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高校留学の教科選択や海外と日本の学力比較を理解することの大切さ。英語圏では日本人の留学生の学力が高いと認識している生徒は皆無という現実。

中国人やインド人をはじめ、日本以外の国では英語圏の高校に子供を留学させる目的は、多くの場合英語圏のレベルの高い大学の理系学部に入学させるためだと感じます。

一方、日本人の海外の高校への留学は、英語圏の大学への入学を狙っているというよりも、英語力を伸ばすことをメインに考えている家庭が多いのも事実です。

中学生や高校生の海外留学の意識が日本と他の国とは根本的に違うわけですので、それがそのまま英語圏の高校での日本人生徒の成績にも反映されるわけです。

つまり、日本人の方がオーストラリアの高校に留学を考える場合は、多くの親にとって必要なことは

費用
ビザの手続き
何を基準にしているかわからないが進学校かどうか

基本的に親も海外留学のシステムがほとんどわからないので、留学を紹介する側も適当にどの学校も進学校と言っておけばいいわけです。

当然

オーストラリアの学校の授業内容や勉強のサポートや大学進学に関しての質問はないのですか?

と思いますよね。

ほとんどの場合は全くありません。もちろん留学を紹介する側もオーストラリアのレベルの高い数学を理解できる人もいないし、必要がないので、留学を考えている親が勉強の話を切り出しても、お互いにわからないので、適当に話をして終わってしまうようなことが多いわけです。

今までも

オーストラリアの数学は本当に簡単なので英語の勉強になる。
(海外では数学はレベル別に分かれるので、大学進学に関係ない生徒の数学を受ければそのようになります。)

GCSEのファーザーマスで8割取れていれば名門大学の理系は余裕。
(GCSEのファーザーマスは東大を狙える生徒なら余裕で満点が取れる単なる学力診断テストです。それで80%はかなりの対策が必要になります。)

海外の医学部に進学したい。と言ったら、タスマニア州の大学の医学部なら余裕です。と言われた。
(日本ではこのようなアドバイスをするカウンセラーがいても許されるわけです。幸せ過ぎて反論しないで、そっとしてあげたいです。)

今日は、海外の高校の教科選択と数学を中心とした学習対策に関して簡単に話したいと思います。

ある日本の大学の入学願書の一部です。

SCHOOL CURICCULUM
STANDARDIZED TEST RESULTS
COLLEGES ATTENDED BY GRADUATES (PAST THREE YEARS)

つまり
学校のカリキュラムを提出
卒業統一テストの結果の提出
過去3年の大学進学状況の提出

つまり、どのようなことを言いたいのか?というと、

学校のカリキュラムを見れば、その高校がどのようなレベルの大学を目指すプログラムを生徒に提供しているのかわかる。

卒業統一テストは英語圏では、スケーリングが可能になっているので、英語圏の学力基準がある程度正確に反映されます。

また、進学実績も日本のように大学名がすべてではなく、学部までしっかりとチェックされます。英語圏の大学は、日本でいう文系学部と理系学部のレベル差が大きく、大学では理系学部の進学実績を重視する傾向があると思います。

要するに

しっかりと大学に進学できるカリキュラムで高校時代勉強していたか?そして、結果をちゃんと出したのか?

を大学は知りたいわけです。

海外の高校は、日本のような工業高校や商業高校のような区別はありません。一つの学校の中に、多くのカリキュラムを提供する形が一般的です。

日本人の場合は英語力が低いだけで、教科選択を決める時に職業レベルのコースに入れられてしまう。

オーストラリアのVETコースや、イギリスのB tecコースはいわゆる専門学校コースになります。日本の中学を卒業して、すぐに教科選択があって、英語力が十分でないために、学校のカウンセラーからVETコースを推薦される。というパターンが多いわけです。

で、VETコースを選んでも大学の進学には支障はないと言われます。ただ、これはトップレベルの大学には行けないけど、低い大学なら大丈夫という意味で、このコースを取ってしまうと、日本の帰国生入試にも大きな影響を与える可能性があるわけです。

当然カリキュラム上、理系の学部の入学は不可になってしまいます。当然卒業統一試験の点数はスケーリングの影響で低くなるわけです。さらにオーストラリアの場合は、卒業等いう試験の結果が出る前に帰国生の入試を受けるので、学校の成績やカリキュラムを重視されてしまうために、VETコースは不利と言わざるを得ません。

