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変わるもの変わらないもの

いつからだろう…
ときめく事がなくなったのは…
名前を見るだけでドキッとして
姿を見ただけで嬉しかったあの日
すれ違って近くに感じられただけで
顔が赤くなりドキドキした日々が懐かしい

『おう、久しぶりやなぁ』
 満面の笑みを浮かべながら
 自転車で前から来る人が声を掛ける

 ???
 自転車の足を止めて、後ろを振り返る
 私の後ろにも近くにも誰もいない…
 あの人は誰に言ってるんだろう?
 誰かと間違えてるのかな?
 だってあたしには見覚えのない人だから…

そんな事を思っていると
その人は私をずっと見ながら
さらに満面の笑みで…

『なんやねん…淋しいなぁ…』
  と言いながら近くの薬局の駐輪場に
 自転車を止めながらさらにじっと見ていた

しかしいくら少し年老いた脳で考えても
全く心当たりがないのだ…どちら様?だ?

『こわいこわい…誰なん⁈
 ほんまに全くわからんからほんまに
 怖いんですけど…』

よく考えると分からないにしても失礼な話だ
親しみを持って話掛けてくれる人に対して
面と向かってこわいこわいと言うのだから…

『そんな淋しい事言うならもうええわ…』
 と言いながら、淋しそうな顔で
 自転車を降りてこちらへと向かって
 歩く姿を見てようやく思い出した

『あぁっ!』
『あんまりおっさんになってたから
 全く気づかんかった😂』

『お前ひどいなぁ…誰がおっさんやねん』

『いや…あんたがやろ🤣立派なおっさんに
 なって…ほんま全くわからんかったぁ』
『ほんま…ガタイのええ知らんおっさんが
 急に満面の笑みで話掛けて来て近寄って
 来たらめっちゃ怖いで?😂』

と言い終わる前に背中にグーパンを
入れられた…駐輪場で突如始まった
おっさんとおばはんの即席漫才を
彼の後ろで微笑んで見守る青年がいた
状況が飲み込めてないながらもニコッと
はにかむ青年に同級生の彼の面影が重なった
中学で出会った頃の彼の姿に…

『この子はもしかしてあの?』

『そう』

小さいころとても人見知りで家族以外の
誰にも抱っこをさせなかったのに
たまたまバッタリ道で出会った私には
抱っこをさせてくれたあの子だった
やっと脳みそが記憶に追いついて来た
スラリと伸びた手脚に父親譲りの笑い皺が
チャーミングな青年を改めて見て
時の流れの残酷さを恐ろしく思い知るのだった

話は彼に戻るが彼の事は父も母もとても好きで
昔からすごくお世話にもなっていた
私達に彼氏彼女としてのご縁はなかったものの
頻繁にうちに遊びに来てくれていたのだった
それは私がいようがいるまいが…
帰宅した私が彼にお帰りと迎えられる事も
しばしばあった位だった😅


そんな彼と駐輪場で立ち話を続けていると

『所でお前いくつになったん?』

『?えっ?52やけど…?』

『もうそんな歳になったんかぁ…』

『いやいや…同い年😅あんたもな』

『おぉそうか😂同い年やったな』

人懐っこい笑顔と天然ぶりはほんと
いつまでも変わらぬ愛されキャラだなと
感心した😆話もひと段落した時に私から

『電話番号聞いといた方がいい?』

『いや…ええやろう…お前のおばちゃん
 俺の番号知ってるし、俺も知ってるから』

『せやな😆ほなまたね🙌
 奥さんにもおばちゃんにも宜しくね』

『おう👍またな』

今も変わらず夫婦が仲良しなのだと
なんだかほっこりとあたたかい
気持ちになって自然と笑みが溢れた

結婚前はお互い実家に連絡し合い
彼の結婚後彼に用事がある時は
彼の奥さんに連絡をしていた
それは彼があまりにも人懐っこいので
奥さんがやきもちを妬くらしく
彼なりの奥さんへの配慮からだった
だから連絡先を交換しないと言う
彼の(ええやろう…)とは まだいまだに
奥さんがやきもちを妬くほど仲がいい
と言う証なのだった☺️


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