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『他者と働く』(読書会に参加して①)

キャリアックというキャリコンのグループ関連でのオンライン読書会。
今回は3回シリーズで「他者と働く(宇田川元一)」を読んでいきます。

組織の生々しい現実ー
スキルやノウハウで一方的に解決が出来ない問題向き合うのが難しい問題をいかに解くか。
その実践が、
対話とナラティブ・アプローチなのです。

表紙裏のそでに、上記の言葉が書かれありました。

私が所属する組織では簡単に出来ることではないなぁと、直感的に感じました。人と人、組織と組織の間に、果たして、対話ってあるだろうか、ナラティブ・アプローチなど誰も知らない、そう感じたからです。
私はキャリアコンサルタントととして、そして対人支援的コンサルとして学んでいるので、この二つが大切なことは十分に分かっていますが、特に組織の中での実践になると、とても難しいと感じています。ナラティブの溝を発見し、橋を架けることって本当に出来るのか。いつも、自分の都合で主張する者同士が、そんなことが出来る状態になるのだろうか。

だからこそ、本書が言う「お互いにわかり合えていないことを認めること」の重要さをひしひしと感じてはいるし、この本を買って、2度ほど読んだんですけども、今回の読書会に参加する皆さんとのディスカッションをしながら、さらに自分事に落とし込み、実践で行動していけたら良いなと考えています。

今回、読み進めたのは、「はじめに」と「第1章」「第2章」の箇所。
詳細はブログでは書きませんので、興味ある方は是非、書籍を手に取ってみてくださいね。

🍀一方的に解決出来ない「適応課題」を解決するのは「対話」

まず、「はじめに」と「第1章」では、以下のようなこと書かれてありました。以下の資料は、読書会での発表資料(島田聡氏作成)の一部から引用させて頂きました。

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やはり、ココで最も気になったことは、「技術的課題」「適応課題」への対応について。特に、一方的に解決できない「適応課題」への対応のカギが「対話」であるということ。
ここで、「対話」とは「新しい関係性を構築すること」。そして、対話の相手を道具のように捉える「私とそれ」の関係性から、「私とあなた」の関係性にする。権限や立場と関係なく誰にでも「自分の中に相手を見出すこと、相手の中に自分を見出すこと」により、お互いを受け入れ合っていくことであると。

これか!って思いました。
私の組織では、同じチームでの上司・部下の関係でも、他部署との関係でも、「私とそれ」という意識しか持てていないように思います。特定の人との間、他部署間との関係では、お互いを受け入れ合うという視点で対話を進めている感じはしません。だから、新しい関係性が生まれないのですね。

「適応課題」には4つのタイプがあるとされていますが、どれもが、人と人、組織と組織の関係性の中で生じている問題であるということ。現実的に課題ありありなので、この4つのタイプは見事に現実とマッチしている。納得しかありません。

🍀対話による関係性をこちら側から変える第一歩 「ナラティヴ」

ナラティヴ・アプローチについては、いま個人的にも勉強をしているところですが、対話において「こちら側」、つまり私の何かが変わる必要として「ナラティヴ」があげられています。

本来の「ナラティヴ」には、2つの意味があるらしい。

①語る行為である「語り」
②その語りを生み出す世界観、解釈の枠組みとしての「物語」

この本では②の物語をナラティヴと呼んでいます。
「ナラティヴ」は誰もが持つもの。それぞれの立場に置けるナラティヴがある。それぞれの置かれている環境における「一般常識」というようなものと。

つまり、自分にとって「普段からあたりまえ」のことで、だからこそ「気付きにくい」もの。自分の当たり前は相手の当たり前で無いこともあるのだけれども、これが簡単にはそう捉えられない。これが「ナラティヴの溝」という訳です。

このお互いの「ナラティヴ」に気付き、分かり合い、溝に橋を架けていく。
その第一歩が、まずは自分が「ナラティヴ」「ナラティヴ・アプローチ」を理解することが大事なんですね。

しかし、これ、自分だけでなく、相手にも理解してもらうことが出来なければ、「ナラティブの溝に架ける橋」は相手の都合の良いものにしかならないように思うの私だけ…。

これは違いますね。
ナラティヴ・アプローチは、「どう相手に話をするか」ということよりも、むしろ「どう相手を捉えるか私の物語を対話に向けていくか」を主軸にしたものであるということ。
つまりは、適応課題に直面してお手上げに思えたときも自分の側から対話をしていくことによって、道を切り開ける可能性があるということ出そうです。

まだまだ、私も学びが足りませんね。
日頃の仕事で適応課題に対応出来ていない理由は、ココにあるのかも知れません。

🍀ナラティヴの溝に渡る橋を架ける

「ナラティヴの溝に橋を架ける」という行為は、まさに対話のプロセスになります。
そのプロセスは4つの視点。「観察」「解釈」「介入」「準備」を加えたプロセスになります。

読書会でこの章の発表された方の
「準備」=自分を知る
「観察」⇔「解釈」⇔「介入」=相手を知る
という整理がとても腑に落ちました。

以下の資料は、読書会での発表資料(福良浩一氏作成)の一部から引用させて頂きました。

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このプロセスを丁寧に取組まないと、ナラティブの溝にしっかりとした橋が架からない、つまり、お互いが分かり合えないままになるということです。また、橋が架かっていかないままに、若しくは架かったかのように捉えたままに事を進めてしまうと、結果的には、間違った「解釈」、的外れな「介入」が起こりそうです。

例えば、このプロセスを丁寧に行えていない私の属する組織では、効率化するはずのシステム導入がかえって手間増となったり、分かり合えていないため後になってミスが続発したりと、まさに組織内での人と人、部署と部署の間のナラティヴの溝にちゃんと橋が架からないままに取組んだ結果だとおもわれることが多々あります。

その他に、対話は繰り返すことが大切であること、ナラティブの溝に橋が架かれば「三方よし」の状態になる、など、対話によって相手との関係性って分かり合えるものになります。

先に、ナラティブ・アプローチは、「どう相手を捉えるか私の物語を対話に向けていくか」という説明がありました。
一番最初に出てきた「技術的課題」「適応課題」というところを見ていく時に注意したいことがあります。

以下の資料は、読書会での発表資料(畑泰茂氏作成)の一部から引用させて頂きました。

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この「技術的課題」「適応課題」の見方、大事だなと思いました。
曖昧な問題のまま、つまり「適応課題」がそれな訳ですが、ナラティヴの溝がはっきりさせるためにも、この図表の視点は、常に意識していたいと思います。これは、だれでも意識できることですし、このことを考えるための視点を多様に持てるようになるには、日々の情報収集やアンテナの張り方が大事になって来るのではないでしょうか。


最後になりますが、この対話のプロセスですけど、キャリアコンサルティングにおける「システマティックアプローチ」と同じなんじゃないかなぁと感じます。
「システマティックアプローチ」は、他の場面においても、対話という行為がある場面であれば、共通している事項なんじゃないでしょうかね。ナラティブの橋を架けることは「システマティックアプローチ」では関係構築に似ているといった話も読書会では出ていましたね。

話はそれますが、そう考えると関係構築というのは、単に気持ちに寄り添えたとかいう単純なことだけでは無くて、「観察」「解釈」が出来ている状態、相手とそのことを合意して確認し合えた状態であることなんだろうと改めてその重要性を感じました。

2回目は、次の土曜日。
楽しみに今週1週間を過ごしたいと思います。

고맙습니다😊


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【参考までに】
ナラティヴ・アプローチに関する図書をご紹介します。


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