見出し画像

第3話 2度目のさよなら

ノリと勢いで始まった初恋の続き…
彼はいとも簡単に私の日常に彩りを与えた
さも当たり前に初めからそこに居たかの様に

彼との再会はお互いの知らなかった
真実のピースを埋める大切な時間だった
あの時2人が別れたほんとの理由
同じ高校に行けなかった理由
一生懸命たくさんの言葉を紡いだら
複雑に絡まった糸が解れていくのがわかった

幼かった私達には越えられなかった
壁の様ないくつもの理由
あの時…
私が彼の言葉だけを信じられたなら
彼が私の思いだけを信じられたなら
越えられたかも知れないと思っていた壁は
言葉が足りなく不器用な中学生には
立ち向かえるはずもない大人達をも巻き込んだ
仕組まれたものだったのだから…

お互いに理解が深まったそんな頃だった
彼からプロポーズをされたのは…
共通の知人から『君達は一緒にいるべきだ』
なんて言葉に盛り上がって彼が口にしたのだった

考えても考えても今じゃないって感じたあの日
『クリスマスイブも同じ気持ちならもう一度
 ちゃんと言って欲しい』って伝えたのは
私の20歳の誕生日だった

色んな今までの出来事を
全て理解した頃には なぜだかお互いの
好きの感情がわからなくなっていった
そして代わりに同志の様な気持ちが
芽生え始めていたのだった…

そんなある日
『俺ラグビー留学しようと思うねん
 せっかくのチャンスやから
 大袈裟なんやけど退路を断とうと
 思ってる…待ってて欲しいとは
 言えない…だからお前が
 いいって言うならポケベルも全部
 解約して行きたい…でももし
 お前が残して欲しいって言うなら
 このまま残しておくから…』

『解約していいよ…いってらっしゃい
 今度はラグビーに負けるんかぁ…
 ひどいなぁ笑 勝てる訳ないやん』

こうして突然 彼との2度目のさよならを
する事になったのだった…



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?