海外では高校のカリキュラムに理系、文系の区分けはありません。

日本では、法学部を希望する生徒は、大学入試で数学Ⅲの問題を出題されることはありませんし、私立の工業大学で経済のテストを受けることはありません。

日本のように、大学別で入学試験を行う国は稀で、多くの国では統一試験の結果と学校の成績、ボランティアなどの課外活動などを総合して合否が決まるわけです。

海外の高校と日本の高校との大きな違いを理解する。

例えば、日本と英語圏では数学の授業で大きな違いがあります。

それは、

計算機を使うこと。三角関数や対数関数も含みます。
数学アプリケーションを使います。 ジオジブラなど。
数学でも研究論文を提出する国があります。
授業内容が日本と大きく異なります。
エクセルなどの表計算も使います。

基本的に、計算機やアプリケーション、エクセルなどはすぐに適応するのですが、問題は数学の問題の質に対応するのが難しいように感じます。

具体的に伝えたくても数学の知識が多くの人がないので、わかりやすく言えば、計算機を使えない理由で、日本の数学の問題は内容が制限されているわけです。

つまり、余弦定理などで角度や辺の長さを求めたくても、スペシャルアングル(30,45,60)でないと、答えは出せません。

他にも、利息計算などでも、年利5%で、元金10000円で15年預けたらいくらになるのか?のような問題は1.05を15乗しなければいけないので、日本の数学では不可能で利息計算の問題も制限があるわけです。


中学を卒業してから海外の高校に留学する予定の生徒はしっかりとした学習サポートを受けないと、高いレベルの授業についていくことは難しい。

その前に伝えたいのは、高校の留学が、国際性を身につけるための留学であったり、趣味を伸ばすための留学、英語力を高めるためのみの留学の方が日本人の高校留学の大半を占めるので、あくまでも私が書いていることは、高いレベルの学力を身につけて、海外の大学や帰国生入試を考えている生徒のみに伝えたいことなので、誤解はしないようにお願いします。

日本人の学力は、現在はそれほど高くないことを理解しておく必要がある。

生徒の親が勘違いする中で大きなことは、日本人の学力は昔、確かに高かったかもしれませんが、現在では日本ではコンピューターの積極導入など教育の改革をしなかったことで、特に数学では差を付けられていることが現状です。ですので、オーストラリアの数学のレベルを下に見るのはやめた方がいいと思います。

レベルの高い中国人が多くいて、ヨーロッパなどではそれにインド人などが加わるので、日本人の存在感はほとんどありませんし、海外の高校生で日本人の学力が高いという認識を持っている生徒はほとんどいないと思います。

なので、日本の国立大学の医学部は難しいので、海外の医学部に行く。とわけのわからないようなことをいうのは本当にやめてほしいわけです。

英語力も先進国では独走するレベルの低さの上に、英語は全くできないが、数学などの勉強はできると勘違いしていると本当に痛いわけです。

オーストラリアなどでも、日本人のためのオーストラリアの高校の数学や理科のレベルについていくためのサポートはほとんどないわけです。つまり、全く需要がないので、やりたい人がいないわけです。

日本でも、数学ⅡBから、受験レベルの数学に突入するのと同様に、海外でも、義務教育が終わってから、入試までの2年間が大きな勝負になるわけです。

日本だけで行われている、英語力を高めるための高校留学というのは、他の国では想像できないくらい平和でほのぼのしていてすごくいいことだと思います。

ただごくわずかではあると思いますが、しっかりと高校留学で勉強もしたいという人もいると思います。

私が教えている生徒などは、英語力のある生徒だけでなく、英語力を伸ばしたい生徒も含めて積極的にインドや英語圏の英語のテキストを使って勉強しています。それは、英語力を伸ばすことだけでなく、英語の方が仮に英語が十分に理解できなくても、日本のような理屈っぽい説明でなくわかりやすく解説してくれているからです。

海外留学をしている生徒などは、本当にいろいろな国の生徒から刺激を受けて成長している生徒も多くいるわけです。

進路だけを決めればどうにかなる時代ではありません。具体的な学習計画が何よりも大切だということをしっかりと理解してもらえれば、きっと納得できる大学進学ができると思います。

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