見出し画像

【全社ラジオ】製造業支援事例~ソミックアドバンスとビジネスプロセスを大きく変える~

JDSCでは「全社ラジオ」と題して、各業界の担当者が社内向けに自チームの最新の取り組みを共有し、意見交換する場を設けています。

note化第2弾は、当社の注力業界の一つである製造業の事例として、株式会社ソミックアドバンスとの取り組みをご紹介します。AI、データサイエンスを得意とするJDSCが、自動車部品を扱う企業において、どのような支援をしているのか。データサイエンティストの和田準平、鈴木徳馬、井上寛敬がプロジェクトについて語ります。進行は第1弾に引き続き、執行役員の佐藤飛鳥です。


(佐藤)
今回は「すごいことをやっているみたいだけど、実際には何をしているかわからない」という謎のプロジェクトである、ソミックアドバンス様との取り組み事例についてお届けします。改めて「ここがすごいんだぞ!」というポイントを語ってもらえたらと思います。

本日のお品書きです。



1. そもそもどんなプロジェクトをやっているの?

(和田)
一言で言うと、自動車部品メーカーの営業業務、設計開発業務におけるDXを支援するプロジェクトです。

CASE(Connected/Autonomous/Shared/Electric)の登場によって「100年に1度」の大変革期を迎えている自動車業界においては、従来の通り完成車メーカーの言う通りにものを作るのではなく、自分たちから提案していく能力が重要になってきています。

AI・データの活用により、さらなる業務効率化に加え、提案力を高めるお手伝いをするのがこのプロジェクトの目的です。

(佐藤)
なるほど。で、具体的にはどんな部品を扱ったプロジェクトなの?

(和田)
取り扱っている商品は「ロータリーダンパー」と呼ばれるシート部品です。車のシートを倒す際の「動きをコントロールする」機械部品で、シートが倒れるスピードを抑制することで危害性を低減したり、滑らかな動きを作ることで高級感を演出したりします。

(出典:ソミックアドバンス株式会社 Webページ)

(佐藤)
そんな部品があるのか!

(和田)
はい、我々もプロジェクトを始めるまではその存在を知りませんでした。 製品を作る際にはシミュレーションと試作検証を通してお客様の持つ動きのイメージ、仕様を具体化していくのですが、シミュレーションの精度が上がらないため試作検証を複数回繰り返す必要があり、試作コストやリードタイムに課題を抱えている状態でした。

今回のプロジェクトでは、ロータリーダンパーの動作試験データからシートの動きを予測するAIモデルを開発することで、この課題に取り組むことにしました。さらに、瞬時に様々な条件での動きを数値的、視覚的に確認できるシミュレーションツールを活用し、営業力、提案力を強化するために、AIモデルを組み込んだアプリケーションを開発することにしました。

(佐藤)
プロジェクトはどういうアプローチで進めているの?

(井上)
AIモデルを開発するにあたっては、「機械学習アプローチ」と「力学的アプローチ」の2つのアプローチを採用しています。

機械学習アプローチは、動きをできるだけ精度よく予測することに力点を置いたデータドリブンのアプローチで、量産品やカスタマイズ品などの比較的データを集めやすい製品をターゲットにしています。

対して力学的アプローチは、オーダーメイド品のようにデータを集めることが困難な製品にも対応できるようにするために、内部の現象を理解することを重視したアプローチです。

機械学習アプローチで精度を求めクイックウィンを目指しつつ、力学的アプローチで現象の理解を進め対応範囲を広げるという、補完し合う2つのアプローチを並行して進めています。

(佐藤)
つまり、今までのダンパーの営業の方って「ウチのダンパーを入れると、こうクイっとイイ感じになるんですよ!」みたいな「ふわっとした」ことしか言えなかったってことですよね!?確かに、シミュレーションによる再現がないとわかんないですよね(笑)

(井上)
実際には、これまでに生産したサンプル品をサンプルシートに取り付けてみて動きを確認していたのですが、サンプル品だともちろん細かな動きの調整ができないので、どうしてもイメージに頼る部分が大きかったと思います。

「高級感のある動きがほしい」といった感覚的な要望や、「〇〇°から〇〇°の間は〇〇°/秒に抑えてほしい」といった細かな要望に対して、実際に動きを予測して見せることができるようになるため、仕様のすり合わせの効率を飛躍的に上げることができると考えています。

(佐藤)
確かに「高級感のある動き」ってなんとなくそれぞれにイメージはあっても、それを実際に数値とシミュレーションによって具現化することは難しかった。その問題をこのチームは解決しているわけですね!すごいな… 

2. 製造業での取り組みにおけるJDSCの勝ち筋は?

