見出し画像

最近、埼スタで思ったことなど。

 天皇杯の一件でまた肩身が狭くなっている浦和レッズサポーターのひとりである私。こんなときではあるが、#Jリーグを語ろう に乗っかり、先日8/18、Jリーグ・名古屋グランパス戦(なんというタイミングか…)を観戦したときにふと考えたことなどを書いていこうと思う。


8/18 名古屋グランパス戦へ

 本音を言えば、このタイミング、この相手で現地参戦は気が重かった。一部サポーターの行動に嫌気がさしていたし、クラブの対応ももう少し見たい気もしていたが、すでに前々からチケットを取っていたこともあり、まあ友人と集まる機会だし仕事も早退ということにしてるし……と参戦してきた。
 結論からいうと、審判の判定に対して荒れはしたが、上位同士の好ゲーム。名古屋サポの方もたくさん足を運んで大声量のチャントが響き合う、いつもの埼スタだったのでほっとした。

Our Home、埼玉スタジアム

 2001年竣工の我らがホームスタジアム、埼玉スタジアム2002。すっかり浦和サポの中でも、ホームは埼スタ、駒場は聖地という位置付けになっていると思う。

 最寄駅からのアクセスは正直よくない。大人の脚でも20〜30分歩いていかなくてはいけない。最寄の浦和美園駅から直通バスはあるが、それ以外の路線はコロナ禍以降運行していない。

 そんなわけで、多くの人は行き帰りと長い一本道を歩いていくのだが、私は割とこの道が好きである。周囲に高い建物は何もないため、あの大きなスタジアムを目掛けて歩くことになる。徐々に大きくなるシルエットと高まる高揚感。どんなにチームの調子が悪くてもこれは変わらない。

 どのスタジアムでもそうだと思うが、やはり中に棲み分けがある。私はといえば、熱狂的なゴール裏から離れた指定席の住人である。
 好きなのは真ん中より少し北寄り。チャントが大きく聞こえるし、何より後半に浦和の選手たちが攻め込んでくる。

 サッカー専用としては国内最大の埼スタだが、アッパースタンドに上がっても遠すぎず観やすい。ロアーで臨場感を味わうのも、アッパーから全体を見渡すのも違った楽しみがある。

埼スタで見える景色

 私はスタジアムで、観客の背中を見るのが好きだったりする。どんな人が、どの選手のレプリカユニを着ているのかを見るのが好きなのだ。

 毎年レプリカを新調する人。同じ選手を選び続ける人、毎年その年の推しを決める人。往年の名選手のユニを着続ける人。今や主力になった選手の、デビュー当時の番号を背負う人。
 こちらはそれぞれに込められたストーリーがあるはずで、私はそれを勝手に想像するだけなのだが、みんなのサポーターとしての想いのようなものを見ることができる光景だと思う。

 さて、この日の「スタグル」は、選手が補食としてとるメニューを食べられるという「ロッカールームミール」のハヤシライスにした。埼スタのスタグルも2000年代に比べると随分充実してきたものだと思う。豊富な種類のカレーなども美味しい。

 埼スタは大きな屋根がついているが、それが逆に周囲の風景を遮って広々とした空が見える。ハーフタイムにふと見上げると月が浮かんでいたり、鮮やかな夕焼けに染まっていたり、たまにシラサギが飛んでいたり。火照った頭と体がクールダウンする瞬間である。

 明らかな劣勢を耐えて勝利を収めたこの日。締めはもちろんWe Are Diamondsの合唱。個人的にこのセレブレーションは、勝利の興奮そのままの歓喜の歌声というよりは、しみじみと余韻を噛み締める瞬間に感じる。私がまだサッカーを知らない頃から、浦和が強豪の仲間入りする前から歌い継がれてきただろう凱歌。何度聞いても歌ってもいいものだ。

帰りみち

 帰りも長い道のりを駅まで歩いていく。行き以上に混む一本道はサッカーファンで埋め尽くされ、進んでは少し停まり、を繰り返しながらゆっくりと流れていく。勝った日は気分も朗らかだが、負ければなんとも沈んだ空気が続く。
 私はもともと人混みが苦手なのだが、不思議とスポーツのスタジアムは好きだ。それはこの無意識のうちになされる感情の共有にあるのだと思う。

 最盛期とは比べるべくもないが、3〜4万人の観客が戻ってきた埼玉スタジアム。帰りの電車は乗りきれずに見送ることもある。そんな時間もちょっとした非日常を演出してくれる。
 (欲をいえば埼玉高速鉄道を延伸してほしいというのが、おそらく浦和のみならず日本のサッカーファンの希望だと思うけれど……。)

スタジアムに集まる顔ぶれと、サポーターということば

 野太い声援のおかげか、浦和サポなんてエネルギー持て余した男ばっかりでしょ?みたいに思っている他クラブのサポーターは多そうだが、そんなことはない。親子連れ、女性のみのグループ、高齢のご夫婦、車椅子の方とその介助者。きっと他のスタジアムと同様だろう。Jリーグは絶対数は別として、すでに多様な客層から愛されている。

 客層ということばは、スポーツにおいてはそれぞれの応援スタイルも包含すると思う。つまり、ルールさえきちんと守れば、サポーターとはかくあるべし(あらねばならない)ことはないと思うのだ。
 毎試合のようにアウェーでも構わず参戦して声を枯らす人たちには感嘆するが、誰もがそうあらねばならないわけではないし、現地に行く頻度が低い人がそれをことさらに負い目のように感じる必要もない。
 気持ちはあっても体がついていかない人も、単に試合をじっくり見たい人もいる。私もそうだが、遠隔地だったり、自分や身内の体調などで参戦が限られる人もいる。それでも、クラブが好きで、後押ししたい気持ちがあればみんなサポーター、それでいいではないか。

 嘘かまことか、特にゴール裏は熱く応援する・しないなどでトラブルの元となることもあるようだが、そこはクラブもチケット販売の際に席種ごとの特徴をしっかりと明記したり、たまたまそれと知らず来た人にはきちんと対話をして、みんなが自分なりに楽しめるようみんなで配慮できたらいい。

 DAZNの番組「Jリーグジャッジリプレイ」でMCの桑原学さんが毎回終わりに付け加える、「サッカーに関わるすべての人へのリスペクトをお忘れなく。」これに尽きるのではないだろうか。


 さて、ここまで8/18に埼スタに行って、もちろん先日の天皇杯・名古屋戦の問題も踏まえて思いついた草々たることを取り留めなく書いてみた。
 SNSがこれだけ身近になったいま、サポーターを公言することは想像以上にクラブそのものに結びつくのかもしれない。私が一番悲しいのは、サポーターが起こしてしまったことで選手・監督・スタッフまでもが「浦和」という括りで嫌悪され、非難されてしまうことだ。

 浦和レッズというクラブがあらゆる面でリスペクトを受け、大好きな埼玉スタジアムが、アウェーのサポーターにも「また来たい」と思ってもらえる場所になることを、今後こそ期待したい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?