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警察法が大きく変わる時 in NY

今日のクオモ氏の会見はいつもと違い、同席者はクオモ氏以外は、アルシャープトンを含む全員が、NYエリアと近郊の黒人の政治関係者やアクティビティリーダーなどだった。そして、クオモ氏は、ここのところのプロテストや警察の不祥事、暴動騒ぎなどで、ずっと気になっていた法案の署名をついに実行に移した。

NY州市民権法には、70年代に成立した警察官や刑務所勤務、消防士などのプライバシー保護という名目で警察官の過去の懲戒記録を機密扱いする、つまり一般市民への記録の開示を阻止するという州法50-aというものがあり、その為に不当な逮捕や過度の取り締まりなどが、ある意味隠蔽され続けて来た。

ここ何日かのプロテストで、多くの若者たちが、警察の半ば暴力的とも言える不当なやり方に対する大きな反発を見せる動きになったのも、このあたりの不透明性にも関わっていると思う。

今回クオモ氏がサインした法案は、州法50-aの廃止を含み、警察官によるチョークホールド(首を締める行為)の禁止、人種差別に基づく虚偽の通報をヘイトクライム(憎悪犯罪)とみなす、警察官が犯した非武装の民間人の死亡事件に関しては、地区検察ではなく、州司法長官が行う、というものだ。

50-aの廃止が通れば、警察の取り締まり行為の透明性がかなり高まるのは確かだ。

これに先駆け、同じく50-aに疑問を感じていたデブラシオNY市長は、NYPD(ニューヨーク市警察)の財源を削減し、若者と社会福祉の分野に再分配することを約束した。

そして、会見の最初に今日のクオモ氏が言っていたのは、現在警察と一般市民との間に完全に欠如しているのは信頼関係だということだ。信頼関係というのは、人間関係における最も大切なものであることは間違いない。だから、この法案にサインすることは、文字通り、その信頼関係を取り戻すためのものだと。

透明性を持って信頼関係を構築するという態度は、アメリカだけでなく、全ての国、全てのSociety、もっと言えば、全ての人間関係における最も重要な部分ではないのではないかと思う。

そう考えると不透明の塊のような日本という国のマスコミを通した情報発信、あるいは情報隠蔽(?)のやり方もいつか終わりを遂げる日が来ることを願ってやまない。

そして、私がNYにいていつもいいなあと思うのは、平等を重んじることに関する人間の素直さ、正直さ、そしてそれに追随する善良さを垣間見る機会がすごく多いところだ。

だから今回のようにみんなの心を突き動かす犯罪行為が起こってしまったら、みんなじっとしてはいられないし、何か行動しなければ気がすまなくなる。

今日もクオモ氏は言っていた。大切なのは、ただ怒っていることではなく、問題を改善するために動き出すってことなんだと。

そして会見の最後に、クオモ氏は今回の法案にサインし、そこにいるみんなと、そして未来に向けて満面の微笑みを送った。

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