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谷田孝夫

JAPAN 2014のSTAGE10兵庫大会と同時開催されるDMC CLASSIC 2014。ポール・リム選手を始めとするDMCプレイヤーはもちろん、多くのダーツプレイヤーが参加するトーナメント大会だ。

その由緒ある大会が始まった2003年の初代王者は、JAPANでも活躍する谷田孝夫プロだ。今年でダーツ歴42年を迎える彼に、日本のダーツ界の移り変わりについて、そしてDMC CLASSICという大会について話を訊いた。 

ゴルフに熱中した青春時代とダーツとの出合い

谷田プロがハードダーツを始めたのは17歳のとき。谷田プロの地元・神戸はダーツやゴルフなどといったスポーツが盛んな土地だったという。

「神戸は日本で初めてゴルフ場ができた土地なんですよ。たまたま僕の友人の家がゴルフの練習場を経営していたので、よく遊びがてら通っていました。たぶん、今でもゴルフの腕前はJAPANの会場にいる誰にも負けないと思いますよ(笑)」

ダーツをプレイする上で重要な精神力は、ゴルフで磨いたのだという谷田プロ。プロを目指すほど熱中していたゴルフからダーツへと転向したのはなぜだったのだろうか。

「きっかけはバイト先でちょっとプレイさせてもらったことだったんです。精神力が必要なスポーツという意味ではゴルフと似ているし、プレイ中は“無”になれる。なんといっても、ダーツはお金がかからないでしょう。当時のゴルフは、今みたいに安く回れるラウンドがなったんですよ」

茶目っ気たっぷりにハードダーツとの出合いを語ってくれた谷田プロ。技術と精神力の両方が求められる世界に強く惹かれていったという。 

新たに開いたソフトダーツの世界

ただ好きだからダーツを続けているのだと繰り返す谷田プロ。ハードダーツからソフトダーツをプレイするようになったのは、13年ほど前のことだ。

「ハードダーツから始めた人はみんなそうだと思うんだけど、最初は『ソフトダーツなんか……』という気持ちが大きかったですね。大きなブルに2本入れれば、100点がとれるなんて、ハードではあり得ない。なんて簡単なんだって思っていました。でも、ハードダーツとソフトダーツはそうやって比べるものじゃなくて、それぞれに違う面白さがあるんですよね」

ソフトダーツを始めて間もなく、最初のDMC CLASSICが開催された。2003年のことだった。当時のことを谷田プロに振り返ってもらう。

「最初は全然わけが分かってなかったんです。今ではソフトダーツ全体のレベルが変化して“外したら負け”になっていますが、当時は“入れたら勝ち”。とにかく、入れた者勝ちだと思って、DMC CLASSICの決勝戦は松本嵐選手と戦ったんですが、無我夢中で押し切りました」

そう語る谷田プロ。では、長年ハードダーツとソフトダーツのシーンを見続けている彼にとって、現在の日本のダーツ界はどううつっているのだろうか。

「僕がソフトダーツをプレイするようになったのは安食賢一プロや松本嵐プロが出てきた後だったと思うんだけど、当時は僕の敵じゃなかった(笑)。いまでは、なかなか勝てないけどね…。年々、日本のプレイヤーのレベルは上がってきていると思います。ソフトダーツなら世界のレベルに追いつける。ですが、ハードダーツで考えるとまだまだですけどね。ただ、頑張ってくれている選手がいるから“日本は怖い国だ”と分かってもらえていると思います」

過去、何度も日本代表としてイギリスのハードダーツの大会に出場した経験がある谷田プロ。日本の選手が世界の舞台で戦うための条件についても語ってくれた。

「世界でプレイすることを目指すなら、英語力が大切。僕はポール・リム選手と同い年なんです。彼は、ダーツの技術はもちろん英語が堪能だったからこそ、アメリカで活躍できたのだと思います。自分自身、英語ができれば、もっと戦える世界が広がったのではないかと考えることもある。だから、これから世界を視野に入れてダーツを戦う日本のプロには、英語力も鍛えてほしいと思っています」

谷田プロが日本のダーツ界全体を見つめるまなざしは厳しいが、同時にダーツへの愛情に溢れている。 

JAPANで戦い続けることの意味

これまでの経歴で様々な大会に参加し、見てきた。JAPANは彼にとってどんな大会なのだろうか?

「刺激的な大会ですね。この年で出場しているのは自分でもおかしいと思う。だけど、若くて上手な選手がどんどん出てきて、刺激を受けることができるからやめられない。スポンサーからすれば、もっと勝ってくれよって思っているのは分かってるんです。だけど、参加することに意義があると思って続けている」

そんな谷田プロは別のインタビューでも“生涯現役”を宣言していた。その考えはいまも変わっていないのだろうか。

「年齢とともにハングリー精神がなくなってきているのは感じます。例えばJAPANでプレイしていても16に残れればいいかなと…。ある意味、僕が入賞するということは、誰かの枠を奪っているということで、若い選手の人生を狂わせることになるんじゃないかと考えることもあります。入賞すればメディアが取り上げてくれて、スポンサーがついて…というようにダーツの世界はどんどん広がっていく。人生が変わるんですよね。僕自身、過去の栄光にはすがりつきたくないし、出場できる限りは楽しめるダーツをしたいという考え方です」

ダーツが好きだから、純粋に楽しんでプレイしたい。熟練のプレイヤーの言葉は、ダーツの本質を的確に射ていた。

-Profile-
谷田孝夫(兵庫県)
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10/4(土)13:30~
JAPAN STAGE 10 兵庫の視聴はこちら
http://dartslive.tv/japan/live/

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