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「代表就任」から1年半、改めてLIFE STYLEで実現したいことを書いてみた

私がLIFE STYLEの代表取締役に就任してから、2021年8月で1年半が経ちました。「まだ1年半」とも、「もう1年半」とも感じる複雑な心境です。

人生で初めて代表取締役という「役割」を経験していますが、己の未熟さを日々突きつけられ、経営者としての満足感を得られる日は、この1年半で1日もありませんでした。しかし、新しい仲間が増え、新規事業の勝ち筋も見え始めたので、確かな成長を感じられるようになってきました。

今回は、ここをひとつの区切りとして、社会人生活の始まりから、LIFE STYLEへ入社した理由や経験を踏まえて、私が、これからLIFE STYLEをどういう会社にしたいのかを書きたいと思います。

社会人生活の始まりはどぶ板営業

少し遠回りになりますが、まずは私の前職について触れたいと思います。私がLIFE STYLEをこういう会社にしたい!という想いは、社会人生活の始まりである、この前職での原体験によるものだからです。

私の社会人生活は営業会社からスタートしました。もう少し解像度を上げると、成人男性が生きていけない程度の日当はあるものの、営業インセンティブで給与を稼ぐお仕事です。良く言えば「自分次第でいくらでも稼げる」、悪く言えば「成果以外に払うお金はねぇ」ってことです。

商材は某大手通信キャリアのインターネット回線で、個人宅への飛び込み営業でした。研修らしい研修もなく、入社初日から一人で飛び込み営業をしなければいけません。真夏だろうが真冬だろうが毎日です。どんなに汗をかいても契約を取れなければ給与はありませんし、インセンティブは単発なので毎月0からのスタートです。

そんな環境のため、この会社の離職率は控えめに言って95%でした。1ヶ月に新人が10人入り、3ヶ月後に1人残っていれば御の字。逆に残る人は何者なのか?というと、個人で稼げる・稼ぎたい人でした。1分1秒の過ごし方が自分の給与に直結する仕組みの中では、チームとしての最大化よりも個人でどれだけ結果を出せるかが重要でした。

創業者との出会い

この会社で、LIFE STYLEの創業者である永田と私は出会いました。今思えば、私と永田はこの組織において特異な存在だったので、それぞれの理想を実現するために永田がLIFE STYLEを創り、私もLIFE STYLEに身を投じることになったのかなと。しかし、二人が特異であるという共通点はあるものの、その中身は全く異なるものでした。

繰り返しになりますが、この組織では個人で稼げる人・稼ぎたい人が最大の恩恵を受けられます。私が特異だった点は、稼げない人なのに残っていることでした。「今は稼げなくても、ここで得られる〜の経験を・・・」みたいな目的があったわけでもなく、どうするべきかを考えることもできない思考停止状態ってやつです。

そんな私でも、離職率95%の会社に1年いればベテランです。常に採用はしていたので、2年目からは必然的に私が研修担当になり、名ばかりですがマネージャーにもなりました。そこに永田が入社してきたのです。

永田は私と正反対で、明確な目的を持って入社してきました。それは、3年以内に起業するので営業力を身につける必要があり、できるだけ多くの失敗をするために「toC営業を経験する」ことでした。そして、永田が「稼げる人」になるまでに時間はかかりませんでした。

そんな私と永田が上司と部下になったので、良好な関係になる訳がありません。永田は限られた時間の中で営業力を身につけようとしているので、やることは1つでした。思考も、トークも、行動の仕方も、優秀な営業マンを徹底的にパクること。稼げない人の言うことなんて聞いている暇はありません。

「そりゃそうだよね」ですが、私は私で永田に対して、「言うこと全然聞かない人認定」を下しました。お互いにそんな感じなので、良くも悪くもぶつかることはありませんでしたが、深く交わることもなく2年が経過しました。

遅すぎる気づき

話を戻して、永田が特異だった点は、組織創りへの挑戦をしたことでした。前職ではマネージャーになろうが、自分の給与は自分で稼がなければいけない会社だったので、やりたいと思う人なんていないわけです。そんな中でも彼は、本格的に起業に向けて準備を始めるタイミングとなり、自らの営業スキルは向上する中で、チームとしての最大化を図る仕組み創りについて考えるようになっていたのです。

