いわゆる「マイナ保険証」について

いつもながら森田先生のご投稿にコメントを書き始めると、コメントとは言えない分量になってしまう・・・なので、今回も自身の投稿とさせていただいた。

私が医師として【マイナ保険証】に強く反対する3つの理由|森田 洋之 (note.com)

全く仰る通りだと思います。
私の病院でも、上の方から「患者にマイナ保険証の利用を勧めてください」という雑音が聞こえますが、勧めるつもりは全くありません。
尋ねられたら、「使いたい人は使ったらいいし、使いたくない人は資格証明書を使ってください。そもそも、今持ってる保険証は令和7年の12月1日まで使えますよ」と言うつもりです。

「2,電子カルテの統一化は無理」に同意です。
私が数十年前に医師になったころから(それ以前から?)医療機関のカルテ共有について唱えられているのに、変わったのは電カル普及率だけ。先日ご紹介いただいた動画でも触れられていましたが、今だに情報交換は手紙(診療情報提供書)とFAXとCD-Rですからねぇ・・・まずカルテ共有を実現してからの話ですよね。

・・・と思って少し調べてみると、「電子カルテ情報共有サービス」を2025年から「創設」し、「仕組みを構築する」そうですね👇
「電子カルテ情報共有サービス」とは?2025年度から本格運用開始 | メディコム | ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社) (phchd.com)

工程表(医療DX推進に関する工程表)では、「全国医療情報プラットフォーム※1」を構築するため、新たに「電子カルテ情報共有サービス」を2025年に創設し、まずは「3文書6情報※2」を、医療機関間や医療機関と薬局との間で情報共有・交換する仕組みを構築するとしています。この電子カルテ情報については、まずは3文書6情報の共有を進め、順次、対象となる情報の範囲を拡大していく流れが示されています。

※1 全国医療情報プラットフォームとは、オンライン資格確認システムのネットワークを拡充し、レセプト、特定健診情報に加え、予防接種、電子処方箋、電子カルテ等の医療機関が発生源となる医療情報について、クラウド間連携を実現し、医療機関のみならず自治体や介護事業者の間で、情報を共有・交換できるプラットフォームのこと。
※2 3文書は、診療情報提供書、退院時サマリー、健康診断結果報告書。6情報は、傷病名、アレルギー情報、感染症情報、薬剤禁忌情報、検査情報、処方情報。

おいおい、これからやります、ってことかよ・・・と呆れてしまいました。
「医療DX令和ビジョン2030」だそうで、タイトルからして、最近流行りの「カッコいい言葉で大風呂敷を広げるが、具体性に欠ける」いい加減さを感じて鼻白んでしまします。

確かに一部の自治体ではカルテ共有が実現されていますが、国は人口1億以上ですから、規模が違いすぎます。
多分、みんな(特に官僚たち)無理なのは承知の上で、デマ太郎のレジェンド作りに付き合わされているのでしょうね・・・

そして、「1,災害時・通信障害時に対応できない」も大きな問題です。まあこの点は、国民全員が「資格確認書」を利用すれば問題はないのですが(笑)。

補1

ちなみにリーフレットにはこう書いてある。こちらの方が分かりやすい。

「本年12月2日以降、マイナ保険証を保有していない方には、申請いただくことなく「資格確認所」が交付され、引き続き、医療を受けることができます。
本年12月1日の辞典でお手元にある有効な保険証は、12月2日以降、最長1年間(来年12月1日まで)使用可能です。」
だから、全く急ぐ必要はない、ということだ。
それにしても20円、か。浮いたお金でチロルチョコが買えるな。

補2

そもそも、今の日本にこのシステムを構築する能力があるのか、疑問だ。
この「医療DX」とかいう話を聞くたびに頭に浮かぶことがある。
指定難病の「臨床個人調査票」のオンライン化の話である。
ちなみに、こんな書類だ👇


https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/File/006-202404-kojin.pdf

 10年近く前に、この書類をオンライン化するという話があり、厚労省は書式まで大幅に変更して意気込んでいた。しかし、未だに
電カルで医師が作成する 
→ それを紙にプリントアウトして、病院の公印を押して患者に渡す 
→ 患者が窓口に提出する、
という紙ベースシステムのままで月日が経過している。
 しかも書式変更により、2枚で済んでいた書類が10枚かそれ以上になった疾患も多く(上記パーキンソン病も含む)、紙の無駄が増えただけで一体あれは何だったのか、という感じになっている。
 こんなことさえ、わが国はスムーズにできない。

 私はマイナンバーカードについても、同じようになるのではないか、と感じている。風呂敷を広げるだけ広げて、後は知らない、という無責任が繰り返されるだけと思われる。だから今回も、きちんと「資格確認書」という逃げ道を残している。こんな浅はかなものに無理に付き合う必要はないだろう。
 
 マイナンバーカードの交付は2016年から始まったらしいので、もう既に8年経過している。
 私はマイナンバーカード発行済みだ。今年に電子証明書の更新をしたので、発行して5年経過したようだ。確かに住民票などをコンビニで出せるのは便利だ。でも、それだけだ。ただの勤務医なので、e-taxは特に便利とは思わないし、別にポイントもいらない。そもそも紛失すると面倒なので、原則持ち歩いていない。身分証明書としても運転免許証があれば十分だ。
 8年も経過しているのに、メリットを感じることがあまりにも少ない。私が使いこなしていないからなのかもしれないが、そもそも使いこなす必要性も感じられない。そんな代物だ。
 本当に国にとって重要なものなら、本当に国民に持たせたいのなら、8年もの間、こんな悠長なことはしていないように思う。当初からいくつもの餌(メリット)をぶら下げて、発行を促していたはずだ。
 
 実は本当は、発行を促している政府機関も含めて、誰もマイナンバーカードを「必要」と思っていないのではないか、と考えてしまう。
 それはそうなのだろう。この国の中枢には、国民を管理する能力も、管理しようとする意識も、国民を支配しようとする野心も、無い。ただ、自分の経歴に傷をつけないように、その場をやり過ごすことしか考えていない。一連のコロナ対策禍を見ていると、そうとしか思えない。まあ、「要請」だけで勝手に自粛と相互監視をしてくれるような生ぬるい国民だから、こんな体たらくになるのも無理はない。
 
 問題は、このようなやる気のない人々が、宝の山のような「情報」を手に入れてしまうことだ。「情報」を使う能力のない人間が、管理だけはできるとは、どうしても思えない。
 「DX」とかいうお題目は一向に進まないまま、野心を持つ民間の誰かや外国にいる誰かに情報が抜き取られたり、公然と受け渡されたりして、気づけば利用されている・・・という結末しか見えず、暗澹たる気分になる。 

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