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第9回 菊細工

江戸の人にとって9月は菊の月です。現代の10月頃にあたり、まさに菊の花が咲きはじめる季節のため「菊月」や「菊咲月」とも呼ばれます。

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ちなみに、この菊人形は実際に浮世絵にも描かれているものです。ピンチになると「しばらく~」という掛け声とともに現れる、歌舞伎の人気演目『暫(しばらく)』のヒーローの見せ場の再現です。
『暫(しばらく)』には主人公を女性に変えた派生作品『女暫(おんなしばらく)』もあり、庶民のニーズに応えて男女両方の主人公が菊人形化されています。今に例えると、大ブームを呼んでいてスピンオフも多数制作されているドラマやアニメのキャラクターを華やかに再現!というところでしょうか。たしかに集客につながるかも。
舞台は鎌倉時代ですから、江戸の人々にとってこれは「時代物」でもあります。時代物・ヒーロー物の掛け合わせは今昔問わず人々を熱狂させるのですね。

(笹井さゆり)



【参考文献】
日野原健司,平野恵『浮世絵でめぐる江戸の花』誠文堂新光社
【参考Webサイト】
https://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/1056/

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