新人以外は個人事業主の集まりのような集団において、当時の社長に、会社の組織やビジョンに対して提案するなんていう人はいませんでした。永田がそんな提案をしているのを目の当たりにして、「あれ自分って今まで何をしてたんだろう?」とか、「自分はこのままでいんだっけ?」と考えるようになり、止まっていた思考が動き始めました。

永田の姿勢を見ていると、なんで自分が思考停止していたのか分かってきました。勝手に自分で自分の人生を諦めていたんだなと。会社や仕事に慣れ、漫然と日々を過ごし、上手くいかないことは全部「自分以外の何か」のせいにして、飲んで忘れる。自分の人生に対し、全く責任感がなかったんだと痛感しました。

何をしていいか分からんが、動かなきゃダメなことは分かっている

永田の提案によって、会社が生まれ変わったか?と聞かれれば、すぐに変わるほど甘いものではありませんでした。ただ、間違いなく私の気持ちには変化が生まれました。それから永田と業務以外の会話をする機会が増え、永田がどんな会社を創りたいのかを聞かせてもらうようになりました。

そして、いよいよ永田が起業準備を本格的に始めるために前職を退職しました。私は私で、具体的に何をすればいいかは分かっていませんでしたが、とにかくこの状況を変えなきゃいけなくて、それは会社や誰かに期待するのではなく、自分が変わらなきゃいけないことだけは分かりました。そんな時に永田からLIFE STYLEの創業にあたり、一緒にやらないかと誘いを受けました。

当時の私は結婚したばかり、LIFE STYLEという会社も創業前で、不安しかない状態でした。しかし、永田から「自分が20歳だったときに入りたいと思える会社を創りたい」と言われて非常に共感しました。色々な意味が含まれていますが、本気で挑戦したい人に機会を与え続けられる会社でありたいという意味だと私は理解しました。

・自分を変えるために、言い訳が一切通用しない環境に身を置きたい。
・自分の成長によってLIFE STYLEが成功がすれば、我々の掲げるビジョンは、未来の仲間にとって希望になるかもしれない。

私は、事業内容ではなく、この2つの想いを持ってLIFE STYLEで挑戦することを決めました。27歳にして初めて、「何をするか?」ではなく「なぜやるのか?」で意思決定をしました。

その後間もない2014年3月、永田と私にもう一名が加わり、3名体制でにLIFE STYLEは創業しました。とは言え、私は役員や役職者ではなく、一営業マンとしてLIFE STYLEでのキャリアをスタートしました。

LIFE STYLEに参画を決めた日。ファミレスの店員さんに記念撮影してもらった

創業期 〜まずは生きる方法を見つける〜

創業前に、何の事業から始めるかは決めていました。それは、現在も当社の一事業であるGoogleストリートビューの販売・撮影・制作です。当時からGoogleストリートビューは認知度が高かったものの、あくまでGoogle社が独自に撮影している屋外のものでした。我々が始めたのは、飲食店や学校、商業施設といった「屋内」を、そのオーナーに費用をもらってコンテンツ化する、「屋内版Googleストリートビュー」でした。

初めての城は高井戸の5畳一間

2014年当時、屋内版Googleストリートビューは日本市場において新規事業であり、その開拓に成功しているパートナー(営業代理店)はほとんど存在していませんでした。しかし、「Googleストリービュー」という圧倒的な知名度を誇り、エンドユーザーにとってあったら便利であることが間違いないサービスは、必ず売れると信じていました。しかも、売れている会社がないのであれば、売れさえすれば社会的に何者でもない自分たちでも評価され、次のチャンスが得られるはずだと確信していました。

そんな思惑で屋内版Googleストリートビュー事業を始めたところ、結果は大当たり。1年目は5人のメンバーで、年間1,000社以上の新規開拓を実現し、Google社からMost Improved Agency Award(最高成長率賞)をもらいました。もちろん試行錯誤を繰り返した結果ですが、初年度から黒字になり、Google社から、当時はどの会社も認められていなかった、1次代理店(傘下に代理店を持つ「代理店」。当時はGoogle社以外の会社が傘下に代理店を持つことを、Google社が許可していなかった)となり、2次代理店を開拓する「代理店制度構築」の許可も得ました。