(佐藤)
改めてチームの紹介をしてもらえますか?

(和田)
このチームは「ほぼDS(データサイエンティスト)のみ」で構成している少し変わったチームです。メンバーそれぞれが様々なフェーズにおいて、得意な領域を担当する形をとっています。全員がある程度全工程を扱えるため、組織内コミュニケーションが円滑に進み、効率的かつ高品質なデリバリーができると考えています。

(佐藤)
見ていてそれはすごく感じるよ。議論が進んでいるなぁって。お客様にとってこのチームの強みって何があるのかな?

(和田)
強みとしては、お客様と技術的に深い議論が行える、それによって高度な課題解決ができるというところだと考えています。

ビジネス、データサイエンス、エンジニアリングといったデータサイエンティストに求められる3技能に、機械工学などのものづくりの知見、経験を加えた「三位一体+機械工学」がこのチームの特徴です。この特徴を活かしてお客様の技術ドメインに深く入り込み、表面的でない課題解決ができることに強みがあると考えています。

(佐藤)
社内の勉強会も定期的にやっているよね。

(鈴木)
チームとして目指す方向性が定まっているので、「20%ルール」という社内制度を使って勉強会を行い、日々技術の研鑽に努めています。製造業担当とはいえ私のようにバックグラウンドが違うメンバーもいるので、知見のあるメンバーに聞きながら勉強できるのは非常に良い機会になっています。

3. お便りコーナー

(佐藤)ここで質問が届いています!

Q. 製造業の方々とうまくDXを進めるためには、現場の理解や製造業ならではのディープな、特に製品周りの世界を共有できることが必要でしょうか?

(鈴木)
間違いなく必要だと思います。モデルを組んで「こういう結果です」ということだけを報告して議論を進めてしまうと、お客様の目指すところから離れてしまいます。だからこそ、お客様から仮説を出してもらいディスカッションを行った上で進めていくことが重要だと思いますし、そのような動き方がお客様からの信頼獲得にもつながっていると感じます。

(佐藤)
製造業って「これだけをひたすらやってきました!」という専門家が多くいらっしゃって、その方々の知見をうまく引き出していくことが我々の役割なのかなと感じます。

(井上)
お客様の気になっているところをいち早く見つけて、ディスカッションに持ち込むことが大事だと思います。オンラインでの定例ミーティングなどの場だけでなく、実際にお客様のところに行って直接話す、実物を見るなどすることによって、小さな発見も見逃さないことが重要だと感じます。

Q. 大人数で組織を組んで議論を前に進めていくためには、何が重要なのでしょうか?

(佐藤)
確かにこの分野に限らず大人数、特に技術系の色が強い方との議論では、なかなか結論まで持っていくことに抵抗がある人が多い印象があるよね。しかも昨今はオンラインが多いので、そもそも意見を引き出すことも大変なんじゃない?

(鈴木)
そうですね。オンラインで意見を引き出しにくいというのは、まさにその通りです。少人数だと話してくださっても、大人数や定例ミーティングのような場になるとお話しいただけないというパターンも多いです。ですので、技術色が強いのであれば議論の方向付けを我々がリードさせていただくなど、参加いただいた方々の得意分野や属性を分けて調整させていただくことが大事なのかなと思います。あとは先ほどの井上さんの話と同様ですが、お客様と直接会って意見や疑問点を引き出すことも大切だと思います。

(井上)
アイデアが出た時はうまくいかなかった場合でも、議論に反映させることが重要だと思います。一つ一つの意見に真摯に対応することで、発言のハードルを下げることは非常に重要だと考えています。

4. 最後に

(佐藤)
最後に一言お願いします。

(和田)
今回のプロジェクトで開発したAIモデル・シミュレーションツールは、最終的にはWeb上に公開して、私たちのお客様の、さらにその先のお客様であるシートメーカー様にも使ってもらえるようにすることを考えています。

シートメーカー様自らがWeb上で試行錯誤を行い、仕様の検討ができるようになれば、ビジネスプロセスを大きく変えることができます。

そのような世界の実現に向け、引き続きお客様と二人三脚で取り組みを進めていきますので、乞うご期待ください!

(佐藤)
それはすごい!それってビジネスモデルそのものを変える発想だよね。期待しています!

ということで、我々が製造業分野で取り組んでいるプロジェクトについて理解が深まったのではないでしょうか。今回はこれにて終了とさせていただきます。本日はありがとうございました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?