原作と映像化について

「原作改変」という言葉は昔から度々目にしていたが、ある出来事により2週間ほど前から頻繁に目にするようになった。
映像作品が好評だった結果、原作の評価も上がった、という幸せなケースもあれば、「放映終了後にトラブルになったらしい」という噂話だけが残るケースもある。

私が原作改変、と聞いてまず思いつくのは「必殺仕掛人」だ。

私は、確か中学生ぐらいに必殺シリーズにハマり始めた。その流れで、たまたまサンテレビで再放送されていた小林桂樹主演の仕掛人・藤枝梅安を何本か観た。
こちらは池波正太郎の原作に忠実に作られていたので、必殺シリーズとは雰囲気が全く違った。
でも、これはこれで楽しんで観ていた記憶がある。
おかげで原作小説にも手を出すことになった。

完全に余談だが、田村高広や柴俊夫が出ていたが、田村高広は「助け人走る」、柴俊夫は「必殺仕事人Ⅴ・激闘編」で、必殺シリーズにも出演していた。
必殺シリーズは、原作改変というか、もはや設定以外は完全に別作品、と言っていいだろう。

もう一つ思い出すのは、時代は変わるが、「喰霊‐零‐」だ。
まあ、原作は「喰霊」なので、そもそも別作品、とも言えるが。

https://animestore.docomo.ne.jp/animestore/ci_pc?workId=10126

こちらもアニメを先に観た。
1話目から度肝を抜かれたのはいい思い出だ。
アニメは原作の前日譚、と聞いたので、視聴後に原作を読んだ。

https://web-ace.jp/youngaceup/contents/1000068/

アニメは改変というか、原作からインスピレーションを受けたオリジナル作品、と言って差し支えなかった。
当時、私は「喰霊‐零‐」をとても面白く視聴していたし、今でも名作だったと思っているが、もともと原作ファンだった人たちはどう感じていたのだろう?

上記した2つとも、原作改変した映像作品がとても良くできており、私を原作につなげてくれた。
だから、原作改変自体が悪いこと、とは全く思わない。

あと、「攻殻機動隊」の原作と、「GHOST IN THE SHELL」及び「イノセンス」は全く違う、というのもよく聞く。
前者は20代の時に観た。2回(3回だったかも?)観て、ようやくストーリーが理解できたことを覚えている。オープニングシーンのインパクトが強い。

後者は確か劇場に観に行った。川井憲次の音楽と中盤の映像👇に痺れた。でも、それ以外は覚えていない・・・

ちなみに原作は未読だ。
押井守の作品ではアヴァロンが一番好きだ。

ところで・・・

今話題の件に関しては、原作改変が問題というよりは、「誰が見ているかわかったものではないSNSに、仕事の愚痴を、しかも信頼関係が十分に構築されていない相手に対する愚痴を、結構具体的に垂れ流したこと」が問題なのでは?と思う。これがなかったら、原作者が経緯を説明する必要もなかったし、炎上騒動にもならなかったかもしれない。
愚痴りたい気持ちはわからなくもない。でも、信頼関係に担保されていない上に、ネタに昇華することもできないレベルの愚痴を、世界に向けて垂れ流す、という行為にカッコ悪さとリスクを感じない精神が、私には全く理解できない。
男女問わず「嘆きはほろ酔いで、酒場の隅に置いていく」のが美学だと思うのだが、今も昔も「時代おくれ」な発想なのだろうか?

おそらく既に多くの人が言っていることと思うが、今回の件、どうしても👇に収録されている「東ブレ」のアビ子先生の話と被ってしまう。こちらは映像化ではなく、舞台化だが。
現実はフィクションのようにうまくいくとは限らない、ということか・・・

あと、昨年末に公開された、くずしろさんの作品👇も貼っておこう。「幸せな映像化」に不可欠なもの、について描かれている。
「笑顔のたえない職場です」はアニメ化が決定しており、2025年に始まる。私はこの作品が大好きだ。なので、「幸せな映像化」になることを強く祈念している。

最後に・・・たった一つの出来事で自裁するほど、人間は単純な生き物ではない。出来事は、トリガーになったに過ぎない。
だから、この件に便乗して、同情するふりをして、自身の愚痴や暴露話をSNSで垂れ流している人間たちは極めて下劣だと思うし、そんな人間の作品など今後読む気にならないわ・・・と思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?