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金沢城公園2

 私は岩石マニアでもあるので、お城ともなれば城壁の検分は欠かせない。
 いや「検分」なんてエラそうに言ってますけど、実態はデカい石の壁を見てすり寄っていき、ペタペタ触ったりした後にうむうむと頷くだけではあるんですけど。

 その立ち位置からいうと、金沢城公園の城壁は誠に満足なもので、様々な種類の石垣が恐らく統一された意思と成り行きの結果複雑に組み合わされ時に壊されていて、そしてその流れが垣間見えるのが素晴らしいなと思わされました。
 規模自体ももの凄いですしね。
 さすが加賀百万石。

複雑な壁と壁の組み合わせは、その配置のその理由を考えるだけで楽しい。

 ところであのあたりで岩組みといえば、お隣にある兼六園の芸術的なそれも、勿論いいものではあります。
 なにしろあちらは、見せるために造られそのためだけに維持されて続けていますから。
 でも、それとは別の明確な用途をもって作られ、設計者の意志やら予算の限界やら長年の維持と崩壊やらを経た金沢城々壁の今の姿が、私にとっては胸を打ってやまないのです。
 まあ胸を打つと言っても、結局はペタペタ触って一人でうむうむするだけなんですけどね。

 ちなみにそんな城壁に見せられつつ公園の長い坂道を登っていくと、城壁の実物模型様のものが置かれているのに出会えます。

坂を登り切った途端目に入ってくる実物模型

 これは、それまでに目にした何種類かの城壁の裏側までもを、実際の石で組んで裏側まで見せてくれているものです(写真には写せてませんが、簡単な説明文も併記されています)。
 ここの城壁には巨岩の組み合わせが精緻な部分と大雑把な部分があるんですが、それぞれの施工方法や構造みたいなものが実際の岩で組み示されていて、これもう私にとっては長い坂を頑張ってハアハアしたあとのご褒美みたいなものでした。
 というか長い坂で既にハアハアしているのに、ここへきて別のベクトルからのハアハアとか、こりゃあ金沢城が本気で私を殺しに来ているなと。

 というわけで、ここを訪れる際には、再建されたお城や望外に見事な庭園部分だけでなく、城壁にも目を向けてみると楽しめるんじゃないかなあと思いました。
 ただ見てその迫力に驚かされるだけでも勿論楽しいですけど、この巨大な城壁がどういう目的と思想を持って組まれ、予算をどう使い、そしてどうやって朽ちて今の姿になっているか等々、そのへんを想像するときっと何倍も楽しいと思うんですよ。

一口に城壁と言っても、組まれ方や朽ち方は様々

 ついでに、人がちょっと押したくらいでは身揺るぎもしない圧倒的な重量感や使われている岩石の出自を確かめつつ、ちょっとだけ壁面をペタペタ触ってみると、歴史の流れを感触で実感するという楽しい体験に目覚められるかもしれませんよ。
――まあそのへん、度が過ぎると普通の街の普通の建物の壁をペタペタうむうむする人になってしまう危険性もはらんではいますけどね。

目立つ部分の城壁は、当然のように精巧に組まれている。

 そんなこんなで金沢城公園の二回目は、これは他ではなかなか見られないぞと感じた城壁について書いてみました。
 夕食前の殴り書きでしたので、いつもながら見直しする暇もなく、恐らく誤字脱字も多かったろうとは思いますが、最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 次回は兼六園かなあ。
 実はあまり気が進まないのですが。

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