頼まれてもいないのに、流行りの漫画を格闘家目線で考察【ネタバレ注意】

葬送のフリーレンという漫画が流行ってますね。名言の宝庫で、数多くのネットミームを生み出してきました。
その中で、格闘技経験者から見て気になるのに誰もそのことに触れていない部分があったので書きます。

以降、ネタバレを含むので、ご注意ください。


主人公の魔法使いフリーレンと弟子のフェルンが、資格試験を受験します。
その第一次試験では三人一組になって、シュティレという、警戒心が強くて音速で移動する鳥を捕まえるか他のパーティーから奪わなくてはなりませんでした。
そこで話題になったのが、デンケンというヒゲモジャのおじいちゃん。彼はフリーレンにチンチンにされて魔力切れを起こし、魔法が使えない状態でした。
そんな中、他のメンバーが亡くなって脱落が確定しているのにシュティレの入った鳥籠を大事に抱えている青年に遭遇します。
そこでデンケンが取った行動はこうでした。
「殴り合いじゃあああ」と言って暴力で奪い取ったのです。

葬送のフリーレンを知っている人であれば、あまりに有名なシーンでしょう。
デンケンの男気を称賛する人が多い中で、このとき彼がどんな高度な技術を使っていたのかということに言及する人は私の知る限り皆無でした。
これから解説します。

右利きのはずのデンケンは、羽織っていたマントを地面に置くと、アニメ版では左肩をぐっと入れて走り出しています。このことから、デンケンが普段はオーソドックススタイルであることがわかります。
しかし相手を射程範囲に捉えると、サウスポーにスイッチして右アッパー。
左フックで迎え撃った相手のアウトを取って、サウスポー対オーソのケンカ四つで勝負しようという構えです。
漫画でもアニメでも、そこから先は描かれず、顔を腫らしながらも勝利したらしいデンケンの描写があるだけでした。そのためそこから先の展開まではわかりませんが、奇襲の右アッパーから乱打戦に持ち込んだものと推測されます。

作者の意図としては、ワンカットで右の相打ちを表現するのが難しかったというだけの理由かもしれません。
ただ、短時間で少ない情報の中に、見るところがたくさんあるのが格闘技だよということを伝えたかっただけの文章です。
魔法使いの漫画なのにね。

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