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クアラルンプールからエスケープ。マラッカで叶えるリトリート旅

頭の中が空っぽになるというのはこういうことか。

南国らしい熱い陽が差し込むけれども、クアラルンプールよりもどこか涼やかな風が木の葉を揺らす様をぼんやり眺めながら、初めてそう思った。

ねこものんびりしている

ヨガやストレッチをしたり、ジャーナリングをしたり、常日頃から心身のヘルスケアには気を遣っているつもりだったけれども、日常と同じ環境の中では心からリラックスできていなかったことに気付かされる。

まさに「リトリート」という言葉がぴったりだった今回のマラッカ旅行。

リトリートの語源はリトリートメント(retreatment)。 本来は避難所や隠れ家の意味を持っていたが、近年欧米では「日常生活から離れてリフレッシュする時間をもち、心身ともにリセットする」といった意味で使われている。

ELEMISTウェブサイトより

ホテルでゆっくりする時間を作りながらも街歩きやメインの観光スポットを抑えた充実した旅になったので、おすすめのスポットやアクティビティを残しておこうと思う。

1. 自分を慈しむ時間をホテルで過ごす

これまでの旅行では「ホテルは寝に帰るだけ」の精神で、最低限の設備が整っていれば問題なく、時には安いドミトリーでも気にしなかった。ただ、この暑いマレーシアの炎天下では1日中外出するのはかなり難しい。それに30代も半ばになって、ホテルでのんびりするのも悪くないじゃないかと価値観が変化したのもあり、今回はホテル滞在にも時間を割こうと選んだのは、Majestic Malacca。系列ホテルがクアラルンプールにもあるので、名前を知っている人も多いのでは。

ヒルトンなどの5つ星ホテルにリーズナブルに宿泊できるところがマレーシアは旅人にとって魅力的なのだが、ここMajestic Malaccaも5つ星の豪華なブティックホテルでありながらも2泊で847RM(26000円ほど)だった。チェックイン時にはウェルカムティーを用意してくれたり、朝食もフルサービスで大満足。

欧米スタイルのクラシックブレックファーストから、
ナシレマ、ラクサ等マレーシアらしいメニューを選ぶことができる
マレーシア朝食の定番、カヤトーストに挟むカヤジャムやトロピカルフルーツが嬉しい

何より、その場にいるだけで気分が高揚するようなクラシカルで美しい内装にうっとり。1929年に大富豪の個人の邸宅として建てられたロビー部分と、後に増築された客室のある10階建ての建物。ロビー部分のタイルは1929年当時のものを現在も使用されているのだとか。

客室のハイライトは、何と言っても猫脚のバスタブ。そもそもマレーシアではバスタブ付きのホテルを見つけるのがなかなか難しいので、街歩きで疲れた足を伸ばし、くつろぐことができてとても満足。

控えめな小さいサイズのプールでぼうっと浮かんでみたり、客室でジャーナリングタイムを取ったり、窓から見下ろせる川をゆくクルージングを眺めたり。ホテルでの時間を十分に満喫することができた。
また、スタッフさんのホスピタリティも素晴らしく、マラッカを再び訪れる際も必ずこのホテルに滞在しようと思う。

📍 Majestic Malacca
Website
188, Jln. Bunga Raya, Pengkalan Rama, 75100 Melaka

2. 歴史を感じる街歩き

2008年にユネスコ世界文化遺産に登録されたマラッカ。
中国との貿易が盛んでもともとマレー文化と中国文化が混在していたマラッカ王国、さらに16世紀初頭よりポルトガル、オランダ、イギリスからの統治があり、ヨーロッパ文化も混ざり合う独自の文化が生まれた。

オランダ統治時代に残されたキリスト教会、オランダの総督邸として建てられたスタダイスのあるオランダ広場。

📍Windmill Dutch Square Melaka
Malacca, Banda Hilir

オランダ広場から階段で丘に上ると、1521年にポルトガルによって建てられたセントポール教会跡にたどり着き、遠くにマラッカ海峡を望むことができる。

📍Gereja St. Paul, Bukit Melaka
1935, Jln Kota, Banda Hilir, 75000 Melaka

また、マラッカを語る上で知っておきたい「プラナカン」。15~16世紀、中国から渡ってきた人々が現地の女性と結婚してうまれた子孫のことで、男性はババ、女性はニョニャと呼ばれる。その歴史を知ることができるババ・ニョニャ・ヘリテージ・ミュージアムはぜひとも訪れたい。

📍Baba And Nyonya Heritage Museum
Website
48-50, Jalan Tun Tan Cheng Lock, 75200 Melaka

