最近の記事

8.2『嘘ついて後悔する奴』8.4『嘘ついてまた後悔する奴』7.9『嘘ついてないのに後悔する奴』

ジャルジャルは私たちにトリロジーとしてのコントがどうあるべきかを示しています ジャルジャルタワーにおいて2019年1月8日から10日にかけて発表されたこれら三本の動画はBEST NEW RE-JARUJARUTOWERに選ばれました。 『嘘ついて後悔する奴』では嘘をついたサカタが予想より優しくされることで嘘をついたことを後悔します。『嘘ついてまた後悔する奴』では嘘をついた彼が予想より優しく扱われ、自分で自分を指さしながら再び後悔します。『嘘ついてないのに後悔する奴』では彼

    • 7.0『募金活動する奴』

      独創性だけでそれは評価に値します 私がジャルジャルタワーの動画を鑑賞し、評点を付けるうえで最も重要としていることは独創性です。詳しく言えば、「誰が見てもジャルジャルのコントだと判ること」です。 彼らはコント内で『耳かきする奴しない奴』に言及しています。「僕は耳かきする奴。」「僕は爪を切る奴。」のあとに、「あなたは誰ですか。」と彼らは道の上の人々に問いかけています。これは、常に神の視点から画面内の『奴ら』を笑っていた私たちへの痛烈な呼びかけと言えます。 過去のコントとの紐

      • 6.5『授業、中止にできる奴』

        学生側に問題があることは比較的珍しいです 私たちはジャルジャルタワーで、教える側と教わる側の掛け合いの妙について度々深く考えさせられます。その多くは教師に特徴を持たせたものです。(参照: 『ちょっと変な先生な奴』 『塾の先生のくせにヤバい奴』 『先生のくせに雑談気持ち悪い奴』 『最低ランクな先生な奴』) 教える側が中心となるコント設定が多い理由は、教師そのものにたくさんの規範や理想像が備わっているからでしょう。それらに相反する性格を持つ教師を私たちは「可笑しい」と感じます

        • 8.6『モノマネ芸人同士で結婚した奴』

          完璧な状況設定は面白さを約束しています ジャルジャルタワーにおいて2021年1月24日に発表されたこの動画はBEST NEW JARUJARUTOWERに選ばれました。 なぜこれほどモノマネ芸人たちの個人的な情報が面白く感じるのでしょう。有名人のペルソナを取り除いた彼ら自身に迫ることは、得体の知れない高揚感があります。 尾崎浴衣と岡本マヨネーズという絶妙な人選と名前。それだけで今週のBNJに値します。それ以上に滑稽であるのは彼らがそれぞれの有名人の曲の歌詞を引用して会見

        8.2『嘘ついて後悔する奴』8.4『嘘ついてまた後悔する奴』7.9『嘘ついてないのに後悔する奴』

        マガジン

        • Jarufork
          6本

        記事

          6.8『グルメロケするツッコミ下手な関東人な奴』

          関 東人のカルト的人気は堅固なものになりつつあります パワージャングルのツッコミである関は以前からその外見と言動により注目を集めていました。しかし2021年1月8日、ジャルジャルのもう一つのチャンネル、ジャルジャルアイランドの【開封】若手芸人が2021年福袋にツッコんでみた【ツッコミ下手な関東人】により改めて顕著になったのは、ボケの森山の自己中心的な挙動とその発言の凡庸さ、そして彼自身が非常につまらないことです。 森山に注目が集まったことで私が懸念していたのは、本来中心と

          6.8『グルメロケするツッコミ下手な関東人な奴』

          5.8『音を文字にする奴』

          常に奇妙な職業が面白いわけではありません 基本的にジャルジャルは放屁の魅力に憑りつかれています。このコントでも屁が主となっています。 オノマトペやマンガの擬音の多様さから事実として言えるのは、音を文字に変換することは大変興味深いトピックだということです。しかしながら「音を文字にする」というレンジの広いテーマでありながら、屁の音を文字に変えるのみで主だった展開はありません。 一方で二人の雰囲気や屁のリアリティ、生み出された文字の意外性は期待通りのものだと言えます。

          5.8『音を文字にする奴』

          8.8『帯広の景色を想像させる歌手に反発する奴』

          前半・後半で異なるタイプの滑稽さを持ちますが、それらはどちらも高水準です。 ジャルジャルタワーにおいて2020年1月25日に発表されたこの動画はBEST NEW RE-JARUJARUTOWERに選ばれました。 私たちがジャルジャルタワーで見ることのできる歌ネタの多くは、歌を支柱として徐々に滑稽さを増していきます。しかし『帯広の景色を想像させる歌手に反発する奴』では様相が異なります。 前半では従来の歌ネタのように歌自体のナンセンスさが提示されます。徹底的に帯広をフォーカ

          8.8『帯広の景色を想像させる歌手に反発する奴』

          5.3『部活の伝統、あっさり変える奴』

          半端な現実性は時に滑稽さを損ないます ジャルジャルタワーで私たちは現実から乖離した多くのコントを見てきました。(参照: 『雷雲教の教祖な奴』)一方で可能性が十分に考えられるコントもあります。(参照: 『実はそっちがネタ作ってる奴』) 今回の『部活の伝統、あっさり変える奴』は後者です。加えて、演じられている部活がラグビー部であることから、このコント内での事象や二人の発言はジャルジャルの個人的な経験と類似しているかもしれません。その上で私たち一視聴者が期待するものとして考えら

          5.3『部活の伝統、あっさり変える奴』

          7.1『ピン芸人〈バリボ山本〉って奴』

          彼らのオーソドックスなコントスタイルである「オーディション」の多様性は尽きることがありません ご存じのようにジャルジャルタワーでは芸人のオーディション(ネタ見せ)の様子を数多く見ることができます。バリボ山本もそのうちの一つです。 彼は悪口を受け取ったあと、バレーボールのようにレシーブ、トス、アタックの手順を踏み、ネガティブなエネルギーとともに「お前だ」と観客または出演者に声を張り上げます。 この芸人の芸のルールは非常に簡単かつ理解しやすいものです。言い方を変えるとスタイ

          7.1『ピン芸人〈バリボ山本〉って奴』