Google社よりMost Improved Agency Award(最高成長率賞)を授与

2、3期目は、当社の営業・撮影ノウハウを体系化した屋内版Googleストリートビューの代理店事業を展開し、2年で全国に300社を超える代理店網を築き、創業から3期連続で黒字および増収増益を達成。3期目が終わる頃には、社員数も30名を超えて企業として順調に成長を遂げていきました。

しかし、順風満帆な日々も、そう長くは続きませんでした・・・

新規事業への挑戦、そして失敗

「屋内版Googleストリートビュー」という「既存事業」で順調に成長をしてきた当社も、4期目から自社独自の「新規事業」に挑戦することになります。2017年当時は巷で「VR元年」と騒がれており、私達がGoogleストリートビューで培った360度画像や動画を使った技術で勝負できると考えました。

営業しかできなかった私達は、これまで誰かが作ったプロダクトを販売することしかしていまませんでした。そんなLIFE STYLEにとって、自分たちのプロダクトを持つことは悲願だったのです。VRに関する4つの新規事業を立ち上げ、既存事業である屋内版Googleストリートビュー事業もやめる覚悟で、社内リソースを新規事業に集中させました。

VR事業への挑戦

その結果・・・、1年後には全ての事業から撤退することを余儀なくされました。大失敗です。当時を振り返ると、本が一冊書けるぐらい、新規事業でやってはいけないことをしていました。それらの要因を挙げれば切りが無いのですが、一番の要因は、「これまでのLIFE STYLEの強みを全て捨てた」新規事業に挑戦したことです。正確には捨てたのではなく、「捨ててしまって」いた。「求められること」ではなく「やりたいこと」を優先してしまったのです。

今であれば資金調達などの選択肢も考えられますが、当時はそういった選択肢すら知りませんでした。事業で稼いだお金を次の事業に投資し、その事業ですぐに稼げるよう営業活動をする、という方法しか知らなかった。事業を全て撤退する頃には、普通であれば会社はもう存続できない状態にまで陥っていました。

極限の状態で、自分たちの強みを問う

新規事業を撤退してから、「来月にはキャッシュアウトする」という期間が半年以上続きました。少なくとも6回以上の奇跡と、たくさんの方の支えがあって生き延びたのですが、このままだと結局はわずかな延命にしかなりません。私達は生き延びるために、自分たちができることで「人に喜んでもらえることは何か」を本気で考えました。

原点に立ち返えると、答えは見えてきました。屋内版Googleストリートビューで培ったのは、360度画像や動画の技術だけだったのか?当社が評価してもらえたのは、営業力や営業体制の仕組みづくりなのではないか?営業なんて泥臭くてやりたくない、人がやりたくない=できないことだから価値があるんじゃないだろうか?

創業1年目に5人で1,000社以上の新規開拓をしたと前記しましたが、実はこの5人のメンバーは私も含め「法人営業経験」はありませんでした。そんなメンバーでどうやって開拓できたのか?その答えはオンラインセールスを導入するに至るまでのプロセスにありました。

今でこそ当たり前になりましたが、2014年当時はまだオンラインセールスなんて全く浸透していませんでした。それなのになぜオンラインセールスを導入したのか?それは、仮説検証から導き出されたターゲットユーザーに、効率よくアプローチするための最適な手段だったからです。

なぜ、オンラインセールスだったのか?

なぜ当社がオンラインセールスに行き着いたのか。それもやはり生きていくために知恵を振り絞った結果でした。屋内版Googleストリートビューを始めた当初は、どういう業種に刺さるのか分かりませんでした。屋内をエンドユーザーに見せることで、プロモーションが期待できるような業種が何なのか?とにかく、可能性がありそうな業種に片っ端から電話をして商談を獲得し、現地訪問をしました。

そうすると、商談化率、契約率そして獲得平均単価が明らかに高い業種を発見しました。それは「学校法人」でした。今風に言えば、「PMF」の種を見つけた状態です。しかし、販売価格を考慮すると、1ヶ月につき営業1人あたり10件以上の契約を獲得する必要がありました。