街を歩いているだけでも、プラナカンの雰囲気を感じるたくさんの建物に出会うことができる。

3. マレーシアらしさを満喫する

歴史のある名所や建物の他にマラッカで有名なのが「ジョンカーストリート」。お土産屋さんやレストラン、カフェが立ち並ぶ通りで、金・土・日の夜はそのお店の前に更に屋台が立ち並び、これこそまさに東南アジアの風景。私はお肉を食べないこともあり屋台ではめぼしいものを見つけられなかったが、マンゴースムージーを片手にその熱気を楽しんだ。

📍Pasar Jonker Street Melaka
Jalan Hang Jebat, 75200 Melaka

屋台街の熱気と打って代わり、涼やかな風を感じることができるリバークルーズもおすすめ。
20分の地点で折り返し、合計40分のクルーズでぐるりと街を見ることができる。歩き回って疲れる前にクルーズで目星をつけるのはいいかもしれない。とはいえ、夜のクルーズが人気らしく、私も夜に参加したが、これはこれで街歩きで疲れた足を癒すことができるし、川沿いの賑やかなレストランやバーの様子を見ることができ、とても楽しかった。

📍Melaka River Cruise Ticket Booth(オランダ広場の目の前にチケットブースがある)
Banda Hilir, 75200 Malacca

📍Melaka River Cruise Jeti Quayside(こちらが乗り場。乗り場前でもチケットは購入できる)
Website
JALAN GRAHA MAJU ARAS 9, GRAHA MAJU BUILDING, 75300 Melaka

ちなみにオランダ広場で客引きをしているトライショー(人力三輪車)は夜になると強烈な光を放つ。

また、様々な宗教文化に触れることができるのが「多民族国家」であるマレーシアの特徴のひとつ。国教であるイスラム教は、日本人にとってはなかなか知る機会が少ない宗教なのでは。私もマレーシアに来てからリスペクトをもって少しづつ知るように心がけている。

イスラム教の人々が礼拝のために通うモスクは信仰していない人が訪れることもできる。マラッカで有名なモスクは、海の上に浮かぶMasjid Selat Melaka。

入り口でヒジャブ(RM5・支払いは現金のみ)を借りることができる。今まで訪れたモスクでは頭からすっぽりかぶるローブタイプのものだったが、ここで初めてツーピースのものを、セキュリティの人が親切に着せてくれた。
身体の全てを覆っているのを見ると暑そうな印象を受けるが、暑い日差しを直接肌に受けない分、実は涼しく感じたりもする。

海に浮かぶモスクの写真を撮るためには、モスクから少し離れたプライベートビーチに入らなくてはならない。敷地の前の人にRM5(しかも飲み物付き)を払って入れさせてもらうのだが、現金を持ち合わせていなかったため、残念ながら断念。

モスクにはバルコニーがあるので、目の前に広がる海を十分に楽しむことができる。

📍Masjid Selat Melaka
Masjid Selat, 75000, Melaka, Malaysia
※礼拝時間は見学できないのでよく確認してから行くのがおすすめです。

4. マラッカ名物グルメ

前述したように、中国から渡ってきた人々が現地の女性と結婚してうまれた子孫の女性をニョニャと呼ぶが、その呼び名からくるニョニャ料理が有名。また、チキンライスのライスをボール状に丸めたチキンライスボールもマラッカグルメの定番として挙げられる。

残念ながら私はあまりいいレストランに当たらず食事についてはおすすめできる場所がない。

そもそも、三度の飯よりコーヒー、カフェ巡りを生きがいとしている私なので、マラッカのカフェについて自身のコーヒーブログで紹介しようと思う。

そんな中でもマラッカ名物としてひとつおすすめしたいのがグラ・マラッカ。ココナッツの樹液を煮詰めて作られた砂糖のことで、昔は竹の筒に入れて冷やして固形化されていたことから、円筒の形状が特徴的。

ジョンカーストリートにあるカフェThe Stolen Cupでグラ・マラッカラテをいただいたのだが、そのコクのある甘さが、熱くほてり汗をかいた身体に染みる。

マレーシアではよく食べられるエッグタルトもおすすめ

📍The Stolen Cup
Instagram
12, Jalan Hang Jebat, 75200 Melaka

同じくジョンカーストリートにあるTan Kin Hockではパウダー状のグラマラッカも販売している。ココナッツの香りがするわけではなく料理などにも使い勝手がよさそうと、自分用のお土産として購入した。

・・・

マレーシアに移住してそろそろ一年が経とうとしている。初めて来た地でもこんなに心地よく過ごせているのは、人々が穏やかで優しいからだ。

私が住んでいるクアラルンプールと比べて、マラッカの人々はさらに人懐こさがあるというか、行く先々で話しかけてくる人が多かった。
ステレオタイプな描写を失礼するが、欧米人のようなからっと明るいフレンドリーさではなく、少しこちらの様子を伺ってから、控えめに心を開いてくれる感じがとても好ましかった。

クアラルンプールからバスでたった2時間、こうやっていつでもエスケープして頭を空っぽにできる場所があると知れた今、また日々を頑張ることができるのだ。

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