街を歩く。
年下の仕事仲間に「取材の下見を」と誘ったはいいものの、真夏の太陽はわれわれに容赦なく降りそそぐ。

インタビュー相手のもとに着いたときには、2人とも大汗をかいていた。簡単な取材の説明と挨拶を終え、
「事前に顔を合わせることができてよかったね」
なんて言いながら、下見会場をあとにする。

外は、太陽が依然はりきったままである。
たまらず、目の前のコンビニに避難した。
アイスコーナーを見ていたときに、年下の仕事仲間のスドウくんが言った。

「アズアズさん、パピコ一緒に食べませんか?」

え……?
その言葉は、暑さでやられていたわたしのアタマとココロをシャキッとさせた。

パピコはあれである。
フローズンスムージが2本で1つのパッケージになっている、江崎グリコのチューブ型氷菓だ(1974年から販売している)。価格は173円だった。
くっついている2本をパキッとはなして分けて食べる。
……そう、パピコはアイスを通じたコミュニケーションツールなのだ。


パピコを通らなくなってずいぶん経つ。10代の頃、親戚や友人の家に遊びに行ったときに出てきたのを、なんの気無しに食べたのが最後じゃなかろうか。これまで、自ら進んでパピコを買うということはなかったと思う。誰かとアイスを分かち合いたいと思っていなかったのか、そういうシチュエーションにいなかったのか、手に入れたアイスは全部食べたい! と欲ばっていたのか……。
だから、コミュニケーションツールとしてパピコを使ったことは一度もない。

そんなずっとノーチェックでいたパピコを、まさか年下の仕事仲間から誘われるとは……! 驚きすぎて、スドウくんのお誘いをはじめは断ってしまったのだけど、ちょっと待てよ。なつかしさと物珍しさが勝って、わたしがパピコを奢るということでご一緒させてもらった。

灼熱の天神を歩きながら食べる、チョココーヒー味のパピコは美味しかった。2つで1つなので、ランチをしたばかりのお腹にもちょうどよかった(ちなみに、ランチは「ウエスト」の肉ごぼ天うどん)。


パピコを誘うのは、きっと相手を選ぶ。
ある程度親密でないと、パピコは誘えない。
パピコを誘ってOKが出たとき、こちらとあちらの人間関係が1UPするんじゃないだろうか(だって、すんごく嬉しかったから)。

わたしも、やってみよう。
「パピコご一緒しませんか?」


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