この契約件数を達成する上で大きな障壁がありました。それは飲食店などと比べて、学校法人は数が限られており、現地訪問するにも距離が離れているため、物理的に1日に提案できる数が少ないことでした。

どうやって学校法人への提案数を最大化するか、そこで営業戦術として「オンラインセールス」の活用を検討しました。オンラインセールスであれば、移動時間もかからず、その場で全国の学校法人に営業できると考えたわけです。ただし、オンラインセールスが全く認知されていない状況だったので、本当に提案を聞いてくれるのか、契約率が変わらないのか不安も残りました。

泥臭く、オンラインセールスで営業活動

まずは小さくテストを始めましたが、なんと契約率は現地への訪問提案よりも向上したのです。それが分かれば、あとはリソースを投下するだけでした。オンラインセールスは同じ場所でインサイドセールスとフィールドセールスが活動できるため、情報共有や教育もスムーズになるという副次的な効果もあり、想定以上の効果を得ることができました。

どういった効果が得られたのか、詳細はこちらの記事で紹介していますので、興味がある方はぜひご覧ください。

新規事業に必要な営業プロセス

屋内版Googleストリートビューでの成功体験を要因分析すると、下記のプロセスを踏んでいることが分かりました。

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仮説を立て、ユーザーヒアリングとデータ分析でPMFの兆しを見つけ、効率的な営業戦術を立案する。まさに新規事業の営業プロセスそのものだったのです。結果論ですが、屋内版Googleストリートビュー事業でやっていたことを、撤退した新規事業ではやっていませんでした。

この営業プロセスこそが、新規事業の成功確率を高めるのではないか?この営業プロセスを実行することは難しいのではないか?それであれば当社の強みとして事業化できるのではないか?そんな仮説が生まれました。

そして、2018年より新規事業の立ち上げにおける営業支援の「仮説検証事業」を始めました。実際に支援する中で、仮説が確証に変わり、気づいていなかった新たな「不」も見つけることができたので、2020年より本格的に新規事業支援のサービス提供を始めました。

新規事業支援 「スケッターズ」を提供開始

最初こそ苦戦はしたものの、我々の新規事業支援における仮説や提供価値を、多くの企業や事業責任者の方々に支持していただき、新規事業支援のご依頼は増えています。今後、より多くの新規事業を支援できるよう採用も強化し、事業拡大を図るフェーズに入りました。

LIFE STYLEをどんな会社にしたいのか?

LIFE STYLEは、組織面も事業面も、新たな成長期を迎えようとしています。急激な成長には必ず成長痛が伴い、明確な正解が見えない意思決定の連続になると考えています。そして、意思決定したことを、自分たちで正解にしていく覚悟を持ってやり抜くことが求められ、自分自身の「我々はどうありたいのか」という強い思いがその覚悟の源泉になります。

最後にこれまでの大きな失敗や、小さな成功体験を踏まえて、これからのLIFE STYLEをどんな会社にしていきたいのか?を書きたいと思います。

これは1点しかありません。「挑戦者を生み出し、挑戦し続けるものとともに」というLIFE STYLEのビジョンを実現することです。そりゃ当たり前だよねって話なのでもう少し掘り下げて言うと、私がLIFE STYLEでの経験を通じて、たくさんの方に与えてもらった機会や環境を次の挑戦者に繋いでいくことです。

2021年 新人研修修了式にて。LIFE STYLEの「挑戦者」たち

創業して間もない頃、「してもらったことを返すんじゃなくて、次の世代にしてあげなさい」と永田に言われたことがあります。恩返しではなく、恩送りという考え方。当時は親父の格言的に聞いていましたが、今は本気で私がするべきことだと思っています。

当社は新規事業の支援をする共に、自らも新規事業に挑戦し続ける会社です。挑戦するということは「どうせ無理だ」「そんなに甘くない」と言うドリームキラーとの戦いです。私もそんな人にたくさん出会いました。

それでも信じて任せてくれる人がいて、辛抱強く支えてくれる人がいて、失敗を許してくれる人がいたからこそ、今があります。そういう機会を得られる会社であり続けること、それが私の目指すLIFE STYLEの姿